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しずかな曲線を描いて
落ちていく
最後の一日が
地平線のあたりで
手を握り合う
もう二度と
離れてしまわないように
やがて朝がくる
信じるよりもあきらかに
疑うよりもたやす ....
いつか
目の前の少女が
いなくなる
そんな未来のことを
考えていた
少女は僕に
やさしく微笑んで
お似合いの白い帽子を
空高く飛ばした
落ちていく帽子を
目で追いながら
....
午前の安らかな居眠り
窓の風景が寒い冬枯れて
モノトーンの射し込む光に
アケビの橙が透視できる 窓に
うたた寝の前
布団をかぶり
空を呆然と見詰めて
表情のある天候と同期して
....
暖かきペチカの前に佇み、
爪弾くは古きバラライカ、
人の涙振り絞るその哀歌、
されど汝が知るは人の世の上澄み。
冬も凍らぬ我が泉、
彩るものはすみれか百合か、
されど汝が明日は如何にか ....
今日も{ルビ賑=にぎ}やかな
職場の仲間は
跡形も無く姿を消した
残業の時刻
静まり返った部屋で
ぱらぱら
書類の{ルビ頁=ページ}を{ルビ捲=めく}りつつ
手にした判 ....
君は
言葉を見たか
路地裏の突き当たりの
饐えた臭いのする真っ暗闇の中から
ゆっくりと立ち上がる言葉を見たか
君は
言葉を見たか
見知らぬ星座の片隅に
燦然と輝く小 ....
通りすぎる人々
季節は白い季節
眩い青春の雄叫び
そ知らぬ顔の夕方のニュース
誰もが時代の洗礼を受けて
眺めはグレーなため息の街
限りある時間の中で起こる
....
あなたは ふらり
何の気なしに
立ち寄った旅人のようですね
来訪が嬉しくて 嬉しくて
こころからおもてなしするのですけど
ずっと ここに留まってはくれず
また ふらり
どこかへと旅立 ....
夜、月を見上げていると、誰かがのぞいていた。
ほんの少しの時間だけ、のぞいていたようだ。
僕に気付いて隠れたのか、僕は気配をうかがっていたけれど、それきり何も見えなかった。
月はながめればながめ ....
雪のなかに立ちつくし
あとからあとから降り続く雪片を待つ
そうして私を埋める白いせつなさよ
ぼんやりかすんだ空を見上げ何を待つのか
あとからあとから降り続く雪片を待つ
今年も終わりましたねと
トナカイは角を外しながら言う
雪と埃を落としながら
布をぐるりくるりと巻き付け
元の通りビニール袋に入れる
黒く細長いケースを開け
赤い柔らかな型に嵌め込む
今年 ....
地面一杯に落ちた椿の中で
ひとり囁く者、有り。
群生林である椿は木の上にはもとより
私の足下まで赤で染め抜いていく。
生温い血溜まりに座り込んで
私は貴方の声を聴く。
「はやくはや ....
お金や幸せを掻き込むという
縁起物の熊手
わたしの望む幸せとは
そんな熊手の上手から漏れた小さな幸せ
例えばそれば
何時に無く目覚めの良かった小春日和の午後
所在無いままに陽だまり ....
夜をかさねた底で
かすかに聴こえてくるのは
淡くほどける
ひとしずくの
きらめくゆらぎ
一定のリズムを打つ心拍
冷酷に刻まれる一秒
整然とした規則の中で
とぎすまされた ....
雲は
空のことが好きなのだ
ある晴れた日
どこからともなく
雲はやってきて
やがて空のすべてを覆いつくし
ひとりじめにした
そして泣いた
泣いて泣いて
涙がかれたら
雲はあ ....
ぼくがいなくなっても
さみしくないように
きみのまくらもとに
ちいさなかみさまを
おいておくよ
あるばんにだれにも
はなせないことがあったら
ちいさなこえで
ちいさなかみさ ....
私は壊れた人形
誰に思われるでもなく
忘れられて箱に仕舞われた
確か主人が名前をくれた筈
だけど思い出せない
螺子がくらくらと緩んでゆく
元々欠品だった私を
主人はそれでも構わな ....
水道の蛇口から
船の汽笛が聞こえる
船に乗った
親子の会話が聞こえる
いつになったら
港に着くの
少女の声がする
父は黙して
母はかもめを指差して
話をそらした
遠い昔
....
この快晴烈風に
栗毛の駿馬の体が発している
いななきと情気した 赤い汗
馬が飼われている
隣の部屋では
いつも朝日が細く差し込んでいる
扉を開ければ
広い原野は俺のものだから ....
マリンスノー
ふりつもる死骸
わたしというイキモノのうちそとで
生きたり死んだりしている生物たち
顕微鏡下の冬の水は活発な動きを示さない
微動だにしないとうめいな殻
わずかに繊毛を ....
淡く澄んだ飴玉みたいに
いつかは溶けて一部になるよ
まどろむ夢と夜の狭間で
在りもしない声に酔いしれていた
君が渡したモノクロームの空想
僕は絵の具でそれに色付けて
羊が騒 ....
幸せが側に来ると
男は
おびえて
目を背けた
いままで
幸せなどというものを
見たことのなかった
男の目に
それは
あまりに
まぶしすぎた
男が
幸せから
目をそらし ....
ぼくらの言葉は
山でありました。
緑でありました。
渓谷の流れでありました。
あなたが
お嫁にいくといいます。
リュックもクツも
ハーケンもハンマーも
ザイルも投げ捨てて
お ....
少年は
言葉の世界に暮らし
少女は
意味の世界に暮らした
地平線には
さみしい遊具があった
あれからどれくらい
年月が過ぎたのだろう
錆びついてしまった
心のように
ち ....
地平線の上で
ブランコに乗っている
少年がある日
そのこちら側に
来てしまった
ブランコは残されたまま
速度をうしなわずに
今も揺れ続けている
地平線のこちら側には
意 ....
どこかに風がふいている
耳を澄まして
あなたは言った。
ほら、あの渓谷の流れに
風がほほえんでいる。
私たちの幸せは
どこかに眠っている
登り道ばかりつづくとき
あなたは言 ....
地平線の上で
縄跳びをしている
少女がある日
その向こう側に
行ってしまった
縄は残されたまま
速度をうしなわずに
今もまわり続けている
地平線の向こう側には
言葉のい ....
最初は綿ぼこりかと思った
小さな白い塊が
ふわふわと目の前に浮かんでいた
疲れた目の錯覚と決めつけてはみたが
白い塊はその数を増し
やがて
小雪でも降り始めたかのように
凍えた集会室 ....
聴こえるかい? プーチン、
/////(ノイズ)。
私は詩人たちの口をとおして
今も尚、歴史を変えることが出来る・・・・
ウラジーミルは一九二四年一月二十一日に死んだ、
旧い日 ....
今日も
整備士が
街のいたるところに
油をさしてまわる
錆び付いていた風景が
滑らかに動きだす
時計台の時計が
ボーンボーンと音をたて
時間の螺子を弛ませている
おはよう ....
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