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全裸のこびと女を抱えてマンションの階段を昇った。
最上階には住居があって、父親が住んでいる。
僕は父親の注文したこびと女を届けに来たのだ。
マンションのつくりは西洋ホテル風で、各階は商店 ....
窓枠の向こう側に海溝が寝転がっている
紺碧が逆立ちした午後
ぼくは物語と煙草を携えて
ゆらり生える象鼻の先に
時をぶらさげた
路地裏の化石にチャイを注ぎ
....
わたし
たいよう
ひとりぼっち
よびかけても
へんじはない
なにもみえない
みんなどこへ
いったんだろう
わたし
わたし
つき
ひとりぼっち
さむい
こごえそうだ
....
足のないネクタイは
人の首にぶらさがって移動する
それも不便だろう
足をつけてあげると
嬉しそうに部屋をかけまわり始めた
帰ってきたら
スキップの仕方を教えてやらねば
今日も足のつい ....
0. forget me not
ない
ということは
きえない
ということ ね
1.
首筋には天使が住んでいて
風向きなど気にならな ....
これは自分の部屋でとある女の子から聞いた話
そのとき口説こうと思っていた女の子の話
彼女にはずっと片思いだった人がいて
ずっとっていうのは半年くらいだけれど
半年は彼女の感覚で ....
君のフェラチオは駄目だ
駄目ではないが、駄目だ
思ったとおり
君がしそうな顔で
そのままで
君ではない、感じがしない
バスのことを考えている
とりあえずは、だ
その中で僕は傘の ....
暑中お見舞い申し上げます
今年は母さんの新盆だから
せめて墓参りにくらいは帰ってきなさい
父より
追伸
そういえばクロがおとと ....
かなしみがぼくを襲う日は
なぜだか
地下鉄にのりたくなります
そんなときのために買っておいたオレンジカード
は
そんなときにしかひきだしから出しません
つめたい改札口は
地下への扉
あ ....
自由になりたい
自由になりたい
っていうのが
口癖だったわけ
そしたら朝起きたら
翼がついてたわけ
そりゃもう嬉しくてね
飛びましたよ
ぐるぐる
ぐーるぐる
で ....
朝
目玉焼きは
壁に貼りついていた
白い壁に
徐々に
ずり落ちている
僕はひどく眠い
徐々に
残された時間は
もうなくなるのに
僕はひど ....
おれは見たい、
赤錆びた鉄塔の頂きに
鳥のように爪先立って
人影のなくなった都市を見たい
きみとだ
おれは見たい、
太陽のとなりに炸裂するもうひとつの太陽の誕生を
塵からつくられ ....
(百年後ニハ
生キテイナイ)
二人連れと犬
雨上がりの夜
犬は
道端の壁やら草むらを
ジクザグにはしゃぐ
見えないものを見る
ひんやりした空気を恐れたりしない
世界 ....
サイレンが変なメロディつけて鳴っていて
校舎の窓にほおづえついていると
校庭ペンギンが
横目でこっちを見てる気配
すべりだいの隣のやつ
昨日ノリちゃんが
すべりだいの時にパ ....
エミリー
あなたと最初に出会ったのは羊水の中
あなたは何も言わず
私を蹴って押し出してくれました
あなたはそれっきりそのままで
難産だったと語る母にあなたのことを訊いてみたのです ....
濃い緑色の瓶は
ひんやりと冷たい
ラムネっていうのよ
ヒロコちゃんが
わたしの耳元でささやいた
花壇の柵に二人もたれて
瓶を高く掲げると
緑の濃さが変化した
きれいな瓶
....
イメージするということ
たとえば
ゴキブリいっぱいのプールに放り投げられるということ
眠っている間に鼻の穴から寄生虫を入れられるということ
イメージするとい ....
赤いセーターの女
ひっつめの髪
きみどり色の閃光
作業
眼鏡
作業
光
作業
反復
業務
右
左
複写機
吐き出される
モノクロ
ドット
三千枚の
「@」の顔
....
今朝の夢は 覚えてないが
今夜みる夢が幽かに 見えてきた
お昼を食べたベンチに座り
待っている
きっと来るだろうと信じている訳じゃなく
決められた日課のように
傾くサーチライト ....
街路図には
方位が記されていないので
正しい道順はもうわからない
人影のないアーケイドを逆順に進めば
三番街と一番街のあいだに
二番街がない
封鎖された地下通路から
川底 ....
わたしは、男のおかあさんと暮らしている
男のおかあさんは、働いているので忙しい
男のおかあさんは忙しいので、わたしは留守番をする
わたしは遅くまでひとりで遊んでいるので、いつも眠い
男のお ....
あくまで単調なリズムだ。
バニー、バニー、バニー、
黒いタイツのバニー。
酔っ払いを左右に{ルビ侍=はべ}らせて、
見るは{ルビ開聞岳=さつまふじ}のてっぺんのくす ....
たとえば
男の手を盗み見て
どの指を入れているんだろうかと
思案するとき
大抵中指なのだろうが
どうでもいいが本当は薬指を入れるべきだ
と思う
覗き込むように真剣に
見つめて
「 ....
ロマンチックは
たったひとりの食事のようで
たったひとりのセックスみたいだ
ロマンチックは体では作ることができない
言葉
はロマンチックを形作る
ロマンチックはカタカナなので
哀愁として ....
「そっちにいっちゃだめだよ」
足元をみると片目のとかげがやけに長い尻尾をふっている
あっちには、なにがあるの?
青い光が、ぼんやり暗闇に溶けている。
とかげは、不安そうな目で、こちらを ....
今日は見えないゴミの日だ
見えないゴミの収集車で
見えないおじさんたちが持っていく
見えないゴミのステーションで
隣の岡田さんに会ったけど
見えないので何を捨てているのかわからない
も ....
形。
私はこけしに似ている。
木の机に こけしを置くと
転がり落ちそうだ
箱根で君が
「欲しいの?」と問うた
木の 指輪
欲しくないが。
きっと こけしのまま
おばあさんにな ....
おまえが
愛しくて愛しくて
愛しくて愛しくて
何度も何度も
何度も何度も
抱きしめたこの手を
振る
「ふ」を付けただけで
不幸せになるのなら
最初から幸せなんていらない
「む」を付けただけで
秩序を失ってしまうような世界は
多分まぼろし
「み」を付けただけで
来るのだろうか ....
昨晩瞬いていた満天の星屑が
ねむってた間に降ってきて
昼の七里ヶ浜の海にきらきら光る
昔々
女がりんごの実をもいで
男に蜜をあげました
人祖の罪で失われし楽園も
秋晴れに江 ....
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