上りの通過列車が
雨上がりのプラットホームを過り
色褪せたベンチの水滴を
さらってゆく


少し欠けた白線と
凸凹黄色のタイルは
きっと黙って
それを見ている


プラットホー ....
(その2 自転車屋のおじさん)


おじさんの手にはすっかり油がしみ込んでいて、指紋もわからないくらいになっている。

それが職人の手だと自慢していたけれど、あんまりじろじろ見ていると少し恥 ....
人の灯りが
山間に星空のようにまたたいている
地上の星という流行り歌があった
高台を走る田舎の高速道路から盆地を見下ろすと
それは星の吹き溜まりのように見えるのだった

星座には見えないが ....
ちょこっとのきっかけで
けんかになった
ぼくは
ありったけのわるぐちをいった

ばか
おたんこなす
よわむし
げじげじ

ぷいっとそっぽをむいて
いえにかえった


ひとり ....
改札口にて
お待ち申し上げております


行き先を
詮索したりはいたしません
どうぞ
ご安心を


あなたがここを
通過してゆく事実のみ
確かめさせて頂きたいのです ....
ひとりになる
そんなことは結局、どこにもないのかもしれない
はぐれがちになる秋の、空の一片は
また明日と手を振るように
ぽっかりと抜け落ちている

秋の
すっと高くなる人たちの
忘れ ....
朝の空気は
ひんやりとして
あたらしいいのちを
送りだす
遠くから聴こえる
鳥の声に
遠くで暮らす
母の足音
滲んでる

{引用=耳を澄ます}
朝の空気は
瑞々しくて
白から ....
朽ち溢れた花びらは
先ほどまで
朱く萌え
そこに立ちいた
曼珠沙華

終りをみるの
何度でも


傍らで
見送る私は
何、想う

終りをみるたび
思い出す
始まりがある ....
眠りは当局から支給される
月にいちど注文をすることになっている
私は主に スタンダードな「白の眠り」を注文する
けれどいつもおなじ眠りというのも
あじけない気がするので
やはりスタンダードな ....
{ルビ夥=おびただ}しく降り注ぐのは
湿り気のある眼球たち

あまりにも優しい成分なので
それらは
{ルビ容易=たやす}く踏み潰せてしまうのだが
悲鳴に私は恐怖する

オアシスはすぐ其 ....
イチジクを手にとる
あなたの背中を思い出す

いつかの電車内で振った
人体骨格のねじれた手首に
無邪気な笑顔でこたえた少女
そこにみだらな星はなく
鮮烈なスタッカートが鳴り響いていたので ....
最後まで
君の心のシグナルが
わからなかったボクを許して

その
深い瞳の色が
止まれ であるのか
進めで いいのか
点滅なのか
それとも
拒絶

ブラウスの
ボタンがひとつ ....
わたのある夏の日の
火の粉とともに
野原の蒸気は渦をまく。

ぼくらは真赤です。



麦畑をすぎる
風になまえがあるように
瞬きもまた瞳。

ぼくらは真赤です。
吹かれるように手を振る
ススキの群れの中に
枯れて埋もれていきたいと
いや、そんな最期のために
生きていきたいのです


西風が波を走らせて
遠泳の息継ぎのように
{ルビ水面=みなも ....
止まっているように

スイスイと流れる

蜻蛉の秋


確かなものなど

なにもないのだ
(その1 時計屋のおじさん)


裏通りにある時計屋のおじさんは、まるで手品師みたいに器用だ。

おじさんの大きな手からは想像もつかないような、ちいさな部品をちょこちょこといじると、さっきま ....
欲望の膨張に忠実にあれば
私は一個の無言する絶叫である。

現存する過去の連なりに位置する孤独は
現在の溺れる魚の視界だ。

我がための我の告白は
中心する周回の円の傾き。

彩られ ....
尖った粘土に
刺さった虫
のように
息だけ
している
息しか
できない

+

明方
キリンの群れが横断歩道を
渡っていく
あれは首長竜の一種だ
と弟に教える
弟は悲しそ ....
君は寝た振りが得意
わかっていてもウッカリ騙され
今朝もゴミ捨ては僕の役目


君は大人だから
分をわきまえているよね
僕はと言えば歳はくっても
燃える恋と燃えない恋の分別さえ
未だ ....
さいきん
私をみつけます
なまいきで
じょうだんみたいな手足で
おもたいランドセルをゆらしてる
あなた


