ぽえむ君−今昔−
ぽえむ君
ぼくは詩人
今は昔の話となってしまったが
と言える自分もまた自分
今日もまた
朝の散歩をしていると
青年に出会いました
若々しいその姿は
自信に満ち溢れていました
科学に傾倒し
物語や歌などには目もくれず
ひたすら数学による理論というものを
信奉して止まない
数理な目
ぼくから見た彼の印象
前からぼくに向かって
歩み寄ってくる
何も言わず
軽く会釈をしただけで
すっとぼくの横を通り過ぎる
振り向くと
彼の姿はどこにもありませんでした
彼こそ
若かりし自分であることを
忘れてしまっている自分でもあった
冷めた頭脳とともに
体の中に温かい何かがあったのだろうか
気持ちに言葉はいらない
明日もまた
言葉のない詩を作りたい