雨の降る夜の路地裏を 
酔っ払いの男は一人
鼻歌交じりに 
傘も差さずに歩く  
涙色の音符を背後に振り撒いて

雨は降り続き 
路上に散らばった音符は濡れて 
よろけた男の後ろ姿は  ....
きりきりと張られた
暗い夜道

向かう音のない雨
片側だけで 聴く耳
もうひとつの行方 

舗道を流れる
外灯の明りに
寄りすがり
つぶてに 落とされた 蛾

パタパタと 動か ....
深くみずをたたえて、湿度を高位にくばり、
森に沈みこむ薄化粧の木霊は、
香ばしい季節の賑わいを、端正に、はおり、
浮かび上がるみどりに浸る、
眩い光沢を、透き通る声の上に配して。

流れる ....
曇った空の下では
海も鈍い色をしていた
打ち寄せる波の先だけは白く
足元に届けられて

よーく目を凝らして見てごらん
水平線が弧を描いている
停留しているタンカーが遥か沖のほうで
 ....
草のしないだ後が 私の靴後
手の中にある と思うものだけ
鍵だから いつまでも開かない

ふさぐ風だけ 私を知ってる
つぶれない 心の輪 とじない宇宙

弾く ひくく
触れさせ ....
わたしは 小学生の頃
ずうっと
いじめられていました。

掃除の時間の
締め切った
理科実験室で
彼女達は
一列に列を作って
一人づつ順番に
わたしの頬を
殴ってゆきました。
 ....

午後が
千枚のツツクホウシで耳に触れる
この、耳、
もっと奥へと誘う迷路を装って実は
透明のものにたやすく沿う為の形状の
この耳が、悦びに震える、嗚呼、午後よ、
午後 ....
雨が上がると
空気が透明を増して
夏の名残と夢とが冷まされ
水の中を歩くように九月

夏服の明るさが
どこか不似合いになり
息を潜めていた淋しさだとか
熱に乾いていた涙が
堰を切 ....
ねこになったきみとぼく

木漏れ日ゆれる

ねむの木の下で

二匹ころんと横になる



長い尻尾が自慢の

きみはしましまトラ猫で

大きな耳が自慢の

ぼくは三色三毛猫で

仲良く顔を並べて

昼 ....
地下組織で会おう
幾つもの目が 最後の挨拶のため絡んだ

今だ
男達は いっせいに 監視に襲い掛かった
採掘現場の数人の見張りは 銃で応戦する
あたりは すぐに血まみれの死体の山になったが ....
ゼロになりたい

無ではなく
確かに存在し
しかも
姿はなく

誰も傷つけない
影響もされない
ただ
存在する

消え去る必要もない
見えないから

たとえば抱き合っても ....
ここ最近夕方になると
白い雲は赤シャツを着て
どこかへと出かけてゆく

トンボが追いかけてみたけれど
地平線までが限界だった

彼はどこへ行くのだろう

お洒落な自分を
誰かに見せ ....
お店を出してくれたあの人は
やさしいひとでいい男だけど
私の好きな人じゃない
5年もごまかしてきたけれど
もう、避けられないみたい

貴女はそういうと
二人きりになった店の灯りを落と ....
夏の夜空の番人

星かごを襷がけして麦藁帽子を冠った少年は

いつも北を指す柄杓を星取り網にして

日曜から土曜までの一週間を飾るにふさわしい

喜怒哀楽、悲喜こもごも、揺りか ....
怒ったあなたの瞳に光るもの

稲妻だったらすごい

それはどんなにかすごい

刃のように空を閃かせて

雨に濡れ
雨に驚く人々の顔をくっきりと切り取る

それほどの鋭さで
稲妻 ....
霧が晴れてゆく

みづうみの奥から

水鳥が生まれてくる



霧がひくのと

同じ速度で

姿を現してくる



水は湧き

風ははしり

みづうみは ....
どこへ続くかなんて知らない

呟きながら
レールを敷き詰める私

そのレールを通るのは
私ではなく
どこかの
誰か


私の役目は
それを眺めて
続きの途絶えを防ぐこと ....
昼も それなりに
ひとりきりで
過ごす 時間は
長く
辛い

けど 少しづつ 慣れてきた

だけど

独りの食事も
お風呂も
済ませた 後の
あのひとの 帰るまでの 時間は
 ....
騒いでいるときに聞こえる歌声は
なんだか知らないメロディーは
ボートの中の水あかの貯まり水
捨てられるために汲みとられ
完全無欠のお殿様に捧げられ
走り出すのは蜜柑色したキリギリス
私たち ....
平原を行く象の群れは
なぜかいつも
夕日を背負つてゐる
象よ
夕日をいづこへ
運んで行かうといふのか


