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白薔薇よ 白薔薇よ
僕の下で 咲いておくれ
うつ伏せで溶けていく熱い腹に
鋭い棘を突き立てて
僕の赤い
赤い懺悔を吸い取ってしまえ
ベッドサイドには 欠けた花瓶
無 ....
すじ雲が広がる空の中で
遠くの方で飛行機が弧を描く
ゆっくりと大きな旋回だった
夕陽に反射する銀色が
勇ましかった
飛行機は目的地に向かうための
方向を変えるというよりも
今の空をす ....
玄関の向こう側で
人の声がする
それは私の知らない人の声
玄関の向こう側で
行き来する自動車の声がする
それは忙しいと街が嘆いている声
玄関の向こう側で
ジェット戦闘機の声がする ....
いこう
この丘をのぼったら
一面の星空みたいに、きらきら輝く町並が見下ろせるんだ
キミの手をつないでゆくよ
いこう
澄んだ夏の青は
海を宝石のように輝かせるんだ
....
祭の金魚すくいで義理でもらった
間に合わせの小さな薄いビニール袋に
入れられた時から
すでに水がこぼれていた
それでもそこから漏れてくる水を
押さえながら
そろりそろりと家に持ち帰る
....
宇宙のツツジの咲くあの丘で
水晶の風が吹いたら目を覚まして
この夢はここにしか咲かないから
朝焼けを待たないで羽ばたいて
君の中で
孵化していく翼
歪んだ夜の積る
群 ....
高い空から照りつける
強い陽射しがじりじりと
焦がれた土は風の手に
夏の匂いと蜃気楼
細い川から流れ出す
静かな音でさらさらと
潤う水は風の手に
夏の匂いと糸トンボ
小さな店に ....
バックミラーの中
満月には少し足りない月が
どこまでもどこまでも
追いかけてきた
ヘッドライトの灯りの中
小さな白い子猫が
おびえた顔で行き過ぎて
外灯の影を
....
透明な温度を下げていく
あなたのぬくもり
かすかな光が胸をさす
氷のようなつめたさで
肌が焦げていく
においが鼻につく
電車の中では冷房が
滝のように流れている
さらさらと ....
夏から手紙が来た
こっちはもう夏だぞ
ここだって夏なんだよ
手紙に向かって言い返す
今年も広い夏になっているぞ
そういえば都会の夏は狭苦しい
こっちにくる時は
....
月のない暗い夜
目印にはシリウス
手を伸ばしたら
ねえ、誰か繋いでくれるかな
ひとりでね
生きていくんだって強がって
スカイライン 何処までだって行けるのに
水 ....
その日の夏が始まる
トンボが空をすいすいと
気持ちよさ気に飛んでいる
空は泳げることを
初めて知った
昨日も見たというのに
その日の夏が折り返す
繁る木々の葉がさわさわと
軽いリズ ....
今日と明日の夜の谷間に
微かだが
感じるあなたのため息
ソプラノ歌手よりも
こころに染みる
透き通ったそのひとの言葉
最上の音楽に聞こえる
胸のふくらみがさらに大きくなり
木管の寂 ....
わたしたち
流れて
真夜中の水になる
あなたの喉をやさしく潤して
そっと
夢の中にしのび込む
水は落ちてゆく
あなたの肩から腕をなぞり
そして
温かな水の中へと
導かれて
....
人は
一人では孤独にはなれない
もし人間が
最初から自分だけだとしたら
孤独という感情が生まれることは
ないのだろう
孤独になれるのは
多くの他人の鼓動と呼吸とを
ぶつけあい
....
さよなら
と言ったはずなのに
あなたは笑って許してくれた
ピンクの薔薇の花束と
なくしてしまった
パールのピアス
差しだすあなたの優しさが
ナイフのように
わたしを貫 ....
黄昏をそっと飲み込む部屋で
夕闇の迫ってくるのを
静かに 待つ
大いなる大地の
昼と夜を
この地球が音もなく航行するのを
額のにじむ汗に微風を感じながら
夕闇の光で織る
繭玉を ....
1.風の運命
風はどこへでも行けた
神様がそう決めたから
風は旅した
誰よりも自由だった
風は見た
いろんなものを
地平線のかなたの 鮮やかな光を
海をゆく 船の帆の白さ ....
理想にすぎない
あなたの言うことを
常識と信じられたら
どれほど無知で
どれほど幸運で
オレンジ色に染まる世界
目がおかしくなりそう
太陽を直視、太陽を直視
星が輝き ....
風が止まったと同時に
少年は小さな石につまずいた
たいした怪我ではなかったが
泣き叫んだ
辺りを見回した
誰もいない
一人で立ち入り禁止の工事現場に
入っていた
日曜日の今日は誰も ....
「昨日と言っていることが違うよ」
「考えが変わったんだ」
「日和るんだね」
「そうかな」
+ +
この空のどこかに宝が埋まっている
この空のどこかに宝が埋まって ....
だれかが泣いている
ぽたぽたと
落ちてくる涙
ぽたぽたと
悲しいのではない
うれしくて
土が若さを取り戻し
草木がはしゃいでいるから
だれかが泣いている
ぽたぽたと
落ちて ....
お父さんばかり旅行して
子どもたちはそう言っているが
単なる出張をしているだけだった
夏休みだというのに
どこへも連れて行かせてやれない自分が
情けないのだが
仕方なく今回も出かけ ....
長く続く階段の上
不可思議な夜の海辺で
泳ぐ魚の背びれを掴み
果てしない街灯りに照らされて
泳いでいたんだ
無くしてしまった言葉の代わりに
表情とかジェスチャーとか泳ぎ方とか
色んな ....
記憶の中でざわざわとゆれる
届かない手のひらを裏返す
もどかしい程に幼い記憶
それはいつまでも声になる事無く
心を刈り取って行く
まるで古びたロープが
音も無く千切れゆく様に
静かに
....
空が滲んでいる
夏の午後の昼下がり
遠くからだんだんと自分の方へ
その暗闇が近づいてくる
あっという間に
滲んだのは空だけではなくなった
明確だった単語や熟語の中を
その雲は浸透してくる ....
広場で
子どもたちは跳ねて
黒い風船を次々にはなす
風船は昇る
子どもたちの皮膚
はがれた部分からにじむ血で
赤く分かり、集まり、内に落ちて
子どもたちは薔薇になる
誇らしげに、あ ....
ほんとうの幸いはきっと
奈落の底の暗闇に独り立つ
頬のこけたピエロが
無人でゆれる空中ブランコの上に
茫洋とした瞳で仰いだ
プラネタリウムに瞬く
あの{ルビ金星=ヴィーナス}み ....
あの日 あの時
あのひかり
受け取ろうと 手をのばす
ひかりはおちて いのち生み
あなたの瞳に 映る星
その日 その時
その笑顔
えらぶ道にしるし無く
それでも先に ....
自然の中を吹き抜けてゆく風は
循環している
その中で生き物は同じ場所で
絶えず同じ命を繰り返す
街の中を通り抜けてゆく風は
まっすぐに流れている
その中で生活する人々は
絶えず便利さ ....
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