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生まれ出る感情は
どこから湧いてくるのか
わからないけれど
森の中の泉のように
こんこんと
形を留まらせずに湧き出して
全身に流れてゆく
ある流れは海のような夢へと
広がってゆく
あ ....
いまここに
来たるべき夜の紺青は
誰しもの
奥深くに眠る
逃れられない
悲哀の色をして
春はいつのときも
悲しみ覚えたかたちを
おぼろに映すから
すこし涙もろくなる
さ ....
公園の砂場で
車のおもちゃが死んでいた
一度も生きたことがないのに
もう自ら動くこともないのだ
近所の庭に咲く
キンモクセイが香っている
今まで見たことのある死体と同じように
嫌な匂 ....
そのヘッドフォンは
わがままな存在と言われながらも
誰からの耳も貸さなかった
自分に流れてくる音楽に酔いしれ
他人には一切聴かせることはさせずに
自分だけの世界に閉じこもっていた
誰よりも ....
夜の畑の前にふと立つ
まだ種しか植えられていない
土だけの畑
奥の方まで目を凝らしてみても
どこまでが畑で
どこからが空なのか
何の区別もない
ただ真っ暗な風景しかない
けれども畑は命 ....
砕けてしまうようだった
日々も
今は 底深く静まり
さざなみ立つ 水面から
ぽかりと 顔を出して
冷たく 青く
日々は 静まり
空は からっぽに
ただ 遠く 高く
静かな ....
あの日はきっと春だったと思う
部屋に置かれた
アジアンタムの葉がそよいでいた
近くのスピーカーからは
小鳥のさえずる声をバックにした
ピアノ協奏曲が流れていた
窓から差し込む光が
やさし ....
喉が渇いたので
駅のホームのキオスクで買った
「苺ミルク」の蓋にストローを差し
口に{ルビ銜=くわ}えて吸っていると
隣に座る
野球帽にジャージ姿のおじさんが
じぃ〜っとこ ....
遠い記憶の片隅に
桜の花が咲き誇り
淡く染めゆくその色に
時の流れを知りつつも
時の流れの哀れさも
歳を重ねて見えてくる
はかなきものは美しく
美しきものは泡となり
消えゆくものは夢と ....
石鹸は邪悪な念を持ち始めた
毎日のように汚いものに接しているうちに
その心が侵されてしまったのだ
穢れがなければ自分の存在はない
穢れとともに生きてゆくことに
生きがいをもつようになった
....
どんよりとした午後
気だるくジャズを聴きながら
ふと コーヒー・ミル引く手を休めると
ポツポツと出窓を鳴らして合図する
気まぐれな訪問者がやってくる
いつのまにか
部屋にながれるジャム ....
残された心は
たとえば
音楽の中に
ただよっている
たとえば
風景のように
遠く
かすんでいる
たとえば
言葉の行く先を
ぼんやりと
指し示している
残された心は ....
その木はぬくもりの森の中にあった
根を深く下ろし
広く伸ばして
太陽の光で守られていた
その木から放たれる力は
周りの生き物の命に
安らぎへのメロディーになった
その歌を耳にするものは
....
咲き初めし頃より花を想ひ
春のゆくへを知りつつ
時を愛づる心はまさに無常の心なり
花は目にて見るにあらず
心にて見るものなり
花のみに限らず
人とてまた同じ
花の咲く時を知り
とも ....
女の子にだってね ロマンはあるのよ
とっても恥ずかしいから 口にしないだけで
絶対に教えてなんかあげないわ
探せるものなら 探してみなさいな
見事 みつけられたら ご褒美あげる
貴方はい ....
あれから
いくつ春を
数えたかしら
わたしの中に眠るあなたは
春ごとに目覚める
黒と白の斑尾模様の猫が
出迎えてくれた細い路地
人の気配が消え
静まり返った石畳
入り組んだ奥 ....
これは誰かのためではなく
レコードの向こうで膝を抱える
あなたのために作った歌
世界中の人が幸せでも
あなたの涙が乾かないなら
少しも満たされることはないよ
もう一度あの笑 ....
生まれた時から
ぼくには父親がいなかった
母からは
父は遠いところで仕事をしている
としか言われていなかったが
ぼくは父の写真を一度も見たことがない
子どもの頃
母に連れられて
どこか ....
二日遅れのホワイトデーの
白いリボンを髪にのせて
ふわりと回ってみせる君は
大きくなったら
メイドになりたい
という
人様に奉仕したいとは
見あげた心がけだ
と
解釈は準備してお ....
泣きたくなるほど 別れ の匂いをのせた風、が
すべてを その 色に 染めました
その 匂いを感じるようになったのは いつ からでしょうか
泣きたくなるほど 別れ の匂いをのせた風、が ....
スパンコール散りばめたような
ビロードの夜
見上げればぽっかり浮かぶ
上弦の月
こんな夜は
お月さま たて琴にして
静かな森の湖に
音色をそっとながしましょう
銀の小舟 ....
安らぎのソファー
キミとのお喋りはメロディアス
枯れることをしらない泉のように
ほとばしり噴出する言葉のオーケストラ
キミの香りとキミの言葉とキミの感触と
感じるキミの温もり
....
ジャージは恋をしていた
一目見たそのときから
そのサッカーボールにときめいた
本当は光沢のある白と黒の
単純な色をした丸い球体だけれど
大勢の人から蹴られて
その傷口からは土が染み込み
....
まちがえることを
素直におそれた日々は
だれかのきれいな蝶々結びに
たやすく揺られる花だった
あの草原で
かぜを追いかけてゆくことに
不思議はどれほど
あっただろう
....
どうして人は空を飛べないの
小さな少女のふとした疑問
どうして人は空を飛べないの
人は大地を守らなければならないのです
大空を自由に飛びまれたら
人は守らなければならない大地を
破壊し ....
かなしいものなんて
ボクにはないよ
やわらかいものなんて
ボクにはないよ
空に
一杯に手を広げ
防波堤のひらたい丘で
じりじり
ボクは乾いてく
太陽を
こんなに間近 ....
蛍光灯の灯りが揺れる
人影の途絶えたプラットホーム
いくつも電車を見送って
途方に暮れる無人駅
蛾の浮かび上げる影を目で追い
懐かしき君のの面影を追い
幻は掌をすり抜けてゆ ....
終点の駅に着いたので
降りようとしたら
網棚にかばんが置いてある
すでに乗客は誰もいない
きっと忘れ物なのだろう
駅員さんに届けてあげよう
かばんはとても軽かった
何も入っていないのかも ....
魂の色は 七色だから、
君が 今 何色でも、これから何色になっても、
それで、いいんだ。
君よ、
囚われずに、変わっていけ。
風に乗り空を駆ける、あの雲のように。
君が 今 ....
倒れる
水差しが
ふとしたはずみで指先に触れ
ゆっくりと音もなく
まるで夢のように
倒れる
デイジーの{ルビ花弁=はなびら}が
こぼれた水の上に散らばって
白い沈黙
切なさに ....
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