胸のまんなかのスイッチは
押したら たぶん
おたがいへんな音が出る
だ ....
思いも寄らず
潤いすぎれば
うっとうしくも重たくなる時があり
そんな状態では
さっぱりとかわいてみたくもあり
それでいて
方法も知らない
わたしは
煙草に火をつけて
遠い夢を静かに吹 ....
どうしても肌寒い蟋蟀質の摩擦によって
むしろ冷却されるわたしたちは概ね
低温のまま一生を終える腹部だ


脆い部分からアルコール消毒されてゆき
ついには殺虫されてしいんとす ....
ひ ゆるめば
あかされぬ 水平線 の

語り 眠らせる 睡蓮

トレモロ 
頬 寄せれば

いななく しらかぜ の

うちつける 火 の 扉
飛沫 で 消して

そこ ....
斜めにモノを見る
という言葉を
初めてきいたのは
いつだったか

気がつけば
斜めにモノを見ているような
最近の自分
空いている電車に乗り 席に座る
駅に停まり 駅を通過し
また駅を通過し 駅に停まり
車内は次第に混んでくるが
他の席はどんどん埋まってゆくが
私の隣はいつまでも空いたまま
誰も座ろうとはし ....
大切なものを失くしました
良く晴れた日のことです

まだ記憶だけが鮮明に残っていて
もしかしたら

あなたのことかもしれません

それはそれで
とてもいい歌だと思いました


 ....
かちにげはずるい

9月は考え込んだ
8月のやつったら
いい思い出だけ残して
いっちまった

かき氷
カラコロ、下駄
「髪型、かわいいね」って言ってた
あの人・・・
カエルの鳴き ....
 
 友達も恋人も帰ってしまった
 雨はしらないうちに止んでいる

 ついさっきまでの
 喧騒が嘘のように
 部屋の中は
 パソコンのビィーンという音以外
 何も聞こえない

 突 ....
人の嘘で
鳥は空を飛ぶ
鳥の嘘で
ドアは人を
閉じ込める
ドアの中で
人は鳥を
飛ばし続ける

+

いつも
三人なのに
いつも
八等分
してしまう

+

 ....
横浜の学校の帰り、
地下街で買った、
ドルフィンの絵を、
窓にかたむけて置く。
青い海の中、
海面には太陽の光がさし、
ついのドルフィンが、
気泡をだし、よりそいながら、
深みへと潜っ ....
落合朱美さんのおすすめリスト(2868)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
路線区- 銀猫自由詩11*05-10-6
シリーズ「おじさんと僕」2- ベンジャ ...自由詩9*05-10-6
盆地- 岡村明子自由詩905-10-6
けんか- さち自由詩10*05-10-6
改札口にて- 千波 一 ...自由詩41*05-10-6
はぐれる空も、見送る人も- 霜天自由詩1205-10-6
朝の祈り- 未詩・独白13*05-10-5
始まりのために- LEO自由詩3*05-10-5
眠りのシステム- 塔野夏子自由詩35*05-10-5
砂嵐- 千波 一 ...自由詩11*05-10-5
映日果(イチジク)- こしごえ自由詩12*05-10-5
流星夜- umineko自由詩9*05-10-5
秋空のように延びなさい。- 青色銀河 ...未詩・独白605-10-5
わたり- たりぽん ...自由詩14*05-10-4
蜻蛉の秋- 春日野佐 ...自由詩6*05-10-4
シリーズ「おじさんと僕」1- ベンジャ ...自由詩9*05-10-4
本能- こしごえ自由詩4*05-10-4
小詩集「書置き」(二十一〜三十)- たもつ自由詩1805-10-4
恋の捨て方- 恋月 ぴ ...自由詩32*05-10-4
しましまを描く- はな 未詩・独白12*05-10-4
恋する喫煙- こしごえ自由詩11*05-10-3
蟋蟀の骨- A道化自由詩1205-10-3
わ_の_しぶき- 砂木自由詩11*05-10-3
///- 一代 歩自由詩2*05-10-3
私の隣に幽霊が座っていた- 岡部淳太 ...自由詩17*05-10-3
僕は今、そんな歌をうたう- ベンジャ ...自由詩7*05-10-3
かちにげ- ふるる自由詩9*05-10-2
- 炭本 樹 ...自由詩4+*05-10-2
小詩集「書置き」(十一〜二十)- たもつ自由詩37*05-10-2
ドルフィン- 光冨郁也自由詩505-10-2

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