すべてのおすすめ
燦々と
そそがれる陽を
うけての青
朧々と
つめたい雨に
うたれて紫の
移ろう色は
六月と七月の境界を曖昧にして
暦がめくれたことにさえ気づかず
深い場所で息する哀しみに黙す ....
ある日
耳を失った少年は
歩いている道で翼を拾った
少年はその翼を背中につけて
ふわふわと自由に飛んだ
何も聞こえるものはなかったけれど
少年は音を取り戻した
ある日
目を失った少 ....
朝のバス停に
雨が降っていた
傘一本だけで
自分の身を守っていた
バスは来ない
時折り
普通自動車が勢いよく走りぬけ
傘を前にして道路の水を避ける
気づけば
髪の毛が濡れてい ....
国のためには死ねないけれど
恋人のためなら死ねると思う
そんなことを言う若者が増えてきたので
国は美しい女の振りをして
全国の若い独り身の男たちに
情熱的なラブレターを送りつけた
まん ....
こんな夜、
一人浅い夢から目覚めて
窓外を揺れる葉擦れのざわめきに
わずかに明るむ緩やかな月光に
胸に満ちて来る何ものか
心を澄ますと潮騒の響きに似て
耐えきれなくなる 抑えきれなくなる
....
赤いダリアがうつむいていた
街灯はちかりちかりと電池切れ
濡れることに疲れたわたしは
通りすがりの民家の軒下で雨宿り
出窓に座るドラえもんと目が合った
車が水しぶきをあげて ....
雨が降ると いつも
あまだれをじっと見ている
子どものままで
いまも
樋の下でふくらんで
まっすぐ地面に落ちてくる
あまだれ 一ぴき死んだ
あまだれ 二ひき死んだ
あまだれ い ....
あの頃の私は、死ぬ理由ばかり考えていた様に思います。
例えば風が強いとか、梅雨でもないのに雨続きだとか、
貴方に近付く事ばかり、必死に考えていた様に思います。
夏の日差しは、此処もあ ....
「君は必要です」
上司から言われたその言葉に
自分が認められた気分になり
その後は毎日のように
仕事をこなしている
カップラーメンを食べながら
いくつもの書類に目を通し
会社メールと携帯 ....
寝る前に 歯を磨く
やっぱり「恋」なんてものは 男よりも女のほうが似合うものだと
鏡の中で 奥歯を磨く自分を見て思った
ふたりいっ ....
家族で豪華な料理を
食べに行った
お父さんとお母さんは
とても満足そうだったけど
ぼくは
おしゃべりしながら
家族みんなで分担して作った
カレーライスの方が
美味しいと思った
家 ....
京都には
たくさんの色がある
錦の糸、その数だけの
雨が降れば、石畳の
風が吹けば、竹林の
雪が降れば、杉山の
星が舞えば、祭囃子の
さらりと、するりと、
あたりまえの顔をして ....
子どもたちの広げたパラソルが
クルクルと回って
それは梅雨に咲く
パラソルフラワー
アジサイのように
一度にたくさん咲いてるのもあれば
一列に並んでいるのもあり
色鮮やかに咲いている ....
暑い夏だと、手がひとりでに動く。
発せられなかった声も、潮風の涙腺にとけて。
装飾のための深い窪みまで、
透き間なく、枯れている、古い桐箱に眠るフィルムを、
年代物の映写機に備え付ける。
....
五線譜に引っかかっている
音符をひとつ
つかんで
鍵盤に落としてみた
小さく高く弾んで
涙のしずくに
変わってしまった
やさしく
なにか語ってくれると
思ったのに
....
淋しさを知らなそうな
青い空に染まろうと
重いペダルを
さらに力をいれて漕いで
汗がぽとり
四十八色の折り紙で
継ぎ接ぎされた丘が
さらに
進めと囃したてて
ぽとりと ....
あの夏はもう過ぎてしまった
まだ子どもの頃
特に待ち合わせをしなくても
いつもの公園に集まって
そこから林に探検へ
入ってはいけないような場所に
金網をよじ登る
そうすることが夏だった
....
ぼくたちの先生はいつも
ぼくたちにはできないことばかり
言っていて
ぼくたちができないと
何をしてんだと
いつも怒ってた
隣のクラスは
優しくて人気のある先生
楽しそうに過ごしてる ....
ちょっと足らないだけだものね
八時二十分を指している
あなたの眉毛の上に
ボールペンかざしてあげる
いざ出かけようとしたら
小糠雨降り出して
傘を差そうかどうしようか
迷うのにも似て ....
ガリガリ ガリガリ ガリガリ
休日だというのに
朝から電動バリカンの音が
騒いでいる
庭の木の手入れがすでに
始まっていた
ようやく訪れた休日なので
今日は一日ゆっくりしていたい
....
ハイウエイを 白い光が流れる、眩しさに
つい、さっきまで 激しく踊った サルサの夜の
緋色のドレスの女が 助手席から身を乗り出し
果てしなく 毒舌を放つ、「終」への招き
エレガントな仕草で ....
いつもみんなよりも前に走っていた
けれどもそれは
人生のたった最初の十八年だけに
すぎなかった
次の四年間は
自惚れていた自分がいた
適当に時間を過ごせば
それで許されていた
ペースダ ....
二十一世紀の
ある青年は日々
( 姿の無い誰か )が
自分を呼んでいる気がした
*
二千年前の遠い異国で
ある村の漁師は湖の畔に立っていると
背後を誰かが通りすぎ
....
夜空を見上げてみた
数えきれない星が
ぼくの上にあることに
気がついた
今ぼくは
宇宙の中にいる
今ぼくは
宇宙に触っている
夜空の中で
星は光るだけではなく
流れていくこ ....
あしたあたしはあの女から命を授かる
口紅と下着とカロリーメイトと退廃の
散らばる部屋に産声を上げ
ストッキングで顔をぐるぐる巻きにされ
タンスの{ルビ抽斗=ひきだし}につめられるんだ
耳 ....
幼い頃は不遇だった
両親は不仲でケンカばかりしてた
僕がその場を和らげることが使命だと思ってた
母は父への不満を僕にぶつけ
僕は妹や弟の不満のはけ口になり
わざとゲームで負け ....
遠い昔の夏の夜
通りすがりに見た花火
ちりちりと音を立てながら花が咲く
光を見つめているうちに
いつしか音が消えてゆく
赤や緑の光だけが
思い出になってゆく
遠い昔の夏の夜
二人で ....
梅雨の合い間に晴れた空
光が大地に降り注ぎ
静かな時の始まりか
風も涼しく穏やかに
白雲浮かぶ青い空
豊かな緑浮き立たせ
夢見る時の始まりか
心鎮まる和やかに
畑の作物採りに行 ....
どうしてぼくを叱らないのと
大人の人に聞いてみたら
君はとてもいい子だから
叱ることなんかないさと
誰もが言っていた
ぼくは知っている
本当は叱らないんじゃなくて
叱れないことを
....
心はいまも、ガラス細工のスペースコロニー
遠く 遠くへ
数多を駆け抜けて通り過ぎると
夢を掴もうとした両手は
さり気なく
空を見つめた
ふと
呼吸には温度があった ....
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