すべてのおすすめ
しんとした
もりのおく
ざわめいた
ゆめのあと
くちびるで
きみのこえ
ゆびさきで
きみのこえ
たしかめる
たしかめる
....
洗面器の水に
指を浸す
わたし達の海はこんなに小さい
手と手が触れ合える
ささやかな暮らしでよかったね
ざざぶ〜ん
ときどき窓のそとで水音がする
あれはイルカ
あれはシ ....
ぼくには声はないよ
さけんで さけんで
声はきこえなくなってしまったよ
ぼくは、うたえないよ
ただ、卑屈な笑みしかつくれないよ
正直、今日も死にたいと思っているよ
病気と言って ....
雑踏のあちこちで発生する
ポップな着メロ
それぞれの手のひらの中
ぽろぽろとカラフルな
想いをつかまえる
まるでゼリービーンズのよう
人工着色料かけたみたいな
絵文字やコトバが
....
近づいてゆく
風が乾いた草の匂いをはこんで
近づいてゆく
滅んでゆくものの気配を
怖がらないで足をのばし
サンダルを遠くに飛ばして
近づいてゆく
秋のサテンのやわらかな手触り
私はこの ....
正しい人は
どこにもいないけれど
正しさを求める人は
たくさんいるね
むずかしい顔はやめにして
軽く、
答のようなものを
肩に乗せてみるのは
どうだろう
きみの知 ....
太陽が沈んでゆく
そこが西の空だ
そして今日は下弦の月
だからすぐには
月を見ることができない
真夜中までじっと待て
そうしたら
太陽が沈んだ反対側を見ろ
今日の理科で習ったばかり ....
午前の陽が
空間に満ち満ちて
こぼれそう
木々の緑に
この陽光は 留まり
深い瞑想の光合成が
効率よく 静かに浸透して
一葉は重く 沈む
地球の裏側で
ラプラタ川のほとりで ....
*
澄んでいく記憶の端から
水色の汽車が走り出します
ため息や欠伸といった
水によく似たものたちを
揺れる貨車に詰め込んで
透きとおる空の下
滑らかなレールの上
どこまでも
どこまで ....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする
すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような
ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
今あなたが食べた
その秋の実は
一年に一度しか実がならない
そんな生き物なのです
人の一生の中では
わずか五十回くらいしか
作ることができません
この秋の実ができるまでに
冷たい風 ....
二つの小さなビンに詰められた
ピンクと水色の奇妙な物体
人のような形をしているけれど
腕とか 足とか すごく曖昧で
でも
体全体から意思を発しているような
とても奇妙な二つの物体
「 ....
聞いたことはないけれど
蓮は花がひらくとき
ポンと音がするらしい
聞いたことはないけれど
それはきっと
何処か遠くの暑い国の
砂に塗れた大きな仏像の前で
小さなやせた女の子が
そっ ....
ぼくは
命を惜しんでいる
まだ
愛していないものが
視界の端々や
夢の隅々に
在るから
小さな約束をして
鳴いて亡くす蜩の生涯
たった一匹の虫の声よりも
気高い歌を
ぼくは
....
居酒屋で
ビール片手に酔っ払い
まっ赤な顔して
柿ピーの一つひとつを
座敷畳の隅に並べ
目尻の下がった
頼りない
顔をつくる
「 なんだか俺みたいだなぁ・・・ 」
....
それはなぁんだ
ペガサスが颯爽とかけるかのように
天上の大奥から
青い吹き矢となって迫ってくるもの
マグマが轟々と地鳴り ....
数段にかさなった雲がちぎれて
やがてあなたのところに届く
そうして同じ雨を降らすの
目に映りこんだ人の波を追い出したくて
必死で目をつぶってみるけど
ぶつかり合う肩の痛みに
思わずあな ....
なにかが欠けていたのだろう
あなたに伝えること
いま
全裸を隠そうとしている
この月のように
僕があなたを
少しずつ愛していった
はずなのに
あなたは
不信で覆われていく ....
晴れた日に
テレビゲームをしていたら
外で遊べと言われ
公園でサッカーをしていたら
ボール遊びはするなと言われ
自転車で探検に出かけたら
行き先を必ず言えと言われる
ぼくたちの遊びを ....
あの青は知っているのだろうか
大海の向こうの優しさを
国境を越えた憎しみを
アスファルトに染み込んだ綺麗な血の匂いを
埃まみれの文字に隠された秘密を
届かずに色を失う百億のコトバ達を
....
夏の終わり
りんりんと鳴く虫の音の響く夜の淵
なまあたたかいぬめり気が
頬をなでる
セックスを終えてアパートを出た後の
このにおい
夏のにおい、のような
記憶のか ....
虹が出たら
虹の付け根が見たくて
みんなで虹の端目指して
駆け出した
でも近づくと虹は
近づいた分だけ遠くなる
それでも走っていくけれど
行けば行くほど 遠くなる
それを繰り返して ....
水になろうとするように
魚が魚のかたちで泳いでいる
そんな潮溜まりでは
生きものの群れがまばゆいという
空を仰ぐひとは
吐息ほどの
祈りの水を浮力にかえようとする
浮いては沈む
....
告げることもなく
終わるものの
西日に照らされる
影のかたち
騒がしく
鳴り続けた夏が
ひとびとの胸に刻まれる
記憶のかたち
あの角にはたしか
食堂があったはずだ
なぜ ....
夕方
花に水遣りをしていると
ブルーサルビアの花の影に
妖精がいた
一目見て
「ヤバイ」
と思った
妖精は蝶の羽を持っていて
ブルーサルビアの花と同じ色のワンピースを着て
髪の毛 ....
君の夏の中に
向日葵は咲いた
去年よりも太い茎で
大きな花を咲かせて
はっきりとした向日葵は
これからしおれてゆくだろう
けれども君はそれを
悲しんではいけない
それが自然なのだか ....
また、一粒 涙をこぼす
こぼすたびに
わたしの心が汚れてゆく
この涙は
自分のために堕ちてゆき
床をぬらすだけの
水にすぎない
誰かのために
ながした涙は
....
あの彗星を追い抜くには
おれの命はあまりにも遅すぎる
もっとスピードを
もっとスピードを
摩擦熱で燃え上がって灰になるまで
もっと軽やかになるために
おれは足の小指を切り落 ....
スポイトで吸った液をガラスに乗せ、顕微鏡で覗いた神秘の世界。
銀河の始まりもこんなに小さなものだったのだろうか。
サボテンの刺、蜘蛛の脚。命は先端にまで満ちていて。
髪の毛の先や爪の先まで ....
大きな線香花火が
今日もゆっくり
海へと落ちていった
水に浸かる瞬間に
ジュっと
火の消える音がしないかと
耳をこらしてみたものの
カナカナカナと
聞こえたは
夏の終わりにすがりつく ....
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