緑風
碧玉
蒼天
とある復活祭の朝
石臼の歯ぎしりがごりごりと響く工房にて
くるみの近衛兵が殻から脳みそを無造作にえぐり出していた
傍らの国営テレビは再放送のヨダレを垂れ流し
ただぽかんと口を開けたグランマと
....
其処程には
私の死体がいるはずだ
同時に生まれてる
其処程は
空より広く海より深い
死体は時間の階段を昇る
其処程とは
もう横町を曲がったあたり
私と抱き合った瞬間
彼は ....
どう見てもセブンだったコインランドリー
セリアになった文教堂
跡形もなく消えたケンタッキー
街の記憶ではない
私の記憶である
誰にも譲ることのできない
私の記憶である
市営住宅の ....
二〇二〇年四月一日 「論理詩」
①は②である。
②は③である。
③は①ではない。
二〇二〇年四月二日 「論理詩」
①は②より醜い。
②は③より醜い。
③は①より醜 ....
桜木の下の子猫の鳴き声を日向ぼっこをして聴く風吹く
瀬戸内に秒針みたいに沈む陽の最後に伸ばした指先の朱よ
《永遠》という言葉だけは知っている 今はおそら ....
嘘つき、って
世界がわたしを、そう呼ばなくなって
嘘をつくのがとてもたのしい
こころも今日も
どこまでもひろがる
わたしはピアノ
憧れの黒鍵
花火を見ている
山のはしで 海のさきで ....
二〇二〇年三月一日 「夢」
けさ見た夢。10人くらいの男女がいて、ひとりの男が女の頭に大きな岩をぶつけて殺そうとしている。べつの男がナイフをもっていて、ぼくのほうに近づいて腕を刺したところ ....
どうしてここに一枚あるの
桜の花びらが一枚部屋に
並木の桜は散り始め
清掃作業で忙しい日々
運んできた認識はないけれども
付いてきてくれた幸運な花びらかも ....
二〇二〇年二月一日 「女子高校生」
もう何年もまえのことだけれど、電車のなかで見た光景が忘れられない。目の不自由な男のひとが杖をもって入ってこられたときのことだ。制服を着たひとりの女子高校 ....
日本語が美しすぎるのが悪いみながTOKYO出てゆかないのは
調子よき友人LINEで言うことにゃわれの浪費をハルノマモノと!
急停車、無言車内の春に漏る若きAirPods轟速のジャズ
....
精神科が出張ってきたらこうなると。先の戦と同じ学びか
絶対に負けないと言い犯される、裏病棟の見えない隅で
極小の地獄は始め家にあり。子に振るわれた暴力の跡
その惨事それはミクロでこれ ....
二〇二〇年一月一日 「ウィルス」
あたいの携帯、へんなウィルスに感染しちゃったみたいで、勝手にアドレスを書き換えられちゃってて、知らないひとにつながるようになっちゃった。でも、偶然 ....
四月十日 月曜
天氣 晴
起床 六時二七分
就床 十時二九分
「今日學校へ行けるかしら」と心配してゐたが朝起きて見たら気持が好かつたので嬉しかつた
お二階で時間割を定めて復習をして ....
夕食のときに誤って
傷つけた口の中が傷む
悪態が脳裏で曲芸飛行を繰り広げる夜
ラタンの椅子の上で一対の飛蝗が
遺伝子を残そうと試みている
呪縛から解き放たれた
そんなものになりたか ....
二〇一九年十三月一日 「断章」
おまえの幸福はここにあるのだろうか、
(リルケ『レース』Ⅰ、高安国世訳)
単純な答えなどない。
(アルフレッド・ベスター『虎よ、虎よ!』第二部・14 ....
桜の開花宣言が出ても
満開になるにはもう少しかかる
日に日にピンクが増えて
その魅力を徐々に発揮し始める
桜が気になって何度も見てしまう
桜をたくさん植えて
観光地化させる地区もあ ....
SNS上の詩人たちを
熊手でがーっとさらう
角度をかえて
熊手でがーっとさらう
大阪に集める
すてきなイベント?
ん?私は用意してないよ
ただ寂しいから呼んだだけ
詩の話をするの? ....
二〇一九年十二月一日 「日付のないメモ」
飛び降り自殺する直前に、窓の外から覗く、さまざまな部屋のなかにいる人間のことを書くというのはどうか。トラックにひかれそうになったときの時間感覚のこ ....
二〇一九年十一月一日 「断片」
彼の顔に答えをさがしていたが、いっこうに見つからなかった。
二〇一九年十一月二日 「断片」
彼は自分の考えのなかで方向を失い、迷子になって ....
二〇一九年十月一日 「断片」
彼には、あたたかみを感じられなかった。かれには、あたたかみなどなかったからである。
二〇一九年十月二日 「詩論」
言葉は存在をくわだてる ....
木曜日何故か憂うつな午後過ごす味気なく感じる好きなココア
月末の忙しさ終え暇な日々会社の事務所閑散とする
ゴルフ場あまり上達しない友大好きなのに上達してない
肉ばかり食べる知り合い野 ....
二〇一九年九月一日 「詩論」
音には意味がない。
二〇一九年九月二日 「詩論」
小学校時代に飼っていたカイコを思い出す。カイコは、飼っていた箱のなかに入れてやった毛糸の ....
二〇一九年八月一日 「人生は物語って、よく言うけど」
物語を白紙にしていく作業が
ほんとうの人生なのかも
って思った。
さっき、マイミクのコメントを読んで
ふと、そう思った。 ....
気がつけば、
懐かしい歌が僕のなかに流れていた。
昔、よく聴いていたんだった、
J-Pop なんて生まれていない、時代の頃。
一つの恋が終わり、
その残り香にさよならを告げる ....
会いたい人とか
まずいない
そんな僕に
会いたいと言う
君の気持ちは
どんなにか
ねっとりと
魅力的に
映っているのか
知るすべもない
僕はといえば
僕には毎日
会って ....
可愛い失敗を
してる君の
横にいると
綺麗な恋をしている気になる
可愛くはないんだろうけど
ちょっとあたたかくなれる
夢のような
幸せ掴めるあしたが楽しみになる
そんな ....
僕たちはそれぞれ違う重さを抱えて同じ言葉を求めて
普遍は真理とはイコールではないにしても難儀な旅をするのだろう
愛したものの破片を集めてはならないのだと想う
戻らないものの再生には魔術が必要 ....
二〇一九年七月一日 「平居 謙さん」
平居 謙さんから、詩集『燃える樹々』を送っていただいた。読ませていただいた印象は、静謐。静かな声だ。ときに静かな声に耳を傾けるのもいいなと思った。
....
下高井戸シネマで、
「草の響き」を観た。
八王子の、スーパー銭湯へ行って、
帰り道で、時間を気にしながら、
いい感じのスープカレーを食べて、
京王線に乗って。
電車では、「鬼平 ....
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