私は{ルビ開襟=かいきん}シャツを着て
路地を左に曲がり
ズボンのポケットから白いハンカチを取り出して
首筋を拭ぐった
家の山茶花の垣根から
{ルビ割烹着=かっぽうぎ}を着た妻がアイロン ....
なるようになるは
ポジティブ思考
なるようにしかならないは
ネガティブ思考
結果は同じでも効果が違う
居心地が違う
なんとかなるは
サバイバル思考
なんともならないは
パニッ ....
青く凍結する冬のそら
しずか独り、浜辺に立つ
打ち寄せるイメージの波
浮かぶ波間の混沌は
思考の光に照射され
弾む言ノ葉、力動の渦
境界を溶かし、大地を洗う
....
梅雨入りが今年は早いかもしれず長くなるとも言う予報士
梅雨だけに咲いた紫陽花今見頃ただ正確で表現豊か
同じ場所交通事故が多発して改善される動きにならず
蛍見て綺麗と思わず口に出す森の ....
○「タッチ」
一日に何回タッチしているのだろう
自慰にふける若者のように
暇さえあればスマホ画面にタッチしている
妻にはタッチしないで
乾いたスマホ画面にタッチしている
求めるものはそ ....
午前0時を過ぎると
オレは変貌してしまう
コウモリも寝付いた夜に
静かなBARをさがし
街を彷徨い歩く
眠れない連中は
タンゴを踊り
歌をうたい
さかんにキスをする
オレはゲ ....
月の夜だった。
海は鱗を散らして輝いていた。
波打ち際で、骨が鳴いていた。
「帰りたいよう、帰りたいよう、海に帰りたいよう。」
と、そいつは、死んだ魚の骨だ ....
休みの日
昼間寝すぎて
夜眠れない
布団に潜って
スイカゲームしてたら
ますます目が冴えて
嫌になってくる
学校行きたくな ....
体液の震え、
水を潜り
言葉の感知され
私は誰彼となって
貴女を煩わす
透明な空間
。
シーツ洗えばまたも雨降り きけよ天 これは祈雨呪術ぢゃないのです
おなかいっぱいにカレーを食べて 強烈に暖房を利かせて
得も言われぬ 幸せを感じました
失ったものがあったとて
失うまでの過程でそれが本当に大切だったかには疑問符がつき
リセ ....
{引用=昔の異国の詩人}
籠の中の鳥は誰よりも遠く高く飛んだ
鳥籠を選んだのは彼女自身
名ばかりの自由という見えない鳥かごの中を
ただ同じように旋回するだけの鳩の群れの一羽になるよりも
自分 ....
カーボンニュートラル
ペーパーレス
紙は無くなりつつあり
本すらも紙でなくなっていく
紙
紙さま
神さま
そういえば最近
神さまもあまり見なくなったなあ
居づらくなっ ....
今日もこらこら怒られて
後楽園で乗り換える
地下深い南北線から丸ノ内線
ダメ山さんはカイトにされて
天高く干されてる
ダメ川さんは海賊船で
スイングされている
エスカレーター エスカ ....
終えて
始めることを
止めた
当り前に
巡ることを
諦めた
透き通った人達の
声が届かないように
ひたすら囀った
正しすぎる風に
猫背を向けて
なけなしの炎を護ろ ....
酔い覚めて
一杯二杯
もう一杯
○「幸せ夫婦」
幸せになると
妻は饒舌になり
夫は寡黙になる
○「歩く」
若いときは
人に抜かれるのが嫌だった
今は
歩けるだけで十分だ
○「時代の流れ」
時代の流れには
....
朝ぼらけかすみし山の冬木立
鼓膜に残る響き息の跡
ときはかねときあかねさす井戸端の
夕餉の支度暮れのにおいは
山の中静かに凍る湖が
数億年の冬眠を守る
暖冬に明日、明後日と大 ....
花形新次とは何者か
それを最後の問い掛けとして
此処に一輪の青い薔薇とともに
置いて行きます
いつかまた
自称詩人を殲滅するために
戻って来る日まで
グッド・バイ
天竺の行者は言った
無量大数よりも大きな数字を
ガンジスの砂を感じながら
無数を解いた
今もスーパーコンピュータで円周率を計算しているが
果ては無い
無駄なのだ
この宇宙の果てに ....
空白を書いては行間を読んだ
他人事の一言どっさりと届く
共感が凶器のように押し寄せる
感性のまま完全に風まかせ
はなむけの花束 鼻につく話
餞別に煎餅 ....
フィッシュマンズの佐藤君とか
ベイブルースの高山さんとか
清志郎さんとか
チバとか
時は ....
たとえばがたとえでなく
あなたはこれから働く10年で
過不足ない職と名誉と玄米(パワーフード)四合と
味噌と少しの野菜
あと優秀なメディカルスタッフね
それは科学ともいうけど
協調ともいう ....
日本一マツダスタジアム良い球場良い環境で応援出来る
道の駅何処も人気で増え続く良いもの珍しいもの並ぶ
ドライブイン減少の一途たどる今道の駅の面白さ増す
高速のサービスエリア今熱い地味 ....
{ルビ水裹=みづづつ}み、{ルビ水籠=みごも}り、{ルビ水隠=みがく}る、
──廃船の舳先。
舵取りも、{ルビ水手=かこ}もゐない、
──{ルビ月明=げつめい}に、
{ルビ水潜 ....
その殆どが酒精から生まれたものだった
酔えば酔うほどに覚醒してゆく
泥のような言葉を吐きながら
失われた月を待つ
皆の文字列だけが俺を照らし
涙を拭いてくれる
こんな幸せなど無いこの部屋で ....
なにか寂しく思ったら
あははと笑っておきましょう
いまこのときは荒れ狂う 心の波は高くとも
5秒後もたてば気付くのさ 笑って済ませた幸せに
街を漂う 水蒸気
誰か ....
覚醒と昏睡のはざまでウオッカをあおった
深海にゆらり ゆらゆらと漆黒を彷徨いながら
エルドラドを求めて沈没船の古地図を探した
否… それは既に此処に在る
言霊の山だ!
ナンバーワンを ....
電車やバスの中 携帯で通話すること
ヘッドホンから聴いてる音楽の音漏れ
空いてるからといって 優先席に座ってしまうこと
全部マナー違反であることで
それをやったら 他の人から冷たい視線を浴びた ....
十二月 早朝
いつものように高台通りを歩いて仕事に向かう
右手の歩道と山側の住宅地の間はなだらかに傾斜して
自然の植生を活かした広い公園になっている
この季節には通りに面した{ルビ落葉松=から ....
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