アパートの一室に
紳士が帰宅する
革靴を投げ捨てると
ガポッと悲しい音がして
玄関に落下する
男は風呂場の蛇口を捻る
じょぼじょぼと
悲しみがあふれ出し
すぐに浴槽はいっぱいに
そこ ...
届かなかった気持ち博物館
薄暗い廊下を歩いたつきあたり
そこだけ妙に明るい受付で
2、3質問を受ける
ポケットの中の黒くて悲しい物を渡したら
重そうでやけに軽いドアを開けて
誰もいないリビ ...
絵本をかくひとの
胸のなかで
小さな女の子と男の子が
住んでいるとおもう

絵本をよんだひとの胸のなかでも
小さな女の子と男の子がうまれてゆくんだとおもう

そして
そのひとがしんで ...
景色が連続して色々になる
意識のある限り続いている
もう見たくないのに寂鬱に目を見開いて
匂いを嗅いでいる
花の匂いに満ちている
警戒区域に広がるかぐわしい匂い

きっと
耐えきれない ...
夏でも冬でも昼飯はこれが良い
薬味ネギに
わさびを効かせた付け汁で泳がせ
一気にすすり込む

長く伸びたまま食道を抜けることなど
所詮無理な話 かたまって
食道の途中で速度を緩めた
...
三万年という
長い永い
道の歴史に

至大の古に

累およぼして

端厳な尊容の像より
悲泣の声が
きこえるようで

人界に
何を望み
伝えたいのだろうか

せいぜい生 ...
飛ぶ鳥たちは割れた――白い地面に祭りの名残は薄く、
国境にはつがいの宝石が立ち並ぶ、小さな戦士は今日も生を一つ諦めた、
葡萄酒が注がれる橋で君は待っていた――

長く不在だった国で ...
チェルノブイリの廃屋を棲み家としているウサギコウモリは
汚染された虫を食べ続けたため
今日もキラキラと放射線をはなって飛んでいく
立ち入り禁止区域の放置された井戸から自然のサイクルは断ち ...
春の野が眩しい訳をおしえてあげようと

詩人がわたしを野に手招く5月

青い空 白い風 豊かな瞳のような草花

春を思うがまま口ずさむわたしに、詩人はウインクひとつくれて、一 ...
左に行こうか
右に行こうか
ど真ん中
道を自ら引く力もなし
そのうち着くさ地球は丸いし
ありきたりな言葉
いつか二人で道に迷った時
友が最高の笑顔でおっしゃった
平凡な僕には右が似合う ...
君と「りちゃ」。ってるなんて空

を見ながら呟く、夢

夜、ーーーの事

昼間の事?

それともあの事?

心、ココロ?

『聖蹟桜ヶ丘』で

あの日、君は黄昏れていた
...
だれも私をほめてくれない
君は言うけど

生きていてくれてありがとう
そう思う

伝えればいいのかもしれない
でも
言えそうにないから
部屋を出られずにいる
魚介類が苦手だ
何故なら
アレルギーがあるからだ

そんな俺を横目に
おまえはウニ、イクラ、ウニ、ウニ
の無限ループを繰り返している

カッパ巻き、玉子、納豆巻きの
無限ループの俺は ...



えぇ、ご指摘の通り、これはシベリアンステップの凍土に眠る名もなき独逸の冒険家が手首に巻いていたスカァフです。それはさておき私の話をまずお聞きなさい。





一小節、まだ ...
私を耕しに渋谷へ行ったサヴァイヴィングな人生を観にフィルムは溶けてなくなるようなことはなかったからホッとしたけれどまるで自分の書いたもののなかにいるみたいでハッとしたなんてなんともおこがましすぎて穴が ... 最後を上手く
締めようとすると
それがモロ分かりで
興醒めだから
絶対に締めらしい締めでは
終わらせないぞと
意気込んだものの
ただただ
家の玄関を出たら 右へ
春なら 左向かいの医院は花盛り
秋なら 正面遠くにお寺の紅葉
雨さえ降らなければ 毎日の日課


石段を昇って 神社にお参りして
参道のパン屋で パンを買う
...
傘のない者に傘を配り歩く妻の心に降り止まぬ雨 清水の舞台から飛ぶ素人を冷ややかに見る玄人の僕 アメリカはウルトラクイズで行くつもりまたは泳いで行こうと思う 逢魔ヶ時に{ルビ刺殺=さ}された少女
湿った音
ぬかるんだ感触
流れた血潮は初々しき赤
それは束の間の事件

