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絶望的な希望の唄を この世の果てで口ずさむ
崩れかかった廃墟に囲まれ 頭の中で鳴るメロディー
今にも消えてしまいそう
虚ろな偽の灰色の瞳は 透明さを無くしたガラス
自分 ....
ねえねえと肩を揺すっても
寝たふりしてたはずの
あいつは
いつの間にか深い眠りに落ちていて
久しぶりに触れ合いたかったのに
わたしのこころは
ちょびっと傷ついてしまった
それでも ....
詩が生まれないこと
満腹な証し
なにもいらない
なにももとめない
言葉は
ことばであればいい
深みもなく
潤いもなく
その場限りの
ものでいい
詩はないほうがいい
幸せなもの ....
夏の終り
小さなローソクに火を点し
山深い夜の川を
ぼく等はすこしだけ明るくする
澄んだ水を飲み
あふれる流れを浴びて生きた
名もない魂が火となって
再び水に帰る
死んだ人との ....
はじめて
家族旅行に行った
夜の宿で
そこは二楽荘というんだけれども
楽しいことは
一つや二つどころではなく
三つも四つも
心配など
なにもなかったから
いくらでも夢中にはしゃ ....
誰も知らない
丘の上に
時計台があった
誰も知らないから
動いても
止まっても
知らないのに
時計台は
時を刻み続けた
真夜中
僕らが見てる
夢の時を
正確に
....
夏のテーブルは渚
水のように陽だまりがゆれる
私の貝殻はここにあります
波間にさすらった熱い砂は
もうゆるくほどけて
あなたの胸に頬を寄せると
潮騒が聞こえます
時折 やさしく
....
やせっぽっちの捨て猫だった
ミーミーないていたのでミーと名づけた
小雨が降る桜が散ったあとの公園だった
とても弱っていてミルクも飲まない
指先にミルクをひたして唇に寄せた
かたく閉じ ....
「免許を取るには、年齢位の金がかかる」
誰かさんが言ってた通り
33歳にして33万という金を
母ちゃんは惜しげもなく貸してくれた
二俣川で筆記試験に受かり
初めて免許を手に ....
西へと
みじかい眠りを繋ぎながら
渦潮の海をわたって
風のくにへ
海の向こうで
山はいつも寝そべっている
近づくと
つぎつぎに隠れてしまう
活火山は豊かな鋭角で
休火山はやさ ....
紙の羊が
食べたそうにしていたので
紙の草をつくった
今日はたくさんの流れ星だね
あれはホタルさ
きれいだね
命みたいだ
充血した方の目で
窓の外を眺めた
赤い網目の向こう側には
いつもの景色があるのだが
その虫捕り網には
穴が開いているから
僕は呆気なく
ホントを取り逃がしてしまう
白濁した方の ....
遠く遥かな
おぼろ月
春の夜半なら
届くのか
一人で歩く
かえり道
ついてくるのは
おまえだけ
夜とおんなじ色の猫
うすぼんやりと
おぼろ月
猫とおんなじ
色の ....
永遠に交わらぬはずの者同士が
交わろうとする
水と油
そんな感じで
高温にまで熱せられた油は
邪険にも寄せる思いを弾き飛ばして
ふつふつと
行き場の無い怒りに震え ....
僕の名前は皆月零胤 でも名前はまだない
多分それは小学五年の夏休みが折り返した
そんな時期だったと思う
空き地の隅には僕たちの秘密基地があった
それはホームレスのビニールシート ....
わたし、さかな
あなたの前では息もできない
それは言いすぎかもしれない
だけど夜になると
淋しさを呼吸するわたしは
誰でもない一匹のさかなになって
どこまでも
きっと、どこま ....
いろんな空が
ひとつの空で
暮らしてる
言葉もなく
言葉ばかり集めて
あの頃
僕は
何を見てたんだろう
こんな空がある
あんな空もあった
そこで
暮らした日々よりも ....
太陽のない
惑星の
生きもののように
夢を見てる
漆黒の意識の中
聞こえない
囀りと
見えない鳥
あの空も
雲も
地平線と
沈みゆく太陽さえ
目を覚ます
....
果てしない闇の中
なぐさめの月を抱く
その瞳に映す僕の罪は
笑うたび優しく刺さる抜けぬ棘
欲望は満たされることはなく
偽りのぬくもりは
終わったその瞬間から
この手の中から零れ
漆 ....
かなしいけれど しょうがないのか
なきむしだからどうしたらいいかな
しらじらしいえがおみせたりするし
いらいらしてたって それでもいい
うそつきなのになぜすきなのだろう
それでもいいとい ....
一日が終わっていく
きょうは
1/150億年の一日
ちいさな一日
僕の一日は乾いていた
びしょ濡れだった人もいるだろう
途中で息絶えた人もいるだろう
寝過して飛ばしてしまった
....
裏木戸を開けると
ひぐらしがないている
あの木の下
薄暗い桜の木の下で
闇間に鼻緒が見えている
そり返った白い足の指が
細い脛が折れそうにのびて
あの時もひぐらしがないていた
....
夜はさみしさをたたえる水面
しずかに腕をひたして
あてどない動きにさらされていた
夜がひそかに身体をゆすると
いつしか私もゆれていて
抱きしめあった記憶が
手のひらからあふれた
....
紺碧の輝きを放つ
カラスアゲハの翅が
百合の花のつよい匂いに紛れて
大きくひらくのを見た
静止した夏の庭。
そこに私がいる
分岐の先に、
意識が流れてゆくのも――
移ろう涼しげ ....
友だちの
りんご畑から
りんごを盗んでしまった
十数年後
街でばったり
友だちに会った
一緒にお酒を飲んだ
ふところには
あの日のりんごが
ひとつあった
りんごは ....
コンクリート
信号機
看板
君がうたうのは何処。
君は何をうたう。
夏風がそっと聞いてくる
今年は
蝉の声が聞こえてこない
だから
さ
君が鳴いてよ
君が ....
君のみどり色のところを
ぜんぶ
静かにしてしまおう
僕たちのゆびさきは
それはきれいな舵だ
このすこしの世界では
なくこどもと
あくたの色はもう見えない
ただ
朽ち ....
僕たちは気づかないうちに
夜の闇に飲み込まれていて
人混みに流されていた
ほんの些細なすれ違いから
互いに伸ばした指先も
届くこともなく
雑踏の中に互いの姿を見失う
あとほんの ....
瞳を覗き込んで
悪戯に誘いをかけてみようか
優しい風に乗せて
悪戯に愛を囁いてみようか
こころを曇らせて
悪戯に雨を降らせてみようか
今夜の三日月ぐらい薄っぺらなこころで
....
子どもの頃、夏はいつも眩しかった。
川の源と深い緑、僕の生まれ育った町は山あいにあって、
寒さの厳しい分夏は涼しく、
台風も滅多に訪れない、そんな所だった。
山の一呼吸とともに、夏はやって ....
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