太陽を盗んで、
穴に落ちて、
暗闇で、
空っぽで、
誰もいなくて、
誰もがなくて、
誰も待ってなくて、
遠くで、待って、くれなくて、
悲しくて、
苦しくて、
....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
誰もが持っている暗い闇を右手でしっかりと撫で付けて
廊下を走って流れる風を身体で受けて後ろへ流そう
可哀相な世界を抱きしめたブランド志向の人を翻訳して
愛を知っているつもりで与えたの ....
{ルビ時間=とき}の無い惑星の
始発駅で発車のベルは鳴り
無人の汽車は走り始める
満天の星空の下
砂丘の果てへと続く線路の上を
男は車窓から夜空に小さく瞬く地球を見ている
「無限の宇宙 ....
闇の中で
光る私を
あなたは
見ないで
小さく
尖って
咲くか ら
口を覆い
潜む私を
あなたは
見ないで
声に
あ ....
迷子のように
くもの雨だれから
ぬれる ぬれてゆくね
僕からも君からも
何もつないでいけるものが
ないような気がして
みしり、ぱちり、と
ただ おちているだけに
かぜに吹かれた ....
男は簡単だった
周りの人はみな
おまえは簡単だ、と言い
いたって普通だった男の両親は
なぜ普通の自分たちから簡単な子供が生まれたのか
死ぬまで不思議がった
時間があると男は海を見に ....
影は何回も東の方向へ、ぼくとさよならをしたかったはずなんだ。
地面に転がったいくつものものたち、ごみばこ、人間、薄紅色の携帯電話、
全てが…なんか、倒錯している世界、素晴らしい世界。は、
フ ....
水に映る自分を
かきまぜてもかきまぜても
自分にもどる
道の途中
その曲り角の 節目ごとに
石を埋める
浅く
また深く
土を掘って
掘り出されることを予期せずに
宝石のように
ただの石を地に埋める
その上に霜が降りる
あるいは雨が降 ....
そんなに強くしないでと、
君はいう。
構わず痕を付ける。強く。
あいつの知らない場所に、おれの痕を付ける。
おれを愛した唇で、
あいつを愛撫して、
おれが愛 ....
二つの言葉の義眼をはずし
二つの穴にたまった雨水に
羽根が沈んでゆくのを見る
三人泣かせ帰ってきた、清く正しい朝帰り。
麦茶が妙に空っぽい。
虚しくて空しい。
遠い。
遠いんだよ。
俺は、
以下、呟ぼやきます。
罵詈 ....
よちよちとあどけなき手に握られた小菊の束はあさつゆに濡れ
街かどに伽羅のかほりの漂ひて白き日傘に蝉時雨のふる
いま何処におはしますやら彼の人の辿るゆくへは菩薩か修羅か
....
詳しいことは受付でお聞きください
そう言われて男はあたりを見回すが
どこにも受付などない
大切な用件なのだ
思い余って
受付はどこにあるのですか
と再び聞いてみた
あなたが受付です
胸 ....
どのくらいの広さで降っている雨なのか
心は探りに行く
夜に出てゆく
けれど心は気持ちでしかないので
体の外のことは何も感じられない
雨の立てる匂いの遠さと近さ
水の滞空時間
....
たおれるって
あきらめることでは なくて
おきあがれない こと
かよわなくなった こころ
暗く 憎しみばかりつのる時
灯は しずかに 病みを照らして
今は 夜
ただ ....
それぞれの空があり
それぞれの海があるように
それぞれが少しずつ違うからこそ
世界と呼ばれるものがある
ぼくらは
お互いを知るために
生まれてきたわけではないけれど
傷つ ....
けだものの心に近づいてはいけない
けだものに喰われてしまうから
けだものの心を知ってはいけない
けだものになってしまうから
けだものの心は
晴れわたる心
恣(ほしいま ....
思い出せない言葉のかわりに
鳥を葬り
砕けていく雲を見つめる
質問と答えを
同時に失うとき
翼を求める気持ちをおさえられない
....
もともと性に合わないんだ
優しくされるのも
穏やかになるのも
まんざらではなかったけれど
もともと性に合わないんだ
じっと見つめてごらん
鉄塔のもっと上
じっと聞 ....
たとえば少年の溜息を
たとえば少女の独白を
空は拾いあげるでしょう
空にはみんなの星がある
たとえば背広の焼酎を
たとえば情婦の香水を
空は拾いあげるでしょう
空には ....
火のなかに失ったもの
火のなかに忘れたもの
火のなかに入り
置いてきたもの
三つのものの区別がつかなくなった今でも
お ....
平均台の上を歩くみたいに、生きてる
両の手を横にのばして、バランスをとる
あせってはだめ
はしるなんて、なおさら
足もとばかり、見ている
けど、前を向いたほうがキ ....
男のズボンの右ポケットは
いつの間にか上着の胸ポケットに繋がっていた
えいっ、と腕を突っ込めば
指先が胸ポケットからにょきりと出る
それが生きていくうえで何の役に立つというのか
試し ....
いま、ここでできること
わたしのなかの
もう忘れた 日々のなかの
灰の底で まだ暖かなものを
はだかの ゆびで つまみ
てのひらのなかで
そっと 吹きかけていくこと
ああ 雨が窓を打 ....
その花は
涙をあつめた
毬のようで
降りつづく
雨の重さに
身を委ねて
香りもせず
散りもせず
ただうつむき
けれど私は
その毬から零れた
微かなうたごえを
た ....
次に私が拾った獏は
これはもう生まれついての
野良獏だったから
やっぱり夢は食べなくて
好んで食べたのは・・・嘘
あぁ 私はどうしたらいいのかしら
せっかくイイヒトで通してきたのに ....
マリアンヌあなたが眠る七月にあなたが強く響くのを聴く
マリアンヌ七月の原をふりかえり星の海を見つめつづける
マリアンヌ石壁を越えあなたへと滴のような声がしたたる ....
思いもよらない場所に
手が くちびるが
触れてゆく
思いもよらない場所に
いるはずのないひとの
手が くちびるが
....
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