すべてのおすすめ
ねぇ
君はもう寝てしまったのかい
今日は一度もメールくれなかったね
ねぇ
君はなにかむくれているのかい
昨日まで毎日メールよこしていたのに
百合よりも薔薇が好き
....
木魅 (こだま)
「好きだ」
溢れ出した想いを返せないまま
あなたは土に還り
わたしは朽ちることもできずに
「好きよ」
抱えすぎた言の葉をざわめかせながら
夜毎 すすり泣 ....
やめてけろ
ひと恋しさにちゃちゃ入れた
わたしの思いを
やんわりと断つように
春の兆しは白い肩口の奥へと隠れた
厳しさだけではない冬の素顔を知ってから
流されるのとは異なる
自ら ....
河童
つい50年前にあの子と出会った川縁は
無骨なコンクリートで蓋をされたけれど
僕はまだ生臭い闇が忘れられなくて
水掻きをポケットに突っ込んでそぞろ歩く
都会の夜は頭の皿よ ....
小さいながら我が家の庭には
大きな松の木が植えられていた
初夏の頃には松ぼっくりをつけるその木は
祖父によるとヒマラヤスギという種類だそうで
松ぼっくりのできる杉ということが
当時の私にはと ....
ぬらりひょん
つかみどころなんてあってたまるか
若い頃の苦労はすぐに質入れしたし
長い物は巻かれるふりして帯にした
真っ正面から当たるなんてドジは踏まない
折れない柳は風を知り尽 ....
あなたは書かれた事のない手紙
いまだ出された事のない手紙
封を切られないまま
大切に言葉をしまい込んで
わたしはそっと考える
その言葉がどんなに心を震わせるかを
わたしは夢を見る
....
ろくろ首
それにしてもあなたを待ちすぎました
わたしの断ち切れぬ想いはあの日の
あなたのうしろ姿に縋りついたままで
身体だけが狂おしく軋みながら
いくつもの夜を越えて来たので ....
やさしい眠りが
速度を上げて
朝の向こうへ離陸する
夢の中
街はまだ目を覚まさない
けれども電車は
定刻どおりやってくる
お雑煮を
まだ食べ終えてない人が
白組、白組、 ....
オリオンが
その名前を残して隠れ
朝は針のような空気で
小鳥の声を迎えうつ
わたしは
昨日と今日の境目にいるらしく
まだ影が無い
太古より繰り返す冬の日
あたたかい巣箱から
掴み ....
お正月ぐらいはと帰った実家で
思いがけず伯父さんからぽち袋をいただいた
幾つになっても嬉しいものは嬉しい
おめぇにもやっからよ
おとそ気分全開な赤ら顔は楽しげに
崩したあぐらはすっか ....
内臓を全部出してしまって、
テーブルの上に乗せて観察する
クロスが汚れたけれどもいいの
ずっとこうしてみたかった
豆電球のの弱い光のせいだろうか
炯々とした雪の反射光のためだろう ....
坊主が屏風に上手に坊主の絵
を描いているところに
東京都特許許可局
の役人が訪ねて来て
裏庭には二羽庭には二羽ニワトリがいる
と教えてくれたので
青巻紙赤巻紙黄巻紙
を携えて駆けつけ ....
数十年もの間、腐れ縁の切れない幼なじみがいる
だから数十年間、年賀状を出し合っていることになる
干からびたミミズのような字で
「さかたあけおくんへ」と書いた記憶がある
親同士の付き合いも古くか ....
花が咲く頃
にわかに、雨の降る頃
私達
また会いましょう
気がつけば
優しい命に守られていた
夢は近く
本当に、ここにいた
....
おじいちゃん
ゆうべもあかんことしはったんやてね
ビニール管抜いたら帰ってこれへんようになんのに
看護師さん かんかん
わたし とぼとぼ
キリン…とおじいちゃん
はいはい、わかりました ....
ねむたくて ねむたくて
ほんのちょっとだけって
目をとじたら
夜のくぼみに
ポチャンと落ちてしまった
うす目をあけて まわりを見たら
そこはとろんとした 夜がみちていて
ぼくは ....
星降る夜にちいさな灯りがぽつん
ちいさなお家で
窓の外にも聞こえてくる
若夫婦が楽しそうにおしゃべりしているよ
プチプチリルレ
プチリルレ
ここは とってもおいしい と
評判のち ....
こんな所にはもういられない
そう言って父と母は銀河系から出ていった
僕らの親の世代までは
宇宙へ飛び出せる羽根があった
僕らは二メートルも飛べない足で
壊れてゆく地球を踏みしめている ....
さざんか (ひたむきな愛)
ぎこちない言葉をどんなに重ねても
降り積もっていく紅には追いつけない
つないだ手と手のささやかな温もりだけが
行間に溢れる紅を伝えようと ....
冬枯れの木立のつづく泥濘の道、
小さな水溜りに爽やかな青空を映して
名も知れぬ誰かの、
虚しく残した懸命な足跡を
突然、山の麓から軋む音ともに登ってきた
四角張った黄色い一匹の獣が、
鋼鉄 ....
私がまだサンタクロースを信じていた頃
父方の祖母と同居していて
私たち兄弟の面倒をみてくれていた
今にして思えば幼さ故とは言え
彼女には随分と理不尽ことしでかしたものだと悔いる
それなり ....
東京近郊の街のクリスマスには雪が似合わなくて
サンタクロースの正体がこの僕だと
子供たちは知ってしまったけれど
それでもプレゼントはうれしいもので
僕のことをパパサンタさんとか呼びながら
....
カトレア (優美な女性)
含み笑いの訳すら読ませてはくれずに
まろやかな眼差しで僕を押しとどめて
あなたは沈黙の端に句読点を置いた
微かな痛みを伴った午後が紫に薫っ ....
ほとんど水平に近い角度で
やっとその星をとらえたことがありました
あと三日で見えなくなるという百武彗星
あれはアトランタオリンピックの年でした
宇宙にいくつも弧を描きながら
あなたの天体望遠 ....
猫と幻は相性がいい
何もないところを
よく見つめたりしているのは
何かをそこに
自分で描いてみているのかもしれない
抱き上げて覗き込む目の奥行きは
頭の大きさの何倍も深くまでありそうで ....
額縁に収まるその絵は
四角い顔のあぱーとの
二つの小窓が黒目のように
展示のガラスの前に立つ
私をじっと見つめます
隙間無く
{ルビ犇=ひし}めき合って
....
雪雲を連れてきそうなつよい風
いっそそのまま私をさらって欲しかった
12月の厚着をほどく
髪に触れた唇
隠してる想い
わたしを見つけて欲しくて
願いをこめて目を閉じる瞬間
わ ....
てっぽうゆり (純潔)
迷うことのない指先が夜を滑って
僕が吐いた言葉を花に変えていく
闇にも溶けないひたむきさを透かして
仄見える君の純潔が僕を温かくする
....
「死んでしまいたい」が口癖な君に
「生きていれば良いことあるよ」
と言いかけて言い切ることができなかった
それを時代のせいにしたところで何になるのだろう
夢とか希望を持ち難いこんなとき ....
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