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 冬の石畳みの
 陽だまりを愛しながら
 時計の針で刻めない
 とおい未来から届く昨日を
 思い起こしてみる

 追いもしない記憶に追われもせず
 そこに立ち止まって
 年齢を重ねる自 ....
 古い白い花の蔭に
 恋の嘆きをみていたむかし
 チョコレートの銀紙を
 折り畳みながら過ごした夜

 なつかしい想い出は
 楽しく稚い愛の物語
 その震えも忘れてはいないけれど
 ....
 急な傾斜の小径をのぼり切れば
 大きな旧居の横手に広がる
 段々畑が見えてくる

 金網のフェンス越し、
 至近距離で咲いているアザミへ
 iPadのカメラを向けてみる
 うつし世の碧 ....
 
 氷鳴る
 グラスの縁に刺さっている
 大きめなカットレモン
 摘み上げて絞れば
 目にもこまやかに射しこんでくる
 濃度を増す酸っぱさ

 其処は尾道の坂の途中にある喫茶店
  ....
 西陽とたわむれる
 噴水の水の音は
 子どものようにまるくなってかけまわり
 わたしへ小さく手を振って
 「またね」
 …… 、

 鈴懸の樹が葉を落とす風に鎮もる

 涼風にのっ ....
 霧が匂う
 隠された風景の先を見ている
 霧はたえず
 その気配でただようしかなく
 歩み出れば崖っぷちに咲く野の花の細い茎を
 つかむような愛ならば

 もはや私に 
 緑なき ....
 雲よりも
 高いところの虚ろな光
 欠けた兎影に 目を凝らす
 背後で、製紙工場の正門から細い通りへ出る
 大型トラックのタイヤが路面に擦れる

 緑色の金網が張られたフェンス越しに ....
 午後の熱にうだる 
 れんが道
 口から舌を出したまま
 首をうなだれる小さな犬を抱く
 中年の女性とすれ違う

 植え込みには等間隔で咲く
 枯れ色になったミニヒマワリ
 まちは夢 ....
 衣装ケースの底に今も蔵って有る
 レトログリーンに白ドット柄の
 スカート付き水着

 もう 着れる歳でなくなってからも
 ずっと処分せずにいた
 これが一枚の写真の様だから

 眩 ....
 冷蔵庫から取り出した
 ガラス小鉢の紅茶ゼリー
 ノンシュガーのルベウスに
 ちょっと多めにのせる生クリーム

 リビングには尖った葉を上向きに茂らせる
 アンスリウムが、柘榴石のような ....
 激しく降った雨で
 低い土手の生い繁る雑木は
 いっそう緑濃くなり

 駐車場の水溜りをよけながら
 歩くスカートの裾が
 まつわりつく

 建屋の脇には短い竹林の小径
 聳り立つ ....
 日照りつけて
 前方に霞む百日紅には
 二匹のクマンバチ

 ふと足もとを
 蜻蛉のちぎれた一枚羽が
 微風に 晒される
 
 古道の低い石積みの傍、
 生い茂る樹木の根元で
  ....
 喉滑る夜半の冷茶

 温くなった保冷枕を取り替えて

 寝間へ戻れば 扇風機の寂風が、

 モザイクかかる途切れた夢の

 あなたを白い紙屑にした
 サワサワと吹く松の風
 ふと目をあげたら
 海に迫る山肌に
 薄い雪

 尽きる事のない様に見える
 波のたゆたいは
 その胎内に微生物の死骸がまっしろく
 降りつづけるのを感じてい ....
 字をかく
 筆先の弾力が
 未知の世界に突入する

 柔らかくしなりながら
 墨は、
 濃く薄く線を描く
{引用=ヴァイブレーションに充ちた 
小さな愛の告白を
嘲笑うべきではなか ....
 嵐の夜
 いく本かの北山杉が
 悲鳴もあげずに倒れた

 十四歳だった私が
 暗い峠を越えた山間地の
 北山杉は
 鋭く尖ってざわめいて
 無垢な翼を持った時代のおもいで

 嵐 ....
 畳の間、煙立つ
 半分に折ったお線香
 母へ挨拶する私を
 初夏の陽が
 ただ ゆるゆるといたわって
 夕立の雲が垂れ込めているのに
 ふりそうにない{引用=まだ降らない
まだ降らない
まだ降らない} その短いようで限りなく不穏な時
 
