すべての星をつないで ひとつの星座を作りたい
火でできた椿の 輪を作りたい
空に映る地の原に 咲く花を見たい
海に落ち ....
男は十数年ぶりに平均台の上を歩いた
平均台はジャングルにかかる丸太の橋で
その下には凶暴なワニが口を開けて待っている
そんな子供のころの一人遊びを思い出しながら
晩、男はトンカツを食べ ....
この世界には もう
ひとつも乾いた場所など無い と
そんな風に思うほど
360度 水浸しの溢れ出る水槽です。
窓を開けると 外は白い縦線で埋まる巨大な水鏡で
映った私の全身から ....
蝶のための海岸
岩に潜るもの
砂粒を喰むもの
夜のにおいの枯れ庭に立ち
ふいに風を振りかえるとき
ヴィンセント
....
男は冷蔵庫の中で傘を飼育している
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知 ....
目を 吐き
草を 食べ
今生の 別れに今 抗うものがあれば
砂糖で できた林檎を
黒風呂敷で 包み
きびすを返そう
つかんだ者は やがて堕ち
つかまぬ者は 行ってさ ....
覚えていること
今日覚えていること
財布の整理をしたこと
アロエの葉っぱの伸びように驚いたこと
死ななかったこと
皿を割らなかったこと
急ぐことはないということ
いずれいろんなものが ....
誰もがみな
道の途中だった
そして誰もがみな
人に気づかれることなく歩いていた
人に見られていると
そう思うのはあさはかな傲慢であると
時の風が教えてくれた
深い
森の奥から道へ
わ ....
■最初の千文字 Enduring
当時、吉園省では煙草師がまだ数人生存していた。
煙草を吸うためにはまず厳格な検査が必要であり、さらには「煙態」という特殊な所作を身につけなければならず、
喫 ....
背中あわせに立って あるきはじめた
ふりむきざまに 撃ちあうこともなく
ふたたびは相まみえるはずのなかった
もうひとりの わたしとの
決闘が 用意されている
男はふと時計を見た
まじまじと時計を見たことはなかったが
見れば見るほど
時計は自分に似ていた
あたりまえだ
男は時計なのだから
一方、時計はといえば
すでに着替えを終え
これから ....
ゆうらんせん に
ぼろぼろ つめあわされた
ちの かたまった
けあな が すっているのは
どすぐろい よだれ
くんしょう に にぎわう
きれいな まちに
ぺたり ぺた ....
星空の下では今日も
作業灯が明るい
掘り起こされる大地
積み上げられゆくコンクリート
道行く人は
まだか、と未来を吐き捨てる
けれども作業灯は
必ずの未来へと向かって
....
なぜ 今 この人が私に知らされるのか。
そんなことばかり考えてて とまらなくなる。
図書館で出会った 一遍の詩。
ネットでこの人を尋ねる人と出会うとは思わなかった。
自身の心の支えとなった ....
時を刻むより他に
自分にはすべきことがあるんじゃないか
時計は思った
けれど何をしようにも
手も足も出るわけがない
ただ柱にぶらさがって
そこはそれ時計の悲しい性なのだろう
正確 ....
わーわーわーわー!
(わぁわぁわぁわぁ!)
わーわーわーわー!
(わぁわぁわぁわぁ!)
ロックンロールは死んじゃったらしい
死んで生き返ったら強くなるのかな
ロックンロール ....
夕景風が鳴る
ふひゅーんあおあお
さざめくざさささ
ふひゅーんあおあおは彼方からの信号で
信号を窓の中から感じている僕は
木のように揺れている頭のなかを巻いて
片頬をうちぬかれたお ....
ほら、見てごらん
無数の蛍
無数の蝶々
せっかく部屋を暗くしたのに
ほら、見てごらん
僕らはすっかり取り囲まれてる
吐息、ひとつ
(甘く、美味)
喘ぎ、ひと ....
世界のフィーリングで今ぼくは奇跡
よく聞いてよ星のくしゃみを
ためいきがピンクになるまで愛し合う
カーテンを閉めるまでの人間形態
×と書かれた改札にも入 ....
明日の朝も僕は
バスの後部座席に重い腰を下ろしては
昨日のメールで君が励ましてくれた言葉を思い出し
リュックの中から取り出した本を開いて
挟んでいた君の写真をみつめるだろう
遠い町に住む ....
弱気の虫がうじうじと
しめった胸の内に這っていたので
気分を変えようと散歩に出かけた
公園には木の幹の周りを
丸い木目のいすで囲んだ優しい木陰があったので
荷物を降ろして腰かけた
....
こどもたちは でかけたから
ふたりで ひきこもり
ちちくりあいましょう
さんかくもくばにのって
いけるところまで いきましょう
いま泣いたら
なぜかもう二度と
笑えなくなるような
そんな気がしたから
空に向かって入道雲を
ググっと睨んでやった
まひるに嘘をついたりしてはいけません
善良なあたしは
....
私の獏は夢を食べない
捨て獏だったからかしら
母乳で育たなかったからかしら
理由はわからないのだけど
とにかく夢をさし出しても
ふんっと顔を背けてしまうから
長い長い格闘の結果
....
みずいろの風に吹かれて
すこしだけ早まった鼓動が
うなずくように合図をしたら
それが夏のはじまりでした
手のひらでつくった影に
割り込むように差し込んでくる
陽の眩しさを避けて木陰 ....
*
嵐の夜の、その翌朝、ひるがえるはずのない翼の夢に目醒めて、少年は歩き出した。岬の奥の家から、岬の先端の、海を臨む小高い丘陵へと。四年に一度の大きな時化の夜。その騒乱を波の背中に残して、空はひ ....
{引用=八月の月で海鳴り
それでも僕らは響く波音を知っていた}
僕は今、紺碧の{ルビ海=マーレ}を閉じ込めた窓辺から
君に宛ててこの手紙を書いている
{ルビ ....
私は、
強さを求めるには 弱すぎますか 。
定型に望みを賭ける
形なきものにかたちを与えるように
カメラ無し三脚立てて五歩下がり
瞼が切り取る秋の夕暮れ
君のこと好きで好きで気が狂いそう
君の字に宿る君の ....
あなたが
中古
静かに軋む二輪車の
匂い
角を曲がる
何かを思い出し
もう一度角を曲がる
イニシャルを失ったまま
あの縄跳びもまた
どこかへ行くの
駆け込み乗車は
錆びて
....
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