私がその古道具屋を出てから間もなく、注文した本が自宅に届いたと知らせがあった。その本は鍋料理のレシピ本であり、失踪した料理研究家の最後の著書だという。料理は普段ほとんどしないのだが、表紙に載っている .... 牛になって

風にふかれながら

草原を食べていたい



できれば

あなたとふたりきりがいい
詩が書けるヤツはドンドンアップすればいい。
ネット以前だったら新聞・雑誌に投稿しても、
選考するヤツの目にとまらなければ早々と水子にされる。
出版業者に頼んでみても「字が書けない脳性マヒの少 ....
僕はつづけた。

………というわけで、クジラの瞳の色がネイビーブルーであるのは、
空の色を吸収して、また放射しているからなのです。

傍らにいる誰かが、うなづきながら聞いていた。
僕たち ....
詩というのは、心情の吐露とか、綺麗な風景を綺麗に書くとか教訓めいたこと、哲学めいたこと、社会批判、を共感を得やすいように、大勢が納得するような比喩をつかったり美しい表現をしたり、あるいは素敵なぐっとく .... 祖母の 遺骨かと
焼けた雲 追う
折り紙の 鶴も
川くだり する

縁石に 添う
ひしゃげた 靴の黄
踵 上げ
芽吹く 緑

竹の 支柱に
絡む 蔦
編む 影
思しい 葉脈
 ....
詩は勝てない

自分の意見を言葉にできる人に
詩は決して勝てない

気づいたことをちゃんと調理せず(素材そのものの味とか言って)
なんとなく寂しいだとか嬉しいだとか
そういう気持ちのソー ....
駱駝の玩具の背に本物のナイフ、飾り柄にいつかの血の記憶、縁の欠けたマグカップの中にはつがいの蝿の死体、それはあまりにも語れない、形を残す時間が短過ぎて…手を取って、ここから離れてゆくすべてのも .... 久々に訪れた病院の園庭は、
十数本の桜の木が
無数の赤い蕾を膨らませていた。 

その生命力は、
春の大気に漲り震え
園庭という枠を獰猛に
突き破っていく不穏さを含んでいた。

膨ら ....
 詩は生きるために必要なものではない。

 例えば貧しく混乱した世の中では人々は生きていくことに必死で、詩どころではない。豊かで平和な世の中になると今度はしなくてはならないことが多すぎて、やはり詩 ....
「え?はじめてのデートでブーツを買わされたの。
いや、それは買ってやるほうが間抜けだな。。カネチラつかせたんだろ?
ところでさ、何か、ご褒美とか貰えたの?たとえば、ありきたりに途中でホテルへし ....
死にゆく蛍がかじった、かもがやの隙間の細い風
すっかり軽くなった腹を抱え
夜霧の中をしっとり歩いている
大きな風に
人の声が洗われて、草木の本当の
美しさを見る日を待ちわびていた

 ....
気が狂っちまった

宮沢賢治はどんだけ正気?

中原中也はどんだけ正気?

誰もがせつなくて


俺の半分以上が俺のもんじゃねえ

狂うってこたあそういうこったあ

さらにさ ....
君が未来でにやにや笑っている あの春から この春がやって来た
馨りはまだ手のひらの上
ふわっと小さな宇宙を乗せて
ここへ ここへとやって来た

呼び覚まし 瞬間にカチッとアルバムにはまる
大事な 大事な一期一会を刻んで ....
熱々のラーメンを頬張った後で
満腹だねと笑いながら腹をさする

さすれば本日の胃袋に詰め込む作業は
これで終了ですか、の鐘が鳴り

金を出す筈の財布から
麺より長いレシート出る
 ....
紫色の 斜陽に
己を とらえ
枯れた 霊感を
意識に 濁す

知恵の 廃水が
病める 回路に
淀みを つくり
思考を 乱す

非望を 希釈し
心に 流れ
微熱が 気化し
目蓋 ....
今 触れてはだめ

六番目の勘が囁くままに
突き止めようとする指を戻す

峠越えの山道を運転しながら
闇を縫って光を探した

開きかけた何かは
古い本のように堅く閉じて

忘れら ....
母のお墓は沖縄にある
もうしばらく行っていない
妙に血が騒いで
沖縄の足元に近い青空を思い出す

久茂地交差点 よくニュースに出てくる景色
那覇で語ったことはなかった
自分にしか関心がな ....
静止した 夕ずつを
灰の妖雲が 覆う
静寂が 孤独な
姉妹のように ひろがる

