サワレナイという女の子がいました
何を贈られてもそれに触れないでかなしそうに笑うので
そう呼ばれていたのです
サワレナイはある朝、さみしい夢に目を覚ましました
そして、毎朝そうやって起きていた ....
レモン水一口飲んでいる間に

地球が生まれ
消えていきました

桜がとてもきれいだったので
あなたに伝言を残そうと思いました
僕は一切れ100円の白身さかな。
美味しそうな気配を漂わせ
他の仲間達とアルミのトレイに並んでいる。

けれど、僕は「タラ」じゃない、
深すぎる記憶の底から引きずり出された
名も無い「ただ ....
お早うございます
お早うございます
朝の空気は、
ひとしきり
健やかである

しかしこんなに曇った
朝はどこか
薄闇色の逃避行

それでも朝は
お早うございます
あいさつ、をす ....
きれい
すごくきれい

君に言われると泣きたくなります

バス停を忘れさせてね
ステップを上がるとき
見上げる視線がとても悲しい

きれい
すごくきれい

繰り返し信じさせてく ....
夏の幻に消えいりそうな呼吸音
いますこし
いますこし失うものは
命のみほかはぜんぶ
あげる
あげる過去の熱

無重力する
肺をこげつかせる
ゆううつな吐露
だすあてのない
手紙机 ....
しずんでしまった

ふねのこども

うみはあおくて

そらもあおくて

とてもきれいなひかりに

あこがれながら

しずんでしまった

ふねのこども
肩まで のびた髪を
指で とかすと

しずかな 波 の音が する

黒い
隙間 に

あお しろく

ほどけた 心は
ちいさな蝶

のぼり
はためく
海へ

 ....
とおくから まよなか が くる
いとまき あなた の きら の なか
せんの とおり を こえましょか

とおいひび まよなか が なく
からくり あなた の ゆめ の くち
せん ....
あなたの日常と
わたしの日常から
たった一日だけ切り取って
夢の世界で重ねましょう

それはもう
現実には存在しない
時間なのだから
何にも縛られることなく
二人のためだけに過ごしま ....
痴的労働って
チョー肉体労働ってワケ〜

額の汗だけ腰が痛い
タイマーがビービー鳴って
長い爪がスイッチオフのボタンを押す
45分間の出会いと触れ合い
お金で買えないものは無い
愛だっ ....
花火だとか祭りだとかその類の
絵柄を下にして
団扇を伏せるという其の場凌ぎの隠滅法は
やけた畳の匂いがします
だから
私の脈拍が夏風邪に飛び降ります


溶け果てた氷枕の代 ....
風に乗って越してきた次の日から
せっせ、せっせと
庭の草取りをはじめ
ごんごん、ごんごん
掘り起こして土作りをし、
次の次の日には
どこからか太陽の種を
仕入れてきて
ぱらぱらぱらぱら ....
ふりふりふり っと
どれすの すそを
ゆらして
まるい
ぼうるの なか

きのせい かなー
うわめづかい
きのない ふりして
さそってる かなー

そとは
 ....
深くまでつづいている
いつか見失った道の先にある、森で
夏の日
ぼくたちは、生まれた


頭上には空があった
ぼくたちと空の間を通り過ぎてく風があった
ふりそそぐものは、光
光とも見 ....
私たち、ひとりひとりの皮膚の下には
優しい血が流れていて
涙もろい心が
静かに鼓動を繰り返している。
だけど、たった一枚の薄い皮膚が
鋼鉄の鎧のように
優しい血
涙もろい心を
その冷た ....
紅さし指で
この唇をなぞっておくれ

宵をにぎわす祭りの夜に
提灯ゆらり


光はたぶんに
正しいものだけ捕まえる
ほら
燃える可憐な蛾がひとつ

短命ながらも風情をもって ....
僕は生まれ変わったら

紫の花になりたい

紫は君の好きな色


運命かもしれないと

恋にしがみついた僕


どんなにしがみついても

流されるのが人ならば

僕は生 ....
お前は

何気なく俺の部屋に来て

何気なくしゃべって

笑ってた


毎日が砂を噛むような

俺の生活で

お前と会えるのが

ただ1つの楽しみだった


でも
 ....
おしげもなく 陽の光がふりそそいでいる
3月、真昼
白野原に反射して 
レース越しの彼女の庭は  
照明具よりずっとまぶしい
ああ、ぴったりの名前がやっとわかった

風がとまった   ....
思いがけず
可笑しさがこみあげて
くるが
すぐに冷め
可能性の欠落を夢みる鋭さ

鮮やかな月に照らされて
{ルビ青灰色=せいかいしょく}の肌は
淡く
光合成を告白するが
しおりは空 ....
君がぽかんと口を開けているのは
口の中で風が吹いているからだ
その正体が何であるのか
問う方法も知らないまま
ある日突然に
君は君であることに気づくだろう
そしてそれは
君が君で無いこと ....
わたしは宇宙人を見つけた
自分でそう言っていたから
たぶん宇宙人なんだと思う

宇宙人はロックバーのトイレで煙草を吸っていた
フロアが混みすぎていたからだと思う
ずいぶん痩せているから
 ....
心ゆくまで涼もう
誰も居ない そして
自分も居ない処で
  ++栄 光++


    栄光が終わった日
    あなたはそれを
    さっさとアルバムに貼り付け
    グラス片手にひと晩眺めて
    あとは戸棚に置いたっきり
    ....
香気がどこからかぼくの指にしみこんできた
朝日はいつの間にか木陰を
ありありと作るくらいに大きく育って
父は病んだ体を褥に起こして
指先から瑞々しい桃の果汁を滴らせながら
桃の果肉を噛み砕い ....
無いものねだりは
しないでおくれ


でも可愛い君にだけ
内緒であげよう
僕の飴玉


あっ
ふたつとも
口にふくんじゃいけないよ


もうひとつは
妻のだよ
世界のどこかで絶えず雨が降る
今日は誰のため
泣くわけにいかず 喉を震わせ
こらえ続ける誰かのため
すべてを知っている空が
鏡になって泣くのだ

そして私は
傘をさす

 ....
紫陽花を見て

死のうとしていた

そんな時

僕は君に会った


君は悲しみをしっていて

苦しみも知っていて

僕と同じだった


月日は流れて

紫陽花を思い ....
白い部屋の

白いベット


窓から飛ぶ鳥が見える

俺も本当は

翔びたかった

翔べただろうが

翔べなかったのが事実


もしもお前がいっしょなら

きっと翔 ....
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