惑星スイング・バイ
日々野いずる

惑星は遊覧する
遊ぶ湖は波紋を広げる
目の星が言葉少なくなる
星の磁場が狂う
森の前に立ち尽くす
十階であると下を覗き込む
君の名前を読むことはない
石碑に歌の跡が残る
写真を撮る
情景が浮かばないと叱られる
情景、情景だ
星を増やそうと努力する
口先からの後悔をしている
君のことが好きだった
コスモスの咲く秋をおもう
枯れた花瓶のごみを捨てる
好きな色を知らない
私は余計なことばかり話して
君の話を少しも覚えてなくて
私は君のふりをし
私は君を辿っている
コスモスを撮る
白く浮いた写真になる
星を撮って送った夜
宛先のない電話をかけた
電子に溶けてなくなっていく形
問いばかり増えて苦い
重力を受けて笑う
祝福の名前は呪い
コスモスの咲く夜を良く照らす
惑星は遊覧する


自由詩 惑星スイング・バイ Copyright 日々野いずる 2020-01-25 13:48:08
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