確かに
すべての物語は 語られた
それは真実
疑うことの出来ない 真実
だが
人々の ひとりひとりの
それぞれの物語はいまも
日に
夜に
生まれつつある
やがて
歩くものとなる物 ....
ねぇ ジョアン
その美しいものは何
私はそんな綺麗なものを知らない
夢すら見ない
私には君の持つそれがわからない
ねぇ メアリ
その醜いものは何
私はそんな醜いもの ....
チョークの淵を遊ぶ子
意味のない歌を歌う
それはそれは怖ろしい歌
それは 怖ろしい歌
ひとつだけ覚えている言葉
「真昼の月を描きなさい
力は要りません
知恵も要りません
....
つぎはぎの笑顔
目を閉じた笑顔
ひらくたびに変わり
ひとつ前のかたちに
重なりゆく笑顔
鳥のようなさよなら
午後の水たまりの道を飛ぶ
雲ひとつなく まばゆさもなく
....
てめぇの詩を覚えるより
その教科書を覚える方を選ぶんなら
詩人なんざ辞めちまえ
詩人なんざ 辞めちまえ
なじまずに 赤は 錆びる
焼けて 触れられぬ やすらぎ
いいわけのような 暖かい 風
うつけた雲 てん てん てんつき
投げだされても 守る 思い詰めた大地に
立つ事だけが ....
峠には若い糸杉の木が一本生えている
すっくと立ち、
天を指差して
糸杉の木が、生えている
峠の糸杉から少し離れたところに、
朽ちかけた切り株がある
....
乱反射している飛沫に映るきみ刹那に過ぎ行く夏のはじまり
六月を雨の季節とたとえれば花嫁たちのヴェールは時雨
水の中の八月だから転校すきみの街までクロールでゆく
ひたいから ....
生きていること
朝が また 私を 駆り立て
呼吸とともに 一日が始まる
縛られていること
気持ちからは 成り立たない 行動
目頭は いつだって 乾いている
歩くということ
....
まいにちカタログに類似品を追加して
不特定多数のみなさまに送っています
自分の言葉 というのも関連商品です
世界とおなじ大きさのサンプルがあれば
もっと売れるんだけどなあ
もう少し暖かくなったら
会いに行こう、
なんて思っていたら
すでに暖かくなっていて、
慌てて金をかき集めて僕は
列車を乗り継いだんだ。
空いてる車両の
窓を少し上げながら、
(風が ....
あまりにも長い一日だったな
そう あまりにも長い
頭の中で 声と声が話し合う
俺は二重人格なのだ
ひとりの俺は勇猛果敢で
もうひとりの俺はあまりにもなさけない
あまりにも長い午後だな
そ ....
常識という枠に犯された灰色の鼠
薄暗くも無い納屋の隅に身を沈める
明日は晴れるかな
それよりもどうだい 今日はこのチーズと麦酒で乾杯なんて
普通という檻に閉じ込められた群青の ....
{過去=きのう}のことがまるで昨日のことのようによみがえる
・・・花びらは
誇らしげに 寂しげに 儚げに
その色を 形を 輝きを
放っているけど・・・
一陣の風 やわらかく包み込 ....
5がつ4か。
ふぉーらむ、753ばん。ぷるるん。
ぼくはわらうひとららいすきれす。
えがおをみるろ、とれもうれしくなるのら。
ぼくらはごかいら、おもいこみれ、けんかをしらす ....
− 素子へ、特別版 −
子供の頃は戦後のモータリゼーションが
発展し始めた時期で
うちの車は初代パブリカのデラックス
その頃は車のグレードと言った ....
竹の子を探す少年少女らを囲む竹林千本の闇
ウミウシという生き物がいることもやがて知るのか二歳の娘
あの日きみが嫌いと言った茄子を見て疼くこころのむらさきの痣
たこ焼きのた ....
まだわたしが良からぬことを考えているうちに退却する軍隊の足並みが乱れている
大きな一枚の鉄板から切り出した風見鶏がくるくる回っていると方角を見失う集団
集団が催眠するテントの中でファスナーは完全に ....
筍の感情 同じ夜ばかり見ているはずの違う自分が
ウミウシを夕餉に出される漢字では書けないような場所に来ている
飛行機が墜落してる茄子を買う少女のようなまなじりをして
....
味噌汁の茄子にやけどをした舌を冷やした夜に交わした明日
うぐいすをおくちのなかでとろけてく春の野に出で転がした笛
一皿のタコヤキでなく一粒を分け合えるならタコなし一興
晩飯のこと ....
この部屋の中心はどこだろう、
その質問も今はもう
何の意味も無い、
答えを知っても
何も変わらない
そんな現実のほうを僕は
憎んでいたのかもしれない。
例えば川沿いの道の
小石を手 ....
彼は
街角の信号機に吊るされている
頸に
太い縄を巻きつけられて
どんな罪なのか
どんな過ちなのか
それを知る者は誰もなく
彼は吊られながらも 笑っている
それはひとつの風景
この世 ....
手をつないで
深いところまで、いってしまった
引いてゆくまにまに
記憶の砂がすれあっては
かすかに音をたてる
ノートブックの波に
毎日つづった、日記
夕立ちをよけて、キスをして、 ....
世界は正常で
人間は生まれた時から既に正しいと
信じる脳天気な操り人形たち
彼等のはきはきした口調
輝く瞳を尻目に
いま空高く
首が飛ぶ
もう数世紀も前に胴体から切り離されて
わが骸を ....
よく晴れた昼過ぎ
満開の桜の木陰にすいよせられて
黒い幹に{ルビ凭=もた}れ腰を下ろしていた
桜の花々は音もなく風にざわつき
ふと 辺りを見わたすと
桜の{ルビ蕾等=つぼみら} ....
背中にふれる髪は
ここまで伸びた
毛先をつまむと3年前の記憶が
染み込んでいそうで
笑える
きいろい花はいっぱい咲いて
まばたきをする
すぅぃと踊らされて
闇をきる
ゆっさゆ ....
すべてが真っ白な午後の岬よりの 帰路の
海も 空も お日様までも
それは
昇冬のころあいに生まれた
春の おくり
遠い場所のあなたが
しあわせでありますように
桜を見送って
鯉のぼりを見送って
雨を待つふりで
見上げて
私がここにいること
この場所にいることを
あなたは
ずっと覚えて ....
土に倒れた鉄の飾りに
剥がれた壁のかけらは積もり
錆の網目にふちどられてゆく
誰も住むことのない家が
はじめからそのために建てられたかのように
灰と緑にとけこんでいる
....
気狂いに刃物
猿に電車
ガキにプール
妻に避妊具
配達員に写メール
青菜に塩
梅干に鰻
童貞にこんにゃく
並木に青虫
女優にバナナ
牛車にロケット
鈍器に着け火
電車曲がる軋む ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195