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憎しみはとうに消えた…
生まれたときからずっと一緒だった
風は今も冷気をたたえ、凍えそうにして
私は待つ あなたを待っている
かつて野を覆った炎の残骸
黒く、さらに黒く焼け焦げた ....
忘れてないよ、ただ
少し照れ臭かっただけ
低血圧で高所恐怖症の僕と
渓谷の暖かなこちら側まで
一緒に飛んでくれたのは
君の翼だった
忘れてないよ、ただ
言葉が見つからなかっただけ ....
秋に夜が訪れて
炭酸水が流れこむと
暗い海の底
音もなく稲穂が揺れる
えら呼吸をはじめる
溺れないように
母が子守唄を歌う
目を覚ますまで
魚になる
泡をこらえて ....
しがらみに追いつかれた
雨上がりの宵の口
ゆらゆらと裏通りを歩けば
アーケードの端にかかる立待月
前のめりのふりをして
探していたのは出口
つらつらと磨いた逃げ足で
袋小路に駆け込ん ....
生まれてすぐに言葉を食べた
降る雪のように冷たい言葉
それは小指の爪のように
やわらかく甘く
そっと僕の心臓に住まった
なんだか涙が出そうで
手のひらを握ったりしていた
つぼみが ....
{引用=玉子の親じゃ、ぴよこちゃんじゃ、ぴっぴっぴよこちゃんじゃ、アヒルじゃぐぁーぐぁー。}
(一)
「兄ちゃん、コイツをくんねぇ」
カーバイトランプに照らされた
みか ....
風の音がした
ふり向くと誰もいない
十八歳のぼくが
この街をつっと出ていく
いつも素通りしていた
その古い家から
いつか誰かの
なつかしい声が聞こえた
敷石を踏む下駄の
細い ....
はふり はふりと
絶え間なく吐き出される
うすく くもった溜め息で
部屋の中のこまごまとした輪郭は
ほとんどなくなってしまった
あいまいにぼやけた世界は
色々なこと を
許してくれそうで ....
祭りの夜は渦巻く貝殻
空はずっと青かった
水の流れをずっと聞いていた
草を噛むとたちまち苦みが
口なかに広がって 星が銀河が
水のように押し寄せて来る
あれは
ケンタウルスのきら ....
陽だまりのような日常が
どこかに
存在していたりするのかしら
だれかの心の中に
小さくともるあかりのように
ささやかにでも確かなものとして
存在していたりするのかしら
目に見えないところ ....
ボクが子供の頃
コーヒーは珍しい飲みものでした
だから ボクの両親は
コーヒーは飲みません
コーヒーを飲むのは
ハイカラな人達でした
ところが先日帰省してみると
両親がやたらコーヒーに
....
夕方の六時に
ミュージックサイレンが鳴る
さみしく愛らしく
いぬのおまわりさん
七つの子のカラスではなく
赤とんぼでもない
ゆうやけこやけでもなく
家路でもなかった
だからとき ....
青信号の点滅
ギリギリで間に合わない
そんなことは
わかっていた
でも、
君と一緒なら構わない
そう思った
絶望的な結末
それでも今は構わない
君と一緒なら、たとえ
赤信号 ....
<伝える>
ひとつの言葉に
ひとつの意味しか
与えられていなかったら
ちゃんと伝わるのかな
肯定と否定の
二者択一で
チャートを辿っていけば
簡単に真理に近づけ ....
湯船に浸かり
うつらうつらしていたら
突然誰かが部屋に入ってきた気配を感じ
バスタオル胸元に巻いて飛び出すと
消したはずのルームライトに薫る
わたしの大好きな秋桜のアレンジメントに
添 ....
あいするそのひとは
いのちあるひと
あいするそのひとは
ひかりあるひと
あいするそのひとは
うたのある ....
オゲンキ、 デスカ?
キョウ、モ
ミズノ音ダケヲ 聴ク
アクアリウム、ハ
シズカデス
、。
、、:。/
....
オルゴールの箱を開けると
止まっていた
あの頃の時間が動きだす
もうずっと昔
子供の頃の
何度も
何度も
キリキリと
キリキリと
ゼンマイのネジを巻く
子供の頃みたいに
....
「目をこらしてごらんなさい
この世界はふわふわ漂っている
箱庭なのです」
風が草の中でささやいている
透明な壁の向こうで
見知らぬ風景がふるるとゆれた
君はそっと魔法の呪文を唱 ....
そんなこともあったっけ…
あれは息子と歩んだ道
四谷大塚の教本や模試の受験票が
ジグゾーパズルのように
断片となってパラパラこぼれていく
うまくつながらないのは
終わってしまったも ....
今日もいちにち
風の中を歩いてきた
ひとは揺れている雑草の
つくつくぼうしだった
音は声となり
形は姿となり
匂いは香りとなり
色は光となるように
風景は風光とならなければなら ....
パリ、
バンコク、
アムステルダム
アブダビ・・・・
ひとりゝが克明に、
肌の毛穴を映し
【二十四】の顔たちが
闇に浮んでいる
それ等は瞬きをし、
呼吸し
ときには咳きこん ....
たくさん雨が降ったあと。
ぼくはまた、色を思い出している。
メロンと、レモンと、ストロベリー。
なんだかとてもおいしそう、なんて思っていた。
ファミレスの窓に、にじむライト。
およい ....
翳る空に 浮かびくる
はじめてなのに 懐かしい
影と光 色とかたち この想いは何?
雨がやさしく降り出す
濡れる道から沸き立つ
雨のにおい 胸を焦がす この記憶は何?
....
命の回転速度が速くなりすぎた夏
季節はわたしだけを残して行き過ぎ
熱を持て余した歯車は少し空回り気味で
もう いいんだよ って
誰かに肩を叩いてもらえるのを待っている
秋の入り口
熱帯夜から放たれた八月のあなた
雨戸もガラス戸もカーテンも開けて
短い髪に風を受ける
シャンプーの香りがよせてはかえす
秋の虫が聴こえる
蝉の絶えそうな羽音も渇いたように
風がはためかせた ....
空が高い
空が溢れそうなほど膨らんでいる
今日の地球は いつもより ひとまわり大きい
白い跡をつけながら
西から東へ飛行機
ただ青い中を
東から西へ滑る 白い翼もあって ....
憶えてないくらい前から僕は
屋根裏部屋の
喋らないラジヲと古雑誌の間で
首を傾げてる
別に忘れられたことを
恨んでるわけじゃない
淋しさのように埃は積もっていくけど
僕は元気
....
今夜も窓ガラスを
こつこつとノックする
かぶと虫だ
息子よ
きょうの収獲はいっぴき
絵葉書はいくども読んだよ
寝苦しい夜は流氷の夢でもみたいものだ
熊の肉と行者ニンニクをかじる
....
がたん、ごとんと電車は揺れて
それぞれを然るべき場所へと運ぶ
帰るところの無い私
頭上で揺れる吊り革みたい
誰かに繋がれるのを待っている
「それなら二 ....
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