そのゆつたりとした足取りで
夕日を
悠久のかなたへ
返上しにゆくのか
 ....
一。


バットマンの乳首は黒い。

そんなことを考えていると、
玄関のチャイムが鳴った。
テレビを消し、
けだるく返事をして立ち上がる。
足下がふら ....
ひかりの葬列が瞳孔の砂浜に沈み、
溢れる夏が清涼な涙を流す。
新しく生まれた水彩画の冒頭を見つめながら、
わたしは、森の湧き水で掌を浸した
愁風の滴る夏の終わりを均等にまとめる。

青い寝 ....
休憩室の扉を開くと 
左右の靴のつま先が
{ルビ逆=さか}さに置かれていた 

ほんのささいなことで 
誰かとすれ違ってしまいそうで 

思わず僕は身をかがめ 
左右の靴を手にとって  ....
出勤のバスの中 
ぷ〜んと近づいた{ルビ蚊=か}を 
合わせた両手で{ルビ潰=つぶ}す 

指にこびりついた
ご遺体を
どこへやろうか 
置き場に少し困って 
床に落とした 

( ....
ときには
顔を真っ赤にしながら
たくさんの風船を膨らませてきました

割れたものも
木の枝から離れなかったものも
見知らぬ空や海の彼方へと流れたままの
ものもあります

それは ....
最初に

小麦畑の8等星のわたしを
見つけてくれたのは
”k"さん と言う方でした。

わたしは 最初
”k"さんは
その作品から
15歳の 少女だと 思って い ....
いつの頃からそうなのか
わからないけれど
物心がついた時から
ぼくの家には屋根がない

どうしてなのと
親に聞いたら
そういうものだと諭された

友達の家にも
遊びに行くお店にも
 ....
はじまりは
突然ではなくて
地面に染み込んでいく
雨の速さに似ている

背後に潜む
稲妻と雷鳴の予感
と、その準備に追われる頃
夏の気配はすでに
私の踵を浮かせ始めていた

色濃 ....
レモングラスの川べりから
青い星座を辿ってきたのですね

稲妻をたたえた雲は
あと少しで追いつくでしょう

細いボトルには少しのお酒が残っていて

薔薇の庭にぐるりと張り巡らされた柵
 ....
おのれの呼吸が
一つの音であるということ
それは
あまりにも気づき難くて
ともすれば
日々の暮らしの意味さえも忘れてしまう


月の満ち欠けは
暦の通りに
全く正しく空に映るの ....
落合朱美さんのおすすめリスト(2868)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雨の夜_- 服部 剛未詩・独白10*06-9-18
背中の背中に潤う寝息- 砂木自由詩13*06-9-17
森の経験- 前田ふむ ...自由詩19*06-9-13
海を連れて帰る- LEO自由詩15*06-9-11
星雲巡航- 砂木自由詩16*06-9-10
肯定ペンギンの消えたコロニー- Lucy.M.千 ...自由詩12*06-9-4
震える耳- A道化自由詩1006-9-3
輪舞(ロンド)- 銀猫自由詩19+*06-9-3
ねむの木の下で- LEO携帯写真+ ...20*06-9-3
乗り間違えた小熊- 砂木自由詩6*06-9-3
ゼロ- umineko自由詩12*06-9-2
赤シャツを着た白い雲- ぽえむ君自由詩12*06-9-2
茉莉花- たりぽん ...自由詩13*06-9-2
*七夕七景*_〜番人〜- かおる自由詩10*06-9-2
- ふるる自由詩10*06-9-2
水鳥- 杉菜 晃自由詩6*06-9-2
私はレールを敷き詰める- 千波 一 ...自由詩11*06-9-2
ドコデモ_ドア_が_欲しい夜- Lucy.M.千 ...自由詩406-9-2
蜜柑色の試食肉- あおば未詩・独白4*06-9-2
- 杉菜 晃自由詩8*06-9-1
「_漬けられた夜。_」- PULL.自由詩11*06-9-1
旅愁- 前田ふむ ...自由詩15*06-8-31
- 服部 剛自由詩24*06-8-31
虫よけの風- 服部 剛自由詩3*06-8-31
風船のあふれる部屋- 千波 一 ...自由詩15*06-8-31
夢魔の細くながい舌__〜非公式編〜- Lucy.M.千 ...自由詩6*06-8-31
ぼくの家には屋根がない- ぽえむ君自由詩14*06-8-30
きみといた夏- LEO自由詩13*06-8-30
青い旗- ふるる自由詩12*06-8-30
ノクターンには逆らえない- 千波 一 ...自由詩19*06-8-30

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