椎の木
しらいし いちみ 

恵みは 希望を膨らませ
たわわに 蓄えられて行く

根ざす 大地は暖かく
不自由さに 逆らうことも無く静かだ

希望は満ちながら 腕から零れ落ちて
一面に 撒き散らされる

帰ることの無い 高さは雫を集め
時には 優しさの涙を流し
時には 悲しみの涙を縁取る

百分の一の希望を 季節に委ねながら
時に逆らわず 天命を全うさせる

フェンスに掛かる 迷子犬のビラが淋しげで
君は不自由な体を 風に託し
茶色の帽子を取って お辞儀をする

誰よりも 自由な時間を使って
それから憂鬱への 冬支度が始まる

佇む足元には 秋草は盛り







自由詩 椎の木 Copyright しらいし いちみ  2005-10-08 23:31:38
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