陽の埋葬
田中宏輔




樹にもたれて、手のひらをひらいた。

死んだ鳥の上に、木洩れ陽がちらちらと踊る。
陽の光がちらちらと踊る。

鳥の死骸が、骨となりました。
白い、小さな、骨と、なり、ました。

やがて、木洩れ陽に温もったその骨は
手のひらの上で、から、ころ、から、ころ、

から、から、から、と、ぶつかりあいながら
輪になって舞い踊りはじめました。

わたしは、うっとりとして目をつむり
ただ、うっとりとして

死んだ鳥の歌に、
じっと、耳を、傾けて、いま、した。



  *



何を見ているの?
──何を、見て、いたの?


何も。


嘘!


窓の外。


見ちゃだめだよ。
──ぼく、連れてかれちゃうよ。


えっ?


振り返ると、シーツの上には、
残り香の、白い、小さな、骨が、散らばって、いま、した。



  *



──羽根があれば、天使になるの?

そうだよ。
でも、いまは、毀れてるんだ。

──その腕に抱えてるのが、翼なんだね。

そう、抱いて、あたためてるんだよ。
つめたくなって、死にかけてるからね。

──でも、ぼく、そのままの、きみがいい。

そのままの、ぼくって?

──優しげな、ただの、少年だよ。

そして、天使は、腕をひろげて
もうひとりの、自分の姿を、抱きしめました。



自由詩 陽の埋葬 Copyright 田中宏輔 2023-09-17 23:01:04
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