恋=魂の邂逅
愛=魂の融合
なーんて、
書いてた時代もあったっけ
お師匠さんは、
恋=奪う
愛=与える
と、相変わらず見事な回答
ほしい、ほしい、が恋ならば
どうぞ、どう ....
書いては消して
消しては書いて
気分があるはずなのに
言葉は出てこない
絞り出して書いたものは
嘘じみていて
嘘を書くのはいいけれど
詩としての嘘は何か違う
コンクリートとアスファルトの
硬直し冷え切った空気を掻き分け
人混みの喧騒の渦中に呑まれ
肉の花弁が押し開く
様々な異臭を嗅ぎながら
まるく濡れそぼった私の魂、
身を振り絞り振り払い
外 ....
ひとつひとつ殺された宝ものを選り分ける作業のような食事の時間。味覚の鈍麻化が進んで好き放題に残している。死んだやつらを前にして美味しいなんて食事中にとてもいえない。だから誰もぼくの席に来ちゃ ....
建ち並ぶ商業施設の脇を流れる
堂の川
吹きつける風で
こまかい波紋がわずかな灯りを掬って沈み
並木の枯枝にとりのこされた
烏のひと鳴き
さっき山の端に消えてしまった ....
まのぬけた青空が
街にかぶさっている
ニュースは底抜けにあかるく
うすっぺらいコーヒーをのむ
燃え尽きたかに見える炎がベッドのなかでもう一度あがろうとしている
夢殻を つまんで捨てる ....
貴方の吐息を犬歯で砕き 花の獣となる宵は
アンクレットに月を灯して 万の菫で鎖骨を飾る
指の戯れにはじける真珠 蜜の濃度の闇にひたされ
のばす{ルビ腕=かいな}がとらえたものは 原初の苑で失 ....
あなた好みの美貌
あなた好みの肢体
あなた好みの声
淑女に見えて淫靡な、あなた好みの性癖
魔は何もかもが
あなた好みです
魔はそういう方を選ぶのです
にっこり笑えば
花の笑み
....
締め付けんばかりの痛みが頭のなかを奔り抜け
途切れ途切れに聞こえる
微かな君が代の旋律
振り払おうと顔をしかめ
やっと頭の外へと追い払う
痛みはさらに増して脳味噌ごと圧迫するようだ
い ....
○「小銭持ち」
僕は小銭持ちである
一円玉五円玉十円玉五十円玉が
たまってたまってしょうがない
今は木の箱に入れている
なぜたまってしまうかははっきりしている
それは小銭を使わないからであ ....
何でも無い時間の中で
時々僕は 二十年前にいた会社のことを
布団の暗がりの
上野駅の喧騒に
時の流れは早すぎた
そして なぜか 今 時は
時であったことを忘れさせた
だから 自分 ....
私は、あなたに幸せでいてほしい
暖かなご飯を食べ
よく眠り
まずは健康になってください
喜びのない世界など
ありようがないのです
誰かが言っていました
「私は息をすることさえ嬉し ....
カメレオンの眼は
薔薇に似ていなかったかと思い
検索してみたがどちらかというと巻貝
今し方 ハヤシライスを食い
煙草をすい 部屋の暗いあたり
眺め
ほつれそうな体 仮初の ....
あなたは
ふらっとどこかへいってしまったから
またふらっと
こちらへやってくるだろう
ここに ぼくがいて
ここに あなたがいる
それ以上の意味はない
あなたとぼくは グラタンを食べる
あなたとぼくは お昼寝をする
それ以上の意味はない
あなたは 水色が好きらしい
....
やわらかなものの外側にいると
汚したり壊したりしてしまう
やわらかなものの内側にいきたい
胎児みたいに包まれて護られたい
望む場所に行くには
何をどうすればいいのか
その術を考える ....
今朝はとても冷えるから
立ち食いそば屋に立ち寄って
月見でもしながら喰い温ったまり
そろそろ そろそろと出掛けるか
(お婆さんの雨傘が
眼前でとても低く揺れて居る
顔は傾き僅かに覗き ....
実としずくは出会い
抱擁し
いま互いを手放した
実は朱く燃え
しずくは銀光を放ち
確かに交じり合い
なにかを残し
なにもかも忘れ
雨はみぞれに変わり
鼻孔に冬が立つ
も ....
間違って、鳥の巣のなかで目を覚ますこともあった。間違って? あなたが間違うことはない。Ghost、あなたは間違わない。転位につぐ転位。さまざまな時間と場所と出来事のあいだを。結合につぐ結合。さまざ ....
夕陽を見ると嬉しくなる。ビルの四階の窓から同じ方向に向かってゆくカラス。気持ちいいくらい可愛らしいなおまえら。豆粒よりも小さくなって帰れる場所に帰ってゆくのだ。
甘納豆ってしょんぼり ....
天の理に、救いを求める人々へ
天の理に、救いを求める人々へ
許されるべき者なく 許されるべき者なく
許される者、ありん
天の理に、救いを求める人々へ
天の理に、救いを求める人々へ
愛さ ....
空はなぜ青いのか
永遠の疑問だった
太陽光線の波長の違いといっても
なぜ青いのかