冷たい雨に身体を打たせた
冷たい雨に身体を委ねた
貴方のように冷たい雨に‥

夏の前の雨の季節
窓から見える暗い空
水たまりに落ちる雨の粒
この水分を
この湿気を
吸い込んで私の心は ....
ひと山に切り離されし髪の毛の時の長さを横目で計る

これ以上ないってほどに慎重な手つきで髪を洗う君。その耳たぶに揺れるピアスが

リセットの仕方分からぬ不器用な私にできるひとつの手段

必 ....
わたしは歌っていない。
わたしは呪文を持っていないの。

あの子が勝手に毒入り林檎に手を伸ばしたんだわ。
声が枯れてしまったから、魔女にはなれなかったの。

ふわふわ浮いていたかったの。
 ....
潮の匂いのする河口で
きみが釣り上げた秋は
きらきらと
ヴァーミリオンの鱗を煌めかせ
すっぽりと
きみの心に還っていった

ぼくはといえば
あいかわらず
仕掛けを空に垂らし
風を釣 ....
メールでは返信を促しているようで
そんなことを期待しない今日の私は
便箋に走らせてみようと思うのです


書き出しは、季節のことや天気のこと
やわらかに二人がつながっている
なんてことを ....
手に触れるすべての
温度と湿度が
いつもより優しく感じられる
マリオをやれば
たくさんコインを取れる気がする
喪服に袖を通す
今日はもう
泣かずに済むのだと思う

+

 ....
肌にふれる
ざわめきの波に
もういいよ
さすらうため息

とまどうことなく消した
たばこの残り火が
灰皿に冷たく燃えていく

おびただしい熱が
さみしいからだを満たす夜
かえりみ ....
 小学校の、ニ、三年位の頃。どっちだったかすっかり忘れてしまったが、ある時担任の先生から、
「お母さん何の仕事しているの」
と言うような質問をされた。僕は当時から視力が悪く一番前の席順が定位置 ....
噛みしめた砂に零れしひとすじの涙は見ないことにするから

震えてる広い背中が小刻みに お休みしよう強いあなたを

肩を抱くことさえできず君の部屋そっと出て行く帰路は土砂降り


雨音がか ....
(その3 園芸屋のおじさん)


おじさんは良く独り言をいっているのだけど、実はそれが独り言ではないということに気づいたのはつい最近のことだ。

植物に音楽を聞かせるときれいな花が咲くという ....
幼い妹の髪を結いながら
長い髪を結いながら
きっとこの髪は
風に{ルビ凪=な}がれて
哀しみを絡みつけているんだろうなぁ
なんて思う

それでもあんまり
真っ直ぐしているから
私には ....
黒いドレスの少女の目差は
夢を射貫いて遠く羽撃く

永遠に透けた墓場へと
涙のあとが堕ちてゆく

約束のための雨垂れが
含んだ土へと帰る

私は時を経て
最果てに芽吹く

お早 ....
真夏の日差しの照りつける
石畳のオランダ坂を下っていると
左手の幼稚園の中には
元気に足踏みしながら歌う
水色の服を着た子供達

入り口には
ひとりはぐれて泣いている男の子
笑みを浮か ....
空が灰色クレヨンの日
風邪をひいた詩人はゆめゆめ思った


詩人たるもの
移ろう季節を誰より早く
探して言葉にしなくちゃいけない


詩人たるもの
少しはむつかしい漢字くらい
す ....
アスファルトの上に落ちていた
虫の亡骸を
土の上へと
いつかその身を
風にゆらす花へと
帰すまで
この身のゆらぎを
諦めに似た憂うつで
{ルビ現=うつつ}にゆらします

回転する
 ....
薄墨を流したような目の下の溶けるマスカラ 涙じゃないわ

難しい顔をしながらバーボンを語る男に惚れてみた夜

たまに出す声が真紅にそまる時 青白き夜明け 雲を見ていた

トレゾワの香りを君 ....
恵みは 希望を膨らませ
たわわに 蓄えられて行く

根ざす 大地は暖かく
不自由さに 逆らうことも無く静かだ

希望は満ちながら 腕から零れ落ちて
一面に 撒き散らされる

帰ること ....
好きなものを頼みなさい
メニューを渡すと
娘はしばらくうつむいて
星が見たいと言う
隣のテーブルにバスがいたので
手を繋ぎ乗る
ひとつ前の停留所で
サーカスを見るために
大半の客は ....
ランブルのデミタスを
すするように飲むと
僕の舌先に
震えるような秋が来た

ドミ二クチノの蒼い絵が
氷のように冷たく見え
飲み干して
しばらく歓談していても
僕の胸のうちの秋は
 ....
カーマイン、スカーレットにマゼンタの三人の魔女空で焼かれた


