原町無線塔 いいね!
イオン

2023年は
関東大震災から100年である
1923年に発生した震災の第一報を
アメリカに伝えたのは
福島県南相馬市にある原町無線塔である
それが世界各国の迅速な支援に繋がった
100年前の日本は
ここでしか国際通信ができなかった

1985年に重さ約3キロの
持ち運べる自動車電話
「ショルダーホン」が登場し
1987年には重さ約1キロの
携帯電話1号機が登場する
2007年に重さ140グラムの
スマートフォンが登場し
2023年に重さのないソフトウェア
対話型人工知能が登場する

老朽化した原町無線塔は
1982年に解体されて
近くに記念塔が残っている
高さ200m巨大な塔の10分の1
20mの記念塔での自撮写真をネットに投稿
SNSで瞬時にアメリカからも見れる
100年後の日本は
掌から国際通信ができるのだ

100年前の人間は
200mの無線塔が必要だったほど
孤立を恐れた生き物だったが
100年後の人間もあまり変わらない
掌サイズのスマートフォンでも
孤立を恐れている

記念塔での自撮写真に「いいね!」が付いた
振りむいて記念塔にスマートフォンを見せる
自慢してどうなる訳でもないのに

「そのスマートフォンとやらは
 キミの助けに応えてくれるものなのか?」
記念塔から質問された気がした


自由詩 原町無線塔 いいね! Copyright イオン 2023-09-16 14:37:20
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