暗い空の 水脈から
垂直に 降る雪は
地に落ち 鬼火になり
辺り一帯 埋め尽くした

人は こんなに ....
あまりの寂しさに
体からスライムを出せるようになった僕は
だれも覗かない自室の中で強張ると
無色透明な粘液に包まれる

まだらに入った気泡になんだかやすらぐ
必然性を含有していないからだろ ....
世界はいつだって
出来上がった何かをなぞっているだけだから
やつらの真似をするのはやめておけ
前に居た誰かと同じになってしまうから
お題目を鵜呑みにせず
ひとつひとつ自分で考えて
自分 ....
なつかしいなつ ねそべったきみ


あきのこいびと どんぐりひろう


ふゆのたいやき まっかなほっぺ


はるめいていく きみがはためく
この花は永劫の畔にゆれている。
あまたのうつろいをながめ
蕾という名の一輪となって。

風よりもとうめいなあなたの声が、
水面をやわくなでている。
どことも知れずに吹いてきては。

 ....
はらりおち/るる。
きぬずれの/おん/を。
ひそめて/おります。

ふぁさり/おりにけるわ。
なりにける/われずに。
ありにける/ありにける。
だきしめたるわ/おん/を
ひそめて/おり ....
山をのぼるたびあたりまえのことだが

生き物いがいも存在しているこの世界に

山が石で岩でできていることをおもう


日本でにばんめに高い山は北岳だ

連山にあるのに富士山より孤独な ....
フルートを吹く君の横顔が
紙袋によく似ていたので
ぼくはおもわずクロワッサンを詰めたくなった
取手のない、閉じるときは口を折るだけの
簡素な作りのやつさ
官能をおびやかすものが
永遠に悩み ....
ほら、樽のなかでお眠りなさい
煩わしいすべてをわすれて

檸檬かしら、いえ、林檎でもいいわ
樽のなかを香気で満たしてあげます

息を潜めて、あ、とも、うん、とも
言わないで猟犬を連れた ....
心情の中で黒い蛇がのたうっている、標的を知らないまま見開いた、血走った視線の先にあるものはあまりにも頼りない虚無だ、絶えず鳴り続けるノイズだけが自分の存在を知らせ続けている…特に冷える夜、特に冷え .... ペンのインクが切れた
詩人は詩が書けなくなった
けれども書けない本当の理由は
それではないことを知っていた
切れたのは
ペンのインクではなかった
仕方がないので
詩人は庭に木を植えた
 ....
足立らどみさんのおすすめリスト(789)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
赤い本、赤い町- 阪井マチ散文(批評 ...319-3-31
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入り相- ルラ自由詩5*19-3-23
詩は勝てない- 印あかり自由詩7*19-3-23
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園庭にて- ひだかた ...自由詩10*19-3-16
なぜ詩を書くのか- 石村散文(批評 ...14*19-3-15
はじめてのデート- ツノル自由詩1*19-3-14
虐待- 印あかり自由詩11*19-3-12
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追想- ルラ自由詩3*19-3-3
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フルートを吹く君の横顔が- ぽりせつ自由詩4*19-2-8
樽のなかの夢- 帆場蔵人自由詩8*19-2-4
FADE_OUT(そのなかにはっきりと聴こえるいくつかの音)- ホロウ・ ...自由詩3*19-2-3
詩人の木- やまうち ...自由詩9*19-2-3

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