醜いジュリア
Tsu-Yo

今日も
整備士が
街のいたるところに
油をさしてまわる
錆び付いていた風景が
滑らかに動きだす
時計台の時計が
ボーンボーンと音をたて
時間の螺子を弛ませている


 おはよう ジュリア
  おはよう 醜いジュリア
   おはよう 僕の醜いジュリア


それから
整備士が
街のいたるところに
火を放つと
景色がぐるぐる回り始めた
旋回する街の中を
風が風のように舞い
懐かしい記憶を乗せた
ジュリアが走りだす


 行こう ジュリア
  行こう 醜いジュリア
   行こう 僕の醜いジュリア


やがて
整備士が
深い眠りにつくころ
街はいつもの姿をして
こっそりと
欠伸を噛み殺している
日常は日常のまま
大切なのは
新しいものではなく
古くならないもの


自由詩 醜いジュリア Copyright Tsu-Yo 2007-12-20 20:32:24
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