三角方眼定規で
下くちびるを切った
風が薫って
夏草が
指から
ほどけていった

立体裁断で
ドレスを裁つ
いつだって
晒されぬままの布に
踊り
今はおそらく
泣いている
 ....
{引用=
「おはよう、
せっせとお弁当箱に昼食を詰める
この世界のなんらかに収まりなさいと
話しかけてくる忙しげな背中
通学路に捨てられた雑誌には
艶びかりする牡牛の角と蛙の屍
女の子の ....
         



経糸の波が島に打ち寄せ
砕けた珊瑚の欠片が筬の羽の隙間を通る  
浜は白く織り上げられ
降っては降りてくる日射に
転がる岩岩は奪われた影を慕っていたが
素足 ....
あなたのくちびるから海がこぼれる
塩からい水が胸を濡らすから
わたしは溺れないように息をする
そっと息をする


空の高みが恋しいと指先をのばし
両手を広げてみるけれど
あなたの海が追 ....
「ぐちょくなんだ?」

親友が わたしのことをそう呼ぶのが
“愚直”の意味さえ知らない私でも
ムカッとできる力を含んでいて、

『愚直だね』
(って言えるあなたは逆に言えば)
「ひきょ ....
「あれから」

許してね
 あなた以外のとなりにも
 居てしまえる私になって



「願い」

その本心
その体温とその肌で
 虜にさせて
この未来ごと
 その身を削いでゆく
 どこまでも
 いつまでも
 と、いうわけにはいかないのだ
 だれであっても
 どんなひとであっても

 あげくの果て
 使いものにならなくなった
 ....
夕立に西日がさす
顕れた私の表皮のように

小さな個室にて
スチールと硝子の板が
点と点で結ばれてゆくのを聴いている
白いシャツの青年が
自転車で脇をゆく
ずぶ濡れの帰り道には
明日 ....
深夜の台所で 
小皿にのった梅が 
まあるく佇み 
影を、伸ばしている 

些細なことで取り乱す 
僕とは違い 
微動だに、せず 

のっぺらぼうの顔で 
ただ、そこに。 

 ....
硝子細工の愛情を 
まわたに{ルビ包=くる}んで、置いておく。 
窓から射す日に 
自ずと、光り出すように 
哀しみが繁殖する
人間なんて誰もがひとりよがり

この哀しみを持つ生き物を
強く強く抱きとめていてよ
どんなに遠くにいても心が還る場所が
私にはあるんだって思わせていて

繁殖を続ける ....
{引用=
旅群の影に腰掛けて
静かにナツメを噛んでいた
夜露に濡れた
クサカゲロウの卵塊が
孵化した途端
光に溶けて

満ち欠ける月が映る
瞳を抉り出し
過去を刻んだ証人として
 ....
隣に人間が寝ていて、息が湿っている
肌は暖かく、やはり湿っている
いったいどんな物語が、僕たちを語るのだろう
ページをめくり、終わりの行を先読みしたい衝動に駆られる
それは終わりを予告している ....
{引用=頂点はさらに、高さを増す。塔の上に塔を
重ね、そのようにして時代はいつも、賑や
かに葬られていく。足元には、無数のメタ
セコイアが植えられ、手をのばして、空を
仰いでいる。道は、休むこ ....
             考える 考える
             君のことを考える
             君について考える

             油断していた
          ....
明るい空から
さわさわと緑の雨が降るから
おまえの誕生日は
いつも濡れている

水色の
ローラーブレード
畳の上で
肘あてや膝あての
具合を確かめている
それは
おまえを守るため ....
握りこぶしに八割の水分
寝具に横たわり
タンクトップも脱いでしまって
タオルケットに巻かれてしまえ
コットンが素はだかを優しく撫でる
身体感覚が昇るからうつぶせを楽しんで
ひと ....
それは忽然と現れた。
スパニッシュブルーの空を突き刺してそびえ建つ、
研ぎ澄まされた円錐形のオブジェ。
傾斜角75度の強い意志が天を貫いている。
指し示す先はどこまでも高く
その先端から曖昧 ....
こんな顔をして家には帰れない気がした
ヨシミは自転車で夜を町を走っていた
お母さんをさがしてパチンコ屋さんをわたり歩いていた
カゴのなんでもバッグにケイタイがのぞいていた

目からなみだがあふれていた ....
{引用=

 またいつもの
 自転車にのって
 ぼくがむかっていた
 先とは
 どこだろう

 でも
 いまは
 どこだろうがかまわないおもいでいっぱいなのは
 はたして
 ど ....
朝の訪れるたび
切り離されたからだを思う
昨日との交信が途絶えて
寄る辺ない
なまぬるい風に
輪郭を確かめる


季節がしみこんでくるのと
季節に染み出していくのが似ている ....


