シーソーの両端にふたりで乗ると
どちらか重たいほうが地面に着くんだ
シーソーに乗る前から分かるものなんだ
どっちが重たいかってことは
駆け引きなんてものはない
君がいくらわたしの方が
重た ....
八月の暦に耳を押し付ける少年いつしか海原のうへ


生い茂る真緑の原に埋もれゆく廃工場に響け恋歌


遠回りで帰る夜道に横たわる近道えらびし野うさぎの母


飛行機を追うてふもとの村 ....
記憶と想い出は
にていて、ときおり
くべつがつかなくなる

枝に懸かる
満月
いま、そこにあるのに 
想い出のようで
あの 夜のように
そう凍るように美しい

ひゅうと、あしもと ....
恥ずかしい

忘れていたなんて

どうかしてる

生まれたこと
僕は一頭のロバ
痩せこけて貧相な一頭のロバだけど
君の重い荷物を背負って
毎日運河沿いの道を
とぼとぼ歩む

僕が何か粗相をしたときは
右手に持ったサボテンで鞭のように
僕を叩いておく ....
空が割れて
夏で満たされたプールで
泳いでいる
さかなのアンテナで
誰とも触れることなく、すり抜けて
泳いでいる
すれちがう誰もさようならをうたわない


体の中心がどこなのか
わ ....
にゃはは♪

我輩は猫である

たまには笑っても見せるのさ
追われてゆく、陽の速度に倣って、大気は燃えている。すべての失われた魂を鎮める夏。その高温へと連れて行かれる。靴の紐がほどけている間に、素早く足裏をさらけ出し、女の後ろ髪がほどかれる間に、どうにかいまを .... この世が終わっても
私は 終わらなくて

途方に暮れて
あなたを みたら

眼に涙を滲ませ
終わり と言えないでいる

どうして 他人のあなたが
私達のために 泣くの
言えば 言 ....

言葉の深淵を
明るく渡れ


アイスコーヒーを
飲みながら

かろうじて
ぶらさがる
吊り橋

上から
光と荷物と
レシートが落ちてくる

それらすべての
降り注 ....
かたちとは目に映るもの色ありて

       固体と覚ゆ人の群れかな


地上では色無き物の存在は

       大気の流れ風と覚えし
夏空が泣きはらす
夕立の前はやたら蒸し暑い。
渦を巻く熱気のせいで
僕は下着までびちょびちょだよ。

君は美少女の小窓。
今はエアコンの優しさが
君の胎内を潤しているから
とりあえず君 ....
サンディの煙草は誰にも止められない
と、誰もが思っていることを
サンディはなんとなく知っている
黒く長い髪
茶色のひとみ
その他の身体的特徴
にもかかわらず
サンディといえば
 ....
君は変わったね

同じことを
君が言い出す前に
キスをしよう

全てが始まったあの日を眺めながら
全ての終わりを語る唇を
塞いでしまおう


傾く船にはもはや 
救いの手立 ....
眼下には海の藍
振り返れば風が岩を離れ
大声で歌いだす荒野
アイスボックスから取り出したジンにレクストリームを数滴
緩やかな緑
車はあいつに借りたワゴンRで
今日は帰るつもりなどない
松 ....
いまはもう
どうでもいいはずのあなたの
うた
それは幻で
あなたでない
あなたが書いた
ほんとうのうただった

いまのあなたは
出し殻で
きらいです

猫なんて
なでている
 ....
久しぶりの帰省すると
父も母もさらに 
小さい

そのくせ
私の好物に
ことのほか敏感

いなり寿司とか
フルーツとか


裏手にある斜面の先に
小さな墓地があり

花を ....
テレビ電話というものが発明され、商業的にCMに登場するようになってから久しいですよね。
原理的には簡単なものだと思うし、遠くにいる友達や恋人なんかと顔をつき合わせて話ができます。
「離れて住んでい ....
それは
いまにも
きえいりそうに

ふわふわと
ぼくらのまえに
あらわれ

ながれにおち

うすみずいろに
ひかりながら
ながされていったけれど


あのひ
こげちゃい ....
その角を曲がると
いつだって彼女は立っている
そこに、体に付いたしずくを払って
その度に小さくなっていくようだ
しずくが地面に消える分だけ
ビルはその背丈を伸ばして
猫たちの逃げ込む隙間を ....
家のそばに浮かんでいる
家と同じかたちのふちどり
それがなにかわかりません


晴れた日にも曇りの日にも
空に無数にきらめく粒子
それがなにかわかりません


まじわり ....
修験者じゃない私は
望遠鏡ごしに
視線を投げ入れる


遠い異国の景色のようだ
末端の夜で
日常にある
輪郭のない
さびしさを
手繰り寄せる

その顔は
か細くゆがみ
青白い灯火に
照らされて{ルビ寝=い}
さまざまな角度で欠けている

ほおいほおい
呼 ....
タクシーで溺れた
昔はあんなにうまく泳げたのに
手足をばたばたさせても
座席の底のほうに沈んでいくばかりだ
ナイター中継を聴きながら
運転手さんが舌打ちをしている
水の中では舌打ちすらでき ....
海が見える草っぱらで
どーんとひっくり返って
雲に手を伸ばす

生きているんだなって、思うんだけど
その正体がわからない
漫然と心臓を動かしたり、理念を唱えたり
そんなことじゃないみたい ....
桜は散った
悲しみの声も虚しく


桜は散った
嘆きの声も虚しく


悲しくても
嘆いても
空は紺碧のまま
蝉時雨は散った桜の心模様



  散りゆけば桜花の里に蝉時雨 ....
男は戦う
おのれのために


男は戦う
愛する人のために


されど
失ってはいけない
自分自身を


されど
悲しませてはいけない
愛する人を


男は戦う
今 ....
忙しいと言いながら
忙しそうにしている人がいた

忙しい毎日が嫌だとぼやきながら
忙しいのは何故かしらと呟きながら

忙しさから解放されそうになると
忙しく何かを探しはじめる

忙し ....
瞳を閉じれば 海が聴こえる
心はいつでも航海したまま・・・

瞳を閉じれば 田園が見える
心はいつも旅に出たきり・・・

瞳を閉じれば 街の雑踏のなか
心はいつも出会いを待って ....
  
  わたしの中に森が生まれたとき
  その枝は音もなく広げられた
  指先から胸へと続く水脈に
  細く流れてゆく愛と
  時おり流れを乱す悲しみ



  わたしを立ち止まら ....
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