すべてのおすすめ
醤油ビンの一滴が
涙に見えて
なめてみたら
しょっぱかった
ああ
海苔も
納豆も
生卵も
しょっぱいね
ねえ日曜日
ピクニックに行こうか
卵焼 ....
妻と相談して
家にエレベーターを取りつけることにした
けれど、取りつけた後で
この家には二階も地下室も無いことに気が付いた
ボタンを押すと
チーン
と音がして扉が開く
上にまいりませ ....
なんの特徴もない女が
シャンプーのつめ合わせ持ってやってきて
さっきからうちの風呂場で
シャンプーの中身をつめ替えていて
僕は黙って後ろから性交し
女の中に白い精液をつめ込んだ
....
彼女はレースの手袋をしていた
日傘の陰の中に棲む渦巻のように道に迷い
信号を渡ると必ず赤になるのだった
僕たちは警笛と仲良くなって
赤いビートルのボンネットにひと蹴り入れてからひとごみに消える ....
よんどころない事情があって
きりんはタクシーに乗ろうとするけれど
長い首がひっかかり
ああしたり、こうしたりしても
乗ることができない
もうどうしようもないから
きりんが運転手のお ....
彼女からの手紙が
炊飯器の中で見つかった
もう
ほっかほかの
ぐっちゃぐちゃで
炊きたてのご飯はうっすら黒く
食べると微妙にインクの味がする
時おりぐにゃりと繊維をかんだりもする ....
店内には人もまばらで
通りが見渡せる
ガラス張りの
ファーストフードの二階
ハンバーガーを食べ終えて
コーヒーを飲みながら
文庫を読むふりをしながら
活字が目に入らない
彼女のことを考 ....
雨が好き
雨の音が好き
雨粒が近くで葉っぱをうつ音が好き
その向こうでアスファルトの道をうつ音が好き
遠くでトタンの屋根をうつ音が好き
雨の日の空気は冷たい
新鮮 ....
「うみ」
と書けば
白い波が寄せて返し
「そら」
と書けば
どこもでも青く
「もり」
と書けば
木々が香り
「とり」
と書けば
それは翼をもって飛びまわり
「ま ....
彼女に歌をつくってあげたかった
とってもスウィートでハートフルなやつを
彼女のためだけにつくって
彼女のためだけに歌いたかった
プリンの歌がいいな
うん、いいね
僕はノートに詞 ....
突破しなければならないんだ。破りたいんだ。壊したいんだ。走りたいんだ。逃げたいんだ。逃げだしたいんだ。期日は過ぎてるんだ。何もないんだ。どうしようもないんだ。バイトじゃないんだ。くだらないんだ。蚊が多 ....
腰のものを赤く染めて鳥が鳴く。
うぶめ、と呼ばれる鳥である。
産の穢れに死んだ女は鳥となる。
ほう、と鳴くが聞こえるか。
生まぬとしても女は女と男は言う。
うぶめの悲しみを知らぬは幸福と ....
あなた、頑張って
隣で寝ている妻の寝言にびっくりした
寝ているのに何故わかったのだろう
わたしはちょうど42.195キロのフルマラソンの最中で
トップを走っているのだ
これからきつい ....
久しぶりの電話や会話で
「なんか」という接頭辞だけを繰返して
うまく喋れない
話しがしたいのに
言葉を紡ぐことが出来ない自分が
もどかしくって涙ぐんでしまう
僕 ....
こんなエーテル日和にみんなが集まるなんて、
涼やかに横顔を見せて誰かが言う波止場
太陽は赤色102号から黄色4号へとギラつきを増すばかりで
埠頭を渡る風は塩辛く湿った毛布のように僕たちを抱き締め ....
いつからだろう。男はいつも間違った場所にいた。間違った道を間違った方向に間違った歩き方で歩いていた。だから思いもかけない三叉路に出くわし、驚かされることもしょっちゅうだった。そんなとき男は必ず自分の考 ....
男はもう何日も水を口にしておらず
這々の体で村へたどり着いた
中央の広場には煉瓦を組み合わせた立派な井戸があって
水がいっぱいに溢れていた
男が早速つるべで何度も水をくみ上げては
勢いよ ....
さらばわかめよ
さいの目の豆腐よ
鰹よりも昆布よりも煮干のだし汁が
行平の片手鍋の中で
煮えくり返るその様よ
天然ガス13Aは
ハイカロリーバーナーより青白く燃え盛り
今まさに妻は夕餉の ....
捨て金魚をした
近所に川がなかったので
人の多い駅前に捨ててみた
金魚だってわかってもらうために
「大学と手毬です 可愛がってください」とでっかく書いた
気になって一日に何回も駅 ....
正午だ
ダッシュ!お昼、のあとでゆっくりと《神々を噛むためのガム》を買う
お気に入りのキシリトール、あの木陰がいい
アラニン化合物、腰をおろしてゆっくりと
フノラン(FN)とリン酸カルシウム( ....
駅前で冷蔵庫が名刺を配っていた
私も一枚欲しくて列に並ぶ
冷蔵庫の中が無性に見たくなって
ドアを開けようとすると
少しムッとしたみたい
ガサガサ音をさせる
もらった名刺には冷蔵 ....
レシート01
幾重にも重なったメシュの向こうに
夏の日差しが張り付いていた
平縫いを、急げば針が人差し指を刺す。ちじれた網は広がり続け、きびなごを捕らえようとする。
日は高くなり、雲は ....
もし俺が総理大臣なら
死を見世物にする
東京ドームにて夜七時
盛大なギロチンショーは
テレビにて全国中継される
今日は四歳の子供を
立体駐車場から突き落とした
十二歳の少年の処刑です ....
ようかんが街をつつんで
今日も夜がやってきました
駅からの帰り道なんですが
星々は百円ショップのようにチープにまたたいて
さしずめ月は壊れたひょうたんってとこですか
秋の虫がいい ....
【透明人間の憂鬱】
透明人間の悩みは
最近、髪の毛が薄くなってきたこと
これでも若いころは
リーゼント、ヨロシクきめて
ハマのあたりでバリバリに透明だったぜ、ってなもんで
今ではバ ....
雨はしとしと降っていて あの子のあそこもぬれぬれで 今日もあのひと待っている 部屋のじめじめしたところ そこをながめて待っている
どうしたんだいぼくのかわいい彼女。そんなんじゃ、そこも黴てし ....
夏痩せしたみたい
はり金が差し出す腕は確かに細くて
どこまでが腕でどこからが腕なのか
わからないままに、痩せたね、とさすると
そこはこめかみよ
拗ねたふりをする
食卓には温めたロー ....
眠ることは死に近い、君よ
僕の腕の中、泣き腫らした目をして、しゃくりあげる赤子
蒸し暑い夜のありふれた、それでいて、不吉なくらい真摯で痛々しい、寝ぐずり
君は運命にあらがうように手足を突っ張り地 ....
婚約記念に貰った腕時計をどこかに失くしてしまった。大むくれの
妻に言わせると、神さまか誰かの啓示なんだそうだ。――結婚なん
かなかったことにしなさい。返す言葉に窮していると建築業者から
電話だ。 ....
彼女はびしょびしょに濡れた服を着て
この服いいでしょ
といった
ぼくは濡れてるから着替えた方がいいって
いったけど
彼女はそのうち乾くから平気だよと
まったく気にしていなかった
....
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