車は停まり
人は進む

車は停まって
足は歩いて
手はそよいで
目は泳いで
思考は羽根をつける

時計を読み流して
ショーウィンドーを見過ごして
雑踏の中で溺れかけ ....
かつてランボオという名であった 
その喫茶店は、真昼も 
赤煉瓦の壁に、洋燈を吊るし 
仄かな灯を、ともしている 

在りし日の作家が 
夭折した友と懐かしい時を過ごした店の前で 
あ ....
ある夜、彼は夢を見た。 
無言で頭を垂らす、耶蘇は、云われた 
( 愛とは、十字架を背負うこと・・・ ) 

明け方、彼は浜辺に独り立ち 
足元に焼け焦げた、鳩の死骸を傍らに 
蛇の頭を ....
仕事に疲れた重い体を 
露天風呂に、沈めていた。 

天使みたいな女の子が 
裸のまんま駆けて来て 
けっつまづいて、膝を押えて 
半べそ、かいた 

若い父さんがやって来て 
逞し ....
うつくしい季節です
赤い花は風に千々に、
報われないとか
叶わないとか
そんな怨み言とはかかわりなく
身を任せてゆきます
昼下がり、ぼくは自ずから
人並みに戦々
立ち向 ....
夕暮れ中央道にのり込んだ
明滅するテールランプが湿度ににじんで美しい
すべての初めては心を激しく呼んでくる
生きている
くるしいし高ぶるし泣きたくて笑いたい

センテンス
台 ....
 夏が来た

  みたいだけれど

ねむいなあ
都合のいい言葉ばかりが自分の耳には残るんだ
私は好きでいてもらえてるって
生きていてもいいんだって勘違いして

人を嫌うことにエネルギーを費やすことが嫌で
出会う人みんな大好きで
嫌いだっ ....
{引用=
紙上に佇む
痩せ細った枯れ木
磨り減ったペン先がつけた
掻き傷の隙間に
深く根を張るインクの滲み
どこに行くとも
なにを残すとも
示さぬままに
埋まってしまった行の終わりの ....
プル式さんのおすすめリスト(2394)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
立体裁断- たちばな ...自由詩10*10-7-17
逆創世記- 高梁サト ...自由詩15*10-7-16
布晒- 楽恵自由詩17*10-7-16
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青春時代- Wasabi 自由詩610-7-13
短命と永遠- Wasabi 短歌310-7-13
おじさんはガンジス河のひと粒として- 石川敬大自由詩1710-7-12
水球のリズム- たちばな ...自由詩1110-7-9
梅の顔_- 服部 剛自由詩610-7-8
宝石_- 服部 剛自由詩110-7-8
バクテリア- 朽木 裕自由詩110-7-8
ルシア811- 高梁サト ...自由詩21*10-7-5
ハミング- rabbitfighte ...自由詩610-7-5
トーキョー- 望月 ゆ ...自由詩32*10-7-4
考える- 鵜飼千代 ...自由詩13*10-7-2
水色の車輪- 佐野権太自由詩21*10-7-2
肌のよる- たちばな ...自由詩18*10-6-30
renovation- 渡 ひろ ...自由詩20*10-6-29
群青のサンドウィッチ(_最終回)- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...17+10-6-27
日曜日のカエルは旅好きである- 石川敬大自由詩2810-6-27
alt- 橘あまね自由詩28+10-6-27
信号機(歩行者専用)- nonya自由詩21*10-6-26
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湯楽の里にて_- 服部 剛自由詩3+10-6-24
駅前通りの宇宙的考察- 橘あまね自由詩11+10-6-23
揺れる- たちばな ...自由詩22*10-6-23
夏至- Wasabi 俳句510-6-22
初期衝動のような、- 朽木 裕自由詩210-6-17
6月の海- 高梁サト ...自由詩22*10-6-14

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