このせまい場所をそっと歩いて下さい
    豊饒な広い土地も
    このエメラルドの光が囲む
    この胸ほど広くはない
        ――エミリー・ディキンスン  


 ....
鯛       花は桜いろ
サワラ     甘やかなピアノのメロディーは
赤貝      血潮の香りが胸を刺す
はた      深く広がるハーモニー
つぶ貝     彼方を眺め噛みしめる
え ....
その日、二ヶ月に渡る療養の挙句に会社に見捨てられた私は、まっすぐ家に帰る気にもならず、電車にも乗らずに当てもなくぶらぶらと歩いていた。田舎の高校を卒業して六年間、特別な野心も意欲も無いまま働き続けた仕 .... よく似た物が幾多のブランドで存在する
よく似た顔が幾多のアイドルで存在する

委託者がデザインして受託者へ指示し
技術と品質維持の指導も行い
僕らを納得させる

よく似たプライドが幾多の ....
わ~い
自動ドアだぁ
裏で奴隷が
歯車を回す
人力で

わ~い
デジタルだぁ
裏で社畜が
データを入力
手作業で

この街がネオンで彩られるころ
あの街の空には爆弾が降り
 ....
1.憎しみ

北風だ
なつかしい火事の気配だ

黒いタートルネックから青白い首筋がのぞいて
発情した外套の群れに咬まれた

くだらなくもただしい鳥獣戯画
ただし朝にはいつものコーヒー ....
バリバリと
マヨをかけては
レタス食う
7.コーダ


 その数日後、葉子は数カ月ぶりに弟に連絡を取った。あの日起こった出来事については、自分の幻覚か幻想か分からなかったので、話さなかった。ただ、自分の気持ちだけを素直に話すこ ....
夕景、
いちにちの役割を終えて、
港の工業王国に静かにそびえたっている、
ぼくのちょっとした、すこし傾いた、
鉄骨のキャッスル、
工場の七階から、
淀んだ窓を開け放って、今日も少しだけなが ....
あのラーマが販売を終了する
ラーマとは、インド神話最大の英雄の一人で
タイの現国王もラーマ10世なのだが、
販売を終了するのはマーガリンの名前だ

ボクたちは、あたりまえのように
毎朝パン ....
つらいことは
つらいですよ でも
人生はゲームだ
と思えば
気が楽になる私



私は
私を
生きている
これは
他人の人生ではないのだ
別れは皮膚のあたりが
ひりひりする
トマトのゼリー状のところ
わたしが育てた何か

剥離するその先に
夕立だけの街
手を動かせば
いつも触れるものはあり
その形状も
その名 ....
いまは無い
おでんの屋台
何処いった

焼き鳥の
匂いが誘う
帰り道

チャルメラは
スピード上げて
走り去る

もつ煮込み
野菜だらけで
吐息つく

コンビニに
行 ....
私は{ルビ開襟=かいきん}シャツを着て
路地を左に曲がり
ズボンのポケットから白いハンカチを取り出して
首筋を拭ぐった

家の山茶花の垣根から
{ルビ割烹着=かっぽうぎ}を着た妻がアイロン ....
なるようになるは
ポジティブ思考
なるようにしかならないは
ネガティブ思考
結果は同じでも効果が違う
居心地が違う


なんとかなるは
サバイバル思考
なんともならないは
パニッ ....
青く凍結する冬のそら

しずか独り、浜辺に立つ

打ち寄せるイメージの波

浮かぶ波間の混沌は

思考の光に照射され

弾む言ノ葉、力動の渦

境界を溶かし、大地を洗う

 ....
梅雨入りが今年は早いかもしれず長くなるとも言う予報士

梅雨だけに咲いた紫陽花今見頃ただ正確で表現豊か

同じ場所交通事故が多発して改善される動きにならず

蛍見て綺麗と思わず口に出す森の ....
○「タッチ」

一日に何回タッチしているのだろう
自慰にふける若者のように
暇さえあればスマホ画面にタッチしている
妻にはタッチしないで
乾いたスマホ画面にタッチしている
求めるものはそ ....
午前0時を過ぎると
オレは変貌してしまう
コウモリも寝付いた夜に
静かなBARをさがし
街を彷徨い歩く

眠れない連中は
タンゴを踊り
歌をうたい
さかんにキスをする

オレはゲ ....
月の夜だった。
  海は鱗を散らして輝いていた。
    波打ち際で、骨が鳴いていた。
     「帰りたいよう、帰りたいよう、海に帰りたいよう。」
   と、そいつは、死んだ魚の骨だ ....
 休みの日

 昼間寝すぎて

 夜眠れない



 布団に潜って

 スイカゲームしてたら

 ますます目が冴えて

 嫌になってくる



 学校行きたくな ....
体液の震え、
水を潜り
言葉の感知され
私は誰彼となって
貴女を煩わす
透明な空間

シーツ洗えばまたも雨降り きけよ天 これは祈雨呪術ぢゃないのです おなかいっぱいにカレーを食べて 強烈に暖房を利かせて

得も言われぬ 幸せを感じました


失ったものがあったとて

失うまでの過程でそれが本当に大切だったかには疑問符がつき

リセ ....
{引用=昔の異国の詩人}
籠の中の鳥は誰よりも遠く高く飛んだ
鳥籠を選んだのは彼女自身
名ばかりの自由という見えない鳥かごの中を
ただ同じように旋回するだけの鳩の群れの一羽になるよりも
自分 ....
カーボンニュートラル
ペーパーレス
紙は無くなりつつあり
本すらも紙でなくなっていく


紙さま
神さま

そういえば最近
神さまもあまり見なくなったなあ
居づらくなっ ....
今日もこらこら怒られて 
後楽園で乗り換える
地下深い南北線から丸ノ内線
ダメ山さんはカイトにされて 
天高く干されてる
ダメ川さんは海賊船で
スイングされている
エスカレーター エスカ ....
終えて
始めることを
止めた

当り前に
巡ることを
諦めた

透き通った人達の
声が届かないように
ひたすら囀った

正しすぎる風に
猫背を向けて
なけなしの炎を護ろ ....
酔い覚めて
一杯二杯
もう一杯
まずしい国
ゆたかな国

お金がまずしい国
心がゆたかな国

心がまずしい国
お金かゆたかな国

愛している人がいる国
美しい秘境をかくす国

山岳が虹を掲げる国
大河が祈り ....
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