 夏草の背の高い奥庭
 開かれた窓に
 夕顔が、何 ....
 ひそやかに
 風 渡りすぐ音のする
 竹の飾りは夏をむかえて

 ショッピングモールで
 友人に勧められて買ったマーメイドスカート
 そのレモンイエローに、つい気持ちがはしゃいで
 揃 ....
 昔 暗い電柱の蔭に
 鮮やかな口紅を咲かせていた女と
 細くしまった腰をもった男との
 悲しい抱擁を見た時
 思わず浮かび出た詩は
 美しかったけれど

 月が厳しい弧を描く
 夏の ....
 陽のかげる時
 美しくなる人だった
 陽の輝く時は
 自分から遠くなった心を
 捜しかねているのだ

 まして雨の時など
 濡れた頬に
 昨夜のベーゼが生き生きと甦っている

  ....
{引用=たった一杯のカクテルに託した夢物語}{引用=月の流れのように見えたのは
私が酔っていたから
あなた自身の美しさを知らないあなたの
金糸雀の様な笑い声を
頭上高くに聞く}{引用=そのシル ....
{引用=ハイヒールの足許が男の鼻先を嘲笑う
  「欲しければ尾を振ってついておいで」

街の角で ふと女の姿が消えた
  「欲しければ、そこで涙をお流し」}
      ※

  天上か ....
 その子の瞳に
 歪な丸さの ヒが躍る
 画用紙の真ん中で
 赤み帯びた鮮やかなオレンジは
 吠えたける

 甘い香りも
 緑の葉蔭も
 棘のある茎も
 パレットに襲って来る溶岩 ....
 
 帰宅すると腕時計を外した私の足許にも
 転がっている ビー玉
 それらを這いつくばって拾い集める

 テーブルには星砂の砂時計
 昼も夜も
 理性という小瓶に詰めたはずの
 今日 ....
 
 よく冷えた琥珀のワイン
 オイルサーディンで作った
 新玉ねぎとトマトのサラダをつまみながら
 扇風機で乾かす洗い髪

 遅い梅雨の訪れ
 濃すぎる緑の広さ
 軽い頭痛におそわれ ....
 百合の木の茂る蔭
 煤けた石畳で
 黄緑色した小さな毛虫に
 小型のキイロスズメバチがのしかかっている

 目に飛び込んできた
 両者のカラダの彩は暗がりから浮き上がって
 もだえる毛 ....
 麦焼酎のロックに檸檬を絞れば
 金粉になって
 グラスの底に沈んでいく
 センチメンタルな別れのことば

 振りはらおうと
 あがいている姿が
 やはり
 黄色くなった泉をのぞい ....
 かつてお酒の好きな詩人が
 青い背広を着て旅に出ようと言った
 夏の来るのを待つ短い ひと時
 休日の真昼間
 私の心はスーツケース持たず旅に出る

 海もあった
 太平洋の波の音に吹 ....
 雨風鳴る夜更けのベランダ
 指先に 手櫛で抜け落ちた髪
 中身のはみ出した ぬいぐるみ
 ウイスキーの空ビン
 時を刻む音が私を苛立たせる

 そんな悲しい日々がなくなって
 代わりに ....
本田憲嵩さんのリリーさんおすすめリスト(82)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
刃物- リリー自由詩12*24-12-1
北窓- リリー自由詩9*24-11-23
秋あざみ- リリー自由詩8*24-11-4
レモンスカッシュ- リリー自由詩6*24-10-12
秋うらら- リリー自由詩10*24-10-6
Reason- リリー自由詩15*24-9-20
炎昼- リリー自由詩13*24-9-17
雪の幻- リリー自由詩6*24-8-10
波の思い出- リリー自由詩9*24-8-4
灼夏のいろ- リリー自由詩12*24-7-30
通り雨- リリー自由詩7*24-7-25
陽炎- リリー自由詩15*24-7-23
五行歌_一首「熱帯夜」- リリー自由詩11*24-7-21
朱夏のなぎさ- リリー自由詩10*24-7-15
砂の橋- リリー自由詩5*24-7-15
北山杉- リリー自由詩9*24-7-14
五行歌_一首「花琳」- リリー自由詩6*24-7-12
雲居の空- リリー自由詩12+*24-7-10
たなばた- リリー自由詩9*24-7-7
赤い髪- リリー自由詩6+*24-7-5
或る女- リリー自由詩15*24-6-30
モヒート- リリー自由詩12*24-6-24
氷紋[改訂]- リリー自由詩9*24-6-23
影法師はどこへ行った- リリー自由詩7*24-6-22
きらきらひかる- リリー自由詩6*24-6-20
潮汐- リリー自由詩9*24-6-19
朝の月【改訂】- リリー自由詩10*24-6-15
檸檬- リリー自由詩4*24-6-13
パセリ- リリー自由詩11*24-6-8
冷たいブルー- リリー自由詩6*24-6-4

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