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笑う満月の下で
ぼくらの明日は
三日月のように
尖足している
医者は
なにごとも
なかったかのように
また、今日も
尖った足を
創出する
たとえば
いま、ぼくらがみまわれている不幸とういうものの正体が
医者達のあきらかな過失により生じたと
ぼくらが
つよく
つよく
信じたとしても
それはそれとして
ただ
ただ
にこや ....
夕暮れの湖に
浮かんでいるもの
あれは
たしかに
ぼくの心だ
あの日から
消えてしまった
道連れを探す
寂しいぼくの心だ
青空の片隅で
膝を抱えてうずくまっているもの
あ ....
去年も
そして
一昨年も
きみらは
ふたり
よりそうように
ここに
咲いていた
去年
そして
一昨年
ぼくらも
ふたり
よりそうように
ここを
歩いていた
今年 ....
ほんのりと
さくらいろに
咲くのです
やみをさまよい
どろにまみれ
それでも
トクトクトクトク
ちいさなこどうを
つづけてきた
ひまわりが
ほんのりと
さくらいろに
咲 ....
ベッドの上に君が
座った
誇らしげに
座った
理学療法士に
少しばかり
肩を支えられてではあったけれど
ベッドの上に君が
座った
中二のころの
強い瞳の
君が
座った
....
君が瞳を閉じたあとも
君の携帯にお知らせメールが
入り続ける
手術前のその日
ベッドの上で
毛布から半分顔を出して
泣き出しそうに頼りなげに
君は自分を写していた
心細かったん ....
あした
一週間を働いた後に
やっと
ぼくは永遠に会いにゆく
勝ち気な瞳を
綴じたままのひかりに
はたらいた代償は
ひたすらに眠る まさかであり
チューブに巻き付かれた
ぼくの ....
ぼくのひかりは
うでやはなやせいきを
たくさんのチューブでつながれ
えがおもなみだもことばも
みんなうばわれ
ひたいのほねをほぞんされたまま
やみのなかをさまよっている
やみのなかでたた ....
右手を
高く突き上げ
あなたは
手術室に消えていったけれど
ぼくは
あなたの
笑顔が
いつまでも
そう
いつまでも
必ず
戻ってくると
信じていたけれど
宇宙の闇 ....
高層マンションの谷間に
ひっそりと公園
そこだけは昔のまま変わらずに
闇の中に
ぽっかりと
術後麻酔のなかで
すべてをかけた無意識で
あなたがいま
探しつづけている
あなた自 ....
あしたは
きみの旅立ちの日だから
きょう、ぼくは
青い鳥の羽根を
洗おう
すこしばかり疲れた
青い鳥の羽根を
洗おう
ざぶざぶざぶざぶ
きれいにきれいに
なんどもなんども
....
ぼくが
みぎひざをいためたら
すかさず
ひだりひざをいためてみせる
ぼくが
あたまに
未破裂の動脈瘤をつくったら
すぐに
6センチの脳髄膜腫を
つくってみせる
きみの負けん ....
これからの人生を
海の中で
過ごそうと思う
ぼくの名前が
そうであるように
あなたのウテルスが
そうであるように
海で暮らそうと思う
どんな
巧みな日本語をあやつって
....
さて、ここからが
あなたたちの本当のスタート
なのです。
いままでのことは
お互いのあたまの中で想像された
ヴァーチャルの暮らしだったと
父は思うのです。
さて、今日からが
本 ....
潮の匂いのする河口で
きみが釣り上げた秋は
きらきらと
ヴァーミリオンの鱗を煌めかせ
すっぽりと
きみの心に還っていった
ぼくはといえば
あいかわらず
仕掛けを空に垂らし
風を釣 ....
あなたの
てのひらには
いつも
虹が
あふれている
大潮の夜に
ふたり酔って
ふらふらと歩きながら
月を見れば
俺は笑う月と、
あなたは兎の耳と、
反比例の相関を示し
提示した相関係数マイナスRの
数値が0コンマいくつになるか
....
それは
いまにも
きえいりそうに
ふわふわと
ぼくらのまえに
あらわれ
ながれにおち
うすみずいろに
ひかりながら
ながされていったけれど
あのひ
こげちゃい ....
ぼくらの夏は
本田さんの庭の前の川淵に
どぼんと飛び込むことから始まる。
終業式のその日は
水泳パンツ持参で
通知票はほったらかしで
どぼんどぼんと
淵に飛び込む。
先生が
....
風に乗って越してきた次の日から
せっせ、せっせと
庭の草取りをはじめ
ごんごん、ごんごん
掘り起こして土作りをし、
次の次の日には
どこからか太陽の種を
仕入れてきて
ぱらぱらぱらぱら ....
さあ なにを言う
きらきらと
輝き疲れた
君らに。
なにを言う
風の香りだけを
語る俺が。
なにを言う
蛙と
野ネズミと
そして
向日葵の咲く
この土地で。