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それは危険な賭けでした。
スリルと興味が相まって
涙がぽとり床の上 飛んではじけて消えました。
それは小さな抜け道でした。
誰も何も言いません。
本当はとっても恐いのに
恐くない振 ....
ちらつきながら水平に下り
疲労の渦を抱いて
硝子瓶の粒輪が昇る
ミネラルの刺激
風鈴でうすまる
ソーダ水
....
こんなに
たかくて
こわい
ばしょ
とおくに
みえる
ビルも
さらに
たかい
そらも
ちっぽけな
たましいは
どうして
そこを
こわいと
かんじる ....
理不尽なことが多すぎる
どこまでを正当防衛としてくれますか、そうなる前に完璧なマニュアルをください
ため息の液化
5番線に電車が入ります白線の後ろまでお下がりください
エラ呼吸に切り替える
....
7月2日(金)
日本には標準語なんかナイ!
ふけばとぶよなそんざい
7月4日(日)
ホーソーン「緋文字」
トーマス・マン「ブッデンブローグ家の人々」
ミラン・クンデラ「不滅」「存在の耐 ....
耳たぶが
熱い
空調装置にたしなめられた
浅いシーツのような室内の夜には
昼間に溜め入れた太陽の
滴りそうに赤い耳たぶ一滴で
ベッドが太陽の海になってしまうのを
防ぐ ....
深緑の
深くなる光を
鉄筋コンクリートの箱の中から
眺めています
時計の針は
ここを刻むと
それ以上は動かなくなるのです
取り残されるように
私と空間は
どこか
こころ ....
ぼくは龍と二週間ほど同居したことがある
猫のフクちゃんが何かひらひらした
長さ30cmくらいの紐とじゃれて遊んでいた
それが龍だった
あまりに哀れに干からびていたんで
風呂場で水をかけた ....
ふうわり 心地よい うたは
ふと めをつむり 眠くなり
つらぬくような つらい詩は
ぼろぼろ 泣けて 目が霞む
胸のあたり に くすくすと
笑える詩 には 逆らえない
....
もう何年も前のこと
ある夜のブラウン管の中
孤高のステージで
赤毛を振り乱して歌う{注ジャニス=アメリカの歌手}
夭折した彼女の生涯を
ナレーターが語り終えると
闇の画面に
白い文字 ....
夜道
眠りかけた草木の
濃密な薫りの中
歩く私の瞼は
少し重たい
やがてひとつ
ふたつと
意識の枝は
折れていき
私は一本の
幹となる
望む以外の答え ....
なんの思い出にもならないパンをかじる
作った人も売った人もおぼえていないパン
レシートもなければ味もない
名前はなんだっけ
そもそもほんとうにパンだっけ
おなかのこどもはもうあいたよ ....
ものおとをたてる足の裏は悲しい
きしむ古い木の床と
すこしずつ減りつつある体重の
狭間で
夜の空気は家人に眠りを運び
すりっぱを履くの 忘れた
冷たい
ひとり暗い廊下歩く ....
カエルノウタニ
タクトヲフレバ
カンテラユレル
ナイーブナヨル
ひつじが鳴いていた
ひまわりが咲いていた
人がいた 好きだった
目を閉じる
陽だまりのなか
明日なら
死んでも良かった
なんとなく
うつむいてしまったのだが
黒い列
振りだした右足の
小暗い瞬きへすべりゆくのを
間のびしたストライド
生垣をゆらした
モンシロ ....
ある日友人が呟いた
「鷺て、ポキておれそうね」
白く細かった鷺が水しぶきの中
静かに足を上げていた
自転車で走っていると、いつも
ポケットに ....
今日はいつもより嬉しい事があったので、
僕の乗る総武線は、
両国あたりをすぎる、
軽快に。
遠くの景色はゆっくり
近くのものは素早く
そんな当たり前の遠近法さえ、今日はなんだか
(ああ、 ....
あまりの暑さとくちなしが溶けて。
胃の中の空気を誘い出そうとする。
あまりの暑さがくちなしに溶けて。
色はいつのまにか番茶になっていた。
あまりの暑さにくちなしが溶けて。
....
--僕の、美しい人の話をしよう。
さっきまで、おしっこみたいな雨が降っていたのに
太陽の奴ったら
まるで君の妹のように、甘酸っぱい笑みをうかべて
うそみたいにけろっと晴れちまう、
なんて ....
公園で
重たくて透明なプレートを
持ち上げたり
降ろしたりしている
それは誰にも見えない
それは誰にも分からない
わたしは
疲れると
家に帰るふりをして
子供をあやすふりをして
....
週末に運ばれてくる
人参くん
牛乳くんに
ラーメンくんは
せまくて ぎゅうぎゅう
さむくて かちかち
みんな凍りつきそうだ
あいつもあの子も
たちまちあばよ
ぼくがスキマから
....
しなやかな笹を選んで 束にして山を下りるひと
川のたもとに立つときは裸足と決まっている
少女の霊をクーラーボックス 良く冷やしておくことだ
石を積んだ痕跡がある 年号を数えているうちにすべて忘れ ....
小さく ふくよかな 指に絡まる 毛糸の輪っかは
橋になったり タワーになったり ホウキになったりして
幼い僕等を さんざ 楽しませてくれたもんだ
女の子の遊びだって 解っていたけどさ
僕は ....
{ルビ聖=セント}バレンタインデーの
ハートが熱を持って近づいて来る1月の終わり
新宿のとある映画館のロビー
寄り添うカップル達の肩と肩のすき間から
冬だというのに昇るかげろうに
空気は ....
動かないで
うっかり逆鱗に触れないよう
紅を差してあげる
私の部屋に浮かび揺れる
赤い花びらに
首を傾げる友達
透明な竜を飼っている
躾はいいほうだ
私の帰りが遅いと寂 ....
サキは笑った
蛸がパソコンを操り始めたからだ
赤くなって蛸はワードをうちはじめたのだ
蛸はなにが書きたいのだろ ....
ペンキ職人
天野茂典
青いペンキ
台詞のない声
遠くからやってくる海
炎の青空
どこにも出てゆかない砂
ぼくの病棟が乾燥している
シマリスとあそんでいる
ナキ ....
ゆみちゃんはぽろぽろなみだをながして
ひたすらなきつづけた
てくびをとると
けっかんがきもちでふくれあがって
どくどくおとをたてて
いまにもはちきれそうだった
かおがむくんで
くちび ....
こんな風に突然ストン
と哀しくなってしまうのは
多分どこにも絶対
が見当たらないせいだろう
地上4階の
薄暗い床の上に立ち込めた
寝起きの孤独に
僕は{ルビ噎=む}せた
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