ねずの波間に
抗う術もなく
不規則に浮き沈む夜は
瑠璃のしずく
そっとほどいて
乳白色の束を覚えず
春の浜にまどろむ
理不尽に打ちあげられし
砂にまみれた海藻は
幸か 不幸か ....
ぼくは詩人
大胆にも謙虚さがあれば
それはそれで
その変化は大きくなる
今日もまた
朝の散歩をしていると
卯の花に出会いました
ここにも夏の訪れ
5枚の花びらを重ね ....
静寂の水面に一石を投ずれば
波紋がゆらり、影が波立つ
月もまた冷ややかな横顔を
一層歪めて泣き笑いする
この橋の名を面影橋と人は呼ぶ
月明かりの下で我が影を
水面に映せば見えるとい ....
ぼくは詩人
自然がすべての自然と
つながっているように
人の心もすべての人と
つながっている
今日もまた
朝の散歩をしていると
藤の花に出会いました
野生に生えたその花 ....
どぎついサンセットで終わった一日
夜のはじまりに静まり返る東シナ海
水平線の果て光り輝く香港の淫売宿を目指して
我等が実験艦シュレスヴィッヒ・ホルスタインがひた走る
ふらふら揺れながら傾きなが ....
夜の中の黒いオーロラ
帯の馬にからみつく蛇
ほどけながら近づく星は
月をかき消す粒の緑
沈むままに 見えぬままに
うごめくものは常にうごめき
まわりながらめぐりながら
夜は水 ....
仕事のない月曜日
事務所に向かうお前の後を
朝
潮風がしみ
猫舌でいつも遅くなるおまえは
長い足ですいすい歩くから
まだ半分ねているおれは
かるく小走りだ
お前の少し後ろを
朝
....
{引用=小鳥のあおいへ}
君の目の
レモンのかおりするかたちで青い輪にふちどられた高く清んでいる空
少女だった
君は、
妻になり
母になり
私の恋人でもあって
今日、{ ....
学割九千八百円の
上海行きの船が岸壁から離れていく
思っていたよりも船は速く
もう見送りの姿も遠く
そのくせ船はゆっくりすすみ
行方は遙かにかすんでいるので
夢をもて ....
帰らなくてはならなかった
ガード下の公園
オレンジと灰色の記憶
あれはいったい
どこだったか
ガムの包み紙の甘い香り
急すぎる石の滑り台
の冷たさ
風はどこからかやってきて
....
目を閉じた赤子の笑みに触れる花
ひとひらをくちうつしする涙かな
赤子の手何を語るや散る桜
とどまらぬ光の糸をたぐる花
名づけても名づけきれぬ日花 ....
ぼくは詩人
自分が嫌だと思うものほど
出くわしてしまうものかもしれない
今日もまた
朝の散歩をしていると
図鑑に出会いました
まるごと1冊あるわけではなく
図鑑の中の数ペ ....
雨の降る夜の帰路
高速を降りてからの長い田舎道
前照灯が照らす小さな視界に
跳ねるものがあるのだ
灯火の中それは白く見え
雨粒とは違う動きで
ぬれたアスファルトの上を
道一面に跳ねる ....
朝焼けがまだ
始まらないので
本当は昨日
あなたに届くはずだった
手紙のことを思った
夜明け色の
手紙を贈って欲しい
君と一緒に
指差して、 ....
年寄りの冷や水空に撒いてくる
歯ならびの悪い家から歌いだす
技術など鳩に喰われろぽっぽのぽー
見えぬもの見えるから書くそれだけだ
....
あなたにも
嬉しい気持ちを
おすそわけ
遠い昔
おさないときに
咲かせた一輪おぼえている
ブリキのジョウロ
みずのいれすぎで
西日がくらんで全部こぼした
花はあんまり鮮烈で
恍惚故に戦慄だった
こころは嘘をつ ....
ぼくは詩人
広大なマクロの世界
繊細なミクロの世界
今日もまた
朝の散歩をしていると
窓枠に出会いました
ガラスはなく窓枠だけ
両手で持ち上げ
そこから見えるさまざまな ....
狭苦しい世界から
こぼれ落ちてしまいそうに
鳥は横切っていく
この胸をしめつける病なのか
握った手のひらを湿らせるだけで
つたうものぬぐいもせず
鳥よ、名も知らぬ猛禽よ
あいつの ....
ぼくは詩人
今は昔の話となってしまったが
と言える自分もまた自分
今日もまた
朝の散歩をしていると
青年に出会いました
若々しいその姿は
自信に満ち溢れていました
....
ぼくは詩人
明と暗は
それぞれ逆があって
はじめてわかる
今日もまた
朝の散歩をしていると
朝影に出会いました
朝日の光の方向と反対に
ぼくがつくる自分の朝影
い ....
「部屋の中」がなくなっていく
「部屋の中」にあったものは
外へと押し出されてしまう
殺風景だと思ってたのに
床、天井、壁
結構いろいろなものがあったので
少しびっくりする
やがて ....
黄昏が近づいて
風向きがふっとかわるとき
隣り合って座るわたしたちの間には
暖かな風のように沈黙が訪れる
丘から見下ろす街並みは
最後の夕日に照らされて
....
未来機械、発明しました。何に使うかはいま思案中です。
赤いマントでメキシカン・ドリアを食べるルクセンブルクの怪人
白い壁に白い花咲く 誰に見つけて欲しくなかったのだろう
....
青色の銀河
青色銀河団さんという人がいて時々作品を拝見させてもらう。青色さんはどこか自分の作品に不満だと言う。”下手くそだなあ、どうしてこんな詩がいいと思ったんだろうって。”いつもとても丁寧に書 ....
ぼくは詩人
目で見ているのは実像
心で感じるのは虚像
なのかもしれない
実像は倒立だが虚像は正立である
今日もまた
朝の散歩をしていると
青空に出会いました
この空の下 ....
川縁の土手に根を生やした蒲公英たちは
うららかな春の陽射しを浴びて
いっせいに背を伸ばす
夏になったら向日葵になるの
ダンデリオンが通りかかると
みんなで声をそろえて問い ....
村
村って
手伝うの
橋
っこの僕
を渡り
きって
切りすぎると
手が痛くて
って
今朝は
ネクタイが
うまく
結べない
の
人がいて
人のように
背格好
があっ
....
抱きしめると
あなたが
ガラス玉の寄せ細工に
思え
はじけ飛ぶ
その寸前を確かめたくて
そっとぎゅっと
力を入れる
と、
あなたは
小さな咳をするので
腕をゆるめて
顔 ....
春、という5月の
光って市ヶ谷の駅の光って階段の小さな窓の
(その駅は、黄色い線の入った電車が水のほとりを走るところの)
ちいさい音楽を
グレーをつつみ隠す太陽色の平行四辺形が4つに
手のひ ....
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