すべてのおすすめ
きみはきまぐれ
洗顔料をはぶらしに塗りつけて
靴を磨いている
それはちがうと虫はささやき
猫はその虫をくわえて去った
葉の落ちた柿の木がゆれる
ほりかえされた桑が叫ぶ
ハンドクリーム ....
こうず まさみ
1 地下
大都会の地下街を
ぼくと妻のふたりは歩いている
その日は旅先からの帰りで
空腹気味のぼくたちは
地下二階の京風レストランに入る
ーここ 知 ....
靴屋がパラダイスだというので白熱灯に照らされる店員のおばさんを眺めている。ステレオタイプな課長は眼鏡を拭きながら鳴る携帯を落として申し訳ありません大変申し訳ありません。スターバックスラテのショートサイ ....
潜り抜ける毎日です
ぎりぎりの所で飛び越えて
ときどき足を踏み外す
そんな時間の流れなので
僕らは包帯代わりに
ほんの少しの嘘で武装して
身をかがめて
ぶつからないように歩くので ....
母さん、明後日のゆうはんはなんにしようか
夕べはほうれん草のおひたしだったし、
今朝はやわらかなチョコレートパンだった
昼もやわらかなチョコレートパンで
夜はまだなんにしようかきまっていない
....
ウェディングケーキを
ウェディングおにぎりにする総家族に
まだ巡り会ったことがない
こんなキテレツな日本なのに
いっぱい披露宴も出席したのに
本当はおにぎりにしたい人
....
大瀑布イグアス
すべてのみこみもんどりうつ
濁流の巻毛
その瀑布の背後に静謐な世界がある
秘密の鍵は誰にも教えない
どこにいたのいままで
ほら ここは
全然変わっ ....
日曜日にできること
きみと早起きの公園で遊ぶこと
きみとファミレスのドリンクバーでまったりすること
きみと夕食の献立を考えること
きみと一緒にできること
牛丼屋さんに入ること
ケンカし ....
私の彼は詩人である
ロマンチストな男の人はステキだと思っていたけれど、
実際に詩を書く男性に出会ったのは初めてのことだ
彼はデート中に立ち寄った喫茶店でも、お茶を飲みながら
一人の世界 ....
さらりさらりらと滑りゆく夜明けに
生まれ変わることなどないだろう
視界半分に偏頭痛性閃輝暗点
この輝きを誰かに伝えることなど
できないだろう
モザイクかかった風景に
ひよどりが一羽やっ ....
なにもない
まっさらな
くうかんに
わたしは
そっと
あしを
おろす
そこは
わたしのにわ
わたしのこころ
たがやすところから
はじめましょう
そうね
あのば ....
ノート2002.7.29
工事車両の下によもぎ色の猫が一匹入りこんだ
知っているかい?
猫はエンジンオイルのこげた匂いなんかが好きなんだ
ときどき思うんだ
トラックの下にもぐりこんだまま ....
夜を一粒切り取って
そらの畑にまきました
僕はじょうろで月光を集め
水の代わりにしてやりました
夜はすくすく育ちます
薄闇の芽が出て蔓が伸び
月光を喜んで吸い取りま ....
ドーナツの穴から覗くと
世界はいつも
いいにおいがした
食べ物で遊んではいけない
そう教えてくれた人が
今ではもういない
俺だけの特殊装置
それは謎の赤ボタン
それを押すとメイドがきて
俺の願いをかなえてくれる
俺だけの脳内特殊装置
便利なボタン
夜が呼んでいるような気がしたので
誰かが待っているような気がしたので
自転車のかごにウイスキーボトル入れて
僕はさんぽに出たのです
どこか遠いところで
凪いだ海のおなかの中
呼び交わす ....
何も無い道を歩いているのに
さっきからカサカサと音がする
ああ
俺の心がカサカサなのだよ
そうつぶやいてうつむき歩く男
の背中を見つめる妖怪カサカサ
*
妖怪カサカサは
....
冷蔵庫が低く泣く
あなたを
確かめる右手
世界を割り算で
書きとめられたら
なんてね
何も言わないし
何も聞かない
ただ
さみしさを受け止める ....
私はまだまだ
エビフライで喜べるの
きれいだよ
幸せにするよ
早く触れてください
蛇のように賢く
鳩のように優しく
飛び立つ時は
....
まぐろの解体ショーに行く
はんてん角刈り包丁持って
さばいてさばいて大喝采
死んだまぐろが
このように
ほら奥さん
一枚どうですか
一枚一枚
まぐろって
骨と骨のあい ....
猿が猿のようにスイッチを押したって 誰もびっくりしないはずだ
だが地球の裏側では その間に核爆弾が百発落ちていた
猿が突然玄関に現れると みんなびっくりする
人語を解せばなおさらだ
奥さん ....
君の心臓は
「車の中で注射して」
と悟らせた
でもその前に
せめてジュラルミンを身体にぶら下げて・・よ
俺の我慢の看板も壊れたら魅力は無いんだ
大体、君と会うからに ....
体温を逃がさないように
君は丸くなって僕の隣りで
いつものように
まだ寝息を立てている
まるで小さな生き物が
昨日も生き抜きましたと
陽光に告げるように
寒い、寒い、いつもの朝
....
愛してるをみじん切り
ドコ行ってたのをすりおろし
怒ってないけどを手でちぎって
フライパンで炒めます
5分後
聞こえにくい感じの眉間を小さじ1杯
閉じるか閉じないかの目蓋を大さじ2 ....
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
猫は中空を見つめていることがある。
なにもない空間。
なにもないはずの。
猫の視線がどこか一点に凝固して
黒目が大きくなると
わたしはすこしわくわくする。
猫の視点が
わたしの背 ....
好き?
と彼女に聞かれたので
好き
と彼女に言う代わりに
100行の詩を書きました
それはそれは思いを込めて書きました
100行じっくり読んだ彼女が言いました
で ....
ベティの口から
花がこぼれる
一語につき一つずつ
時には真珠や珊瑚も混じる
俺はこの女と結婚する
できるだけ養生して
よく陽にあたり
水薬を嫌がらないことが肝心だよ
菫、アネモネ、 ....
窓をあける
蠍座がみえる
もうそんな季節なのだ
夜明けまえ小さな田舎の駅にも明かりは点り
どこかからきてどこかにゆく青い電車が
轟音を引きずってゆく
さよならを言うまでもなかった別れ
....
コーヒーには砂糖をいれない、
いま私はめちゃくちゃに機嫌がわるい、
人間なので機嫌が悪い日くらいあって当然なのだけれども、
こんなに機嫌が悪くなるとかえって気分がいい、
コーヒーにはミルクもク ....
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