すべてのおすすめ
「メリーゴーラウンド」 11
声
何度も何度も
くりかえし読んだ童話がある
街はずれの丘のてっぺんに
大きな観覧車があって
雨の日も風の日も ....
あなたはすごい雨だろう。茜空さえも私は嘆いた。こんな理解の仕方で、でも私は一人だ。あなたは降ってくる。キラキラしたものも濡らす。今日のあなたは晴れた空に酷く不恰好だ。私は動物の目からすれば雨ざらしなの ....
昆虫を描いてばかりいる少年が
今日は汽車の絵を描いた
たび
と口にしてみる
えい、やっ
気持ちをくしゃくしゃに丸めたい気持ちになって
余白にひどく不釣合いな
一匹のノコギリク ....
午後3時に建物の外に出ると
ひとっこひとりいなかった
というのは冗談で
こんな大雨なのに
腕を組んでいる二人組がそこら中にいる
かくいうあたしだって
日付が変わるころに
お酒に飲まれ ....
GOD!
Rainy Blue Daisy "Clearly Clearly?"
昨日、彼ら、
ナポレオンフィッシュの群れは、20世紀の、雨、に溶けてしまったから
....
パレードがいってしまう
オープンカーがいってしまう
紙吹雪がいってしまう
にぎやかな楽隊が
歓声がいってしまう
パレードに手を振った
誰かが
こちらに手を振った
私が手を振る ....
午後十一時三十分
新宿発江ノ島行き最終電車
ひとりウォークマンで
ジプシー音楽を聴いて笑っている
(帰る家などどこにもない)
歌と踊り
失った恋人に
歌と踊り1
歌
それはむかしの
それはお ....
辞書は本当は辞書になんか
なりたくなかったんだよ
本当は絵本になりたかったのさ
だから、辞書は本棚で寝ている間
書かれているすべての文字を
手荷物預かり所に預けて
夢の中で
....
画用紙に書いた思い出を
消しゴムで消してゆく
書き込む時と
同じくらいにていねいに
そしてうすくけばだった
画用紙を抱えたままで
真っ白になりました、と
少しだけ泣いた
....
くしゃみが出ると切なくなって 物陰 愛しく 肌寒く
制服の胸は はちきれんばかりの暗闇かくして
スカートに忍ぶ秘密には あなたの指がしみついたまま
そのまんま歩いてるから 少しだ ....
肌寒いことよりも大きな雷の方が気になるの
落雷による停電の場合
コンピュータに深刻な影響が出ることがあるらしいので
お仕事は終わりましたか
二度寝の罰はお昼寝にしてください
二階建て文化住宅の
一階の端に住んでいた
雨の日は軒下で遊ぶ
家中の傘を持ち出して
白い塗装の 錆びきってぼろぼろの
鉄階段を カツンカツンとのぼっていく
赤い無地の
カサカサ音 ....
口裂け女の噂を広めた女性は口が裂けていた
公衆電話はワープ装置としても使われている
ティッシュペーパーの72組目は他と質が違う
夜が訪れると同時に太陽は体育座りをして行儀よく次の ....
ぼんぼりに灯がつくと
仕事を終えた人たちが
夜ご飯を食べに来る
みんな仲良く
おしゃべりしながら
好きなものを食べて
お酒を飲んで
よいきげんで歌うたう
眠くなる頃合いにな ....
父さんの革靴に
小さな足 入れて
かかと 引きずりながら
なんだか 笑いながら
庭を歩いていた 私
大きくなることに憧れて
本格的な靴に憧れて
小さな足
かぱかぱの空間
なん ....
まいあさ
僕が
この僕であることに目覚める
はてなダイアリー
燃えくすぶる焦土が続く
誰もいない台所
立てたコーヒーの
苦い香りは
抽象
起き上がる重力加圧の具体性
多分コ ....
まっすぐ歩いていくと靴屋さんがあるんだ
途中で絶対に曲がっちゃだめだよ
前だけみて歩くんだ
靴屋さんに着いたらその横の遊歩道にはいる
ここはむかし川だったみたいだね
人がふたりならんだらそれ ....
とっくに別れた女と
まだ電波の手紙で
やりとりしてたが
やっと僕の根本が
伝わって
あきらめて
関係ぜんめつみさいる
そんな朝だ
ノーコメント
言葉は今ぼくに
強すぎて
だか ....
たったひとつの睡眠を
羊たちと分かちあって眠る
もこもこしてるね
なんて今日は言わない
めえ、と寝言を言っても口をふさがない
数をかぞえない
何も思い出さない
私は踊る郵便屋
幸せのお手紙をみんなに届ける
悲しいお手紙は川に捨てちゃう
ホップ・ステップ・サイドサイド・ジャ〜ンプ・ダウン
さあ
幸せのお手紙よ
でも
私の心は少し寂しい ....
「メリーゴーラウンド」 10
メリーゴーラウンド
ようくんが死んでしまう夢を
わたし なんど見ただろう
そうやって
ようくんの命を ....
夢の中で道に迷うと目覚めなくなるって本当?
って彼女が訊くので
ルルルと笑ってごまかした
蓋し彼女の顔に見覚えがあるのは確かだ
しかし果たしてそれが
そうです
シスチンとシスチ ....
飛んでいる
飛んでいる
はげしいビートだ
もう世界もおわりだから
走ってゆくしかないのだ
酸性雨が ....
市電のレールは暁に根負けし
夏のそれとは違って
鰈のように臥している
遠くまで伸びる 秋色
同じ窓から、庭先の蘭も
肩を落としているのが見えた。
あぁ、
そんなこと忘れるくらい
片 ....
目がさめると
遮光カーテンのすそから
光がななめにすべりこんでいた
朝が
きたのだろう
ダイニングの白はつめたく
まぶたはひとりでにふるえる
カップを2つならべ
コーヒーマシン ....
正月中の 夜行列車は満席
故郷から 帰郷帰りの人々
暗い駅から ひとり
座れないので
戸口のすぐ前に陣どる
会社は あさってから
荷物はひとつ
一晩中 立つのか
....
立ち並ぶビル群の幽霊
ビル風が吹き抜けると
敷かれゆく風の線路の上
滑らかに空中列車は行き交う
乗客は皆視線を落とし
日常に見つからぬ出口を
携帯電話の画面に封じ込める
「 ....
おとうさんが
とてもおおきなつぼをもらってきた
かぞくぜんいんで
おおさわぎしながらいえにはこびこんで
りびんぐのすみっこをかたづけて
なんとかおくことにせいこうした
きれいなもようが ....
わたしたちは「生きている」
のでは、なく
わたしたちは「生かされている」
のです
と、駅に向かう途中にある
十字架が屋根にのった
幼稚園の
せんせいは、言った
意味はわからなか ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50