気持ちの悪い風が吹き
蜩だけが啼いていた
忘れ去られてしまうだろう
それ ...
ふるさとに
おきゃんの香する
おもかげありて



おとさんが

「めんこい花だ」

といいました



きこえた声は

「いちばんを
心をこめて
うたいましたし
...
きこえますか、息をしているの


あめがおちていく
あめがおちていく
あめがおちていく
あめがおちていく


きこえませんね



くちづけをといて
ひとつぶ
あなたと距 ...
白い季(とき)の帳は
突然目の前に現れ
薄いスクリーントーンのように
視界を屈折させる

肌に訪れる
乾燥の刺激と
氷点下の憂鬱
眩い雪原の幻惑は
うなだれた首元に
重くのし掛かる ...
アミマは十三歳の少女
人口百人足らずの
山奥の村に住んでいる
学校には行かず
というか学校はなく
日中は家の仕事を手伝ったり
弟や妹の面倒を見て過ごす
楽しみといえば
時折ラマの背に乗 ...
幾ら 鯉が 飛び跳ねようとも
龍には 見えないと
君は 笑う

あっけらかんとした 無表情な音声が
周囲に響いて
飛沫と 化す

お前はカスだ なんて
言われている ようだ
...
グアテマラ

無漂白フィルターの中に入れた
二人分の茶色い粉に
静かに熱湯を回しかける朝
柔らかくふくらむそれらから
好ましい香りが立ち上る
何秒かのち
珈琲がカップに透過していく
...
 今日の私の幸福は、朝早く目覚めること。昇る太陽を感じることに感謝する。

 
 今日の私の幸福は、朝御飯を食べること。食べることが出来ることに感謝する。

 今日の私の幸福は、野鳥 ...
 私は成熟を渇望していた。若者特有の傲慢な自己中心性の檻から早く脱したくて、自らを華麗に相対化してしまいたかった。だが、いくら焦っても成熟するのは気分だけで、一向に本体が成熟しなかった。いくら ...  ラムネのガラス球に己の姿を投影する。
 それは映るか映らないかの刹那の希望であった。
 希望は行為である。
 ガラス球には変形した己の色が映し出されているのみであった。

 私はその色 ...
日付順文書リスト
タイトル投稿者カテゴリPoint日付
悲しみ紳士やまうちあつ...自由詩2*15/3/10 12:34
やわらくて、むちゃくちゃにかなしい、ぼうりょくてきな、ミュー ...竜門勇気自由詩115/3/10 12:07
子宝朧月自由詩815/3/10 10:09
ごみだから捨てて這 いずる自由詩215/3/10 8:54
年を取るとはこういうことかーざるそばーイナエ自由詩15*15/3/10 8:50
福島のあけぼの〜その瞳をみていたら〜より黒木アン自由詩0*15/3/10 8:06
葉leaf自由詩115/3/10 4:57
あしあと月形半分子自由詩4*15/3/10 3:29
クローバー自由詩5*15/3/10 3:16
選んで歩こう秋也自由詩115/3/10 1:47
ーーー"私"ーーーyamada...自由詩0*15/3/10 0:22
ふたりだけの部屋朧月自由詩115/3/10 0:07
ハードボイルド・スタンリー「すし」花形新次自由詩015/3/9 23:56
群像飯沼ふるい自由詩5*15/3/9 23:48
マイガーデナー/即興ゴルコンダ(仮)投稿.19こうだたけみ自由詩3*15/3/9 23:24
締めくくり花形新次自由詩015/3/9 23:13
散歩藤原絵理子自由詩415/3/9 22:48
傘のない者に傘を配り歩く妻の心に降り止まぬ雨北大路京介短歌215/3/9 20:10
清水の舞台から飛ぶ素人を冷ややかに見る玄人の僕短歌315/3/9 20:09
アメリカはウルトラクイズで行くつもりまたは泳いで行こうと思う短歌015/3/9 20:09
スラッシュ・ガール捨我自由詩015/3/9 20:07
大川小学校(石巻市)〜その瞳をみていたら〜より黒木アン自由詩8*15/3/9 20:03
くちびるはつめたくなっていく吐水とり自由詩215/3/9 17:46
晩秋から……とある蛙自由詩7*15/3/9 13:54
神様やまうちあつ...自由詩4*15/3/9 12:06
飛龍館藤鈴呼自由詩2*15/3/9 11:26
世界のどこかに存在しているあなたへそらの珊瑚自由詩14*15/3/9 11:05
今日の私の幸福はヒヤシンス自由詩6*15/3/9 4:06
フレーム葉leaf自由詩115/3/9 3:57
遠吠えヒヤシンス自由詩10*15/3/9 2:09

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加筆訂正:
あしあと/月形半分子[15/3/10 3:58]
訂正しました。
4.35sec.