瑠璃色の勿忘草はまみどりに染めたの白をあきらめたから


人魚にも羽はあったと焼け跡の肩甲骨をさわった指で


当たり ....
透過傾向にある
あこがれを{ルビ禁=いさ}めて
風と{ルビ心中=しんじゅう}
(危うげに傾倒する風脈)
距離は
あこがれを侵食するのか
もう発生です
雨天決行よしなに

風はどちらか ....
たもつさんの詩集が届く。注文してから、すでに2ヶ月が過ぎていた。発送元には何の罪もない。メールで注文したのはいいが、自分のアドレスを間違って入力していたのだ。いつまでも連絡がこないはずだ。ネットは、す .... はじけてしまいました
裂けてしまったんです


中身は半透明で
つぶつぶが少し混じっていましたが
甘い汁と一緒に
流れ出してしまいました


裂けた皮だけが
残ってしまいまし ....
掌からうたが溢れ
あおいそらに吸い込まれていく
天上人の哀しみの衣を揺すり
流れ星がひとつ零れて散った

足下からうたが生まれ
あおい海原に 滲んで消えた
深海魚の喜びのざわめき ....
 ピアノの鍵盤はじける
 もどらぬ深海の底に

 画用紙をはみだした黒と
 混じり
 内出血は生まれる




 願いをこめた文字に
 紙やすりをかける

 ....
(行ってらっしゃい)
宇宙の森で生まれた あなたと

あなたは今頃どの辺
七丁目の角かしら
目的は果せた?
わたしは洗濯をすますところ

留守のはざまで
不透明な静けさを淹れて飲むと ....
あまり過保護になっては
ひとり立ちできないなどと
父母が 孫の話をする

だんだん 友人との付き合いが
目の届かないところまでいき
不安そうだが
あまり しばりつけても
本人のためにな ....
 夜の帳がおりて
 静けさの中
 意味のない今に
 沈む

 気持ち良さそうに
 寝ている仔猫は
 寝返りをうつ

 僕はおもちゃを
 壊してしまって
 泣いている

 いつ ....
低いオクターブで
朝を告げながら
高いところを
水が流れている
知らないあいだに またひとつ
季節をまたいでしまった


雲と空に距離が生じてゆく
そのすきまを
縫いながら、通過す ....
仕事に疲れたおまえが
こんなわたくしの部屋に帰り着くと
雨にぬれたおまえは
いつものように静かに服を脱いだ
行き場のない案山子のようなジャケットを
お前はハンガーにかける
遊んでもらえない ....
落合朱美さんのおすすめリスト(2868)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冷たい雨- 水無月 ...自由詩205-10-11
cut- 一代 歩短歌4*05-10-11
黒い傘を持って- 浅野 す ...自由詩5*05-10-10
秋釣- 草野大悟自由詩12*05-10-10
星空の宛先- たりぽん ...自由詩20*05-10-10
小詩集「書置き」(五十一〜六十)- たもつ自由詩1205-10-10
かくれんぼ- こしごえ自由詩15*05-10-10
ホステスの母- 日雇いく ...散文(批評 ...15*05-10-10
涙路- 一代 歩短歌3*05-10-10
シリーズ「おじさんと僕」3- ベンジャ ...自由詩4*05-10-9
手櫛- 日和自由詩14*05-10-9
上陸- こしごえ自由詩7*05-10-9
魔法の文字_ー長崎にてー_- 服部 剛自由詩10*05-10-9
詩人は傘を忘れる- 銀猫自由詩16*05-10-9
仰ぐ亡骸- こしごえ自由詩8*05-10-9
10月9日の- 一代 歩短歌2*05-10-9
椎の木- しらいし ...自由詩13*05-10-8
小詩集「書置き」(四十一〜五十)- たもつ自由詩12*05-10-8
秋のデミタス- けんご自由詩6*05-10-8
火日- ソマリ短歌9*05-10-8
運転- こしごえ未詩・独白7*05-10-8
こっそりと白の時代〜たもつさん詩集に寄せて- umineko散文(批評 ...18*05-10-8
忘れな葡萄- たりぽん ...自由詩12*05-10-7
*うた*- かおる自由詩11*05-10-7
内出血- カンチェ ...自由詩1005-10-7
お留守番- こしごえ自由詩12*05-10-7
ああ- 砂木自由詩12*05-10-7
楽園- 炭本 樹 ...自由詩205-10-7
流れてく、頭上の、- 望月 ゆ ...自由詩22+05-10-6
秋の乳房- 黒田康之自由詩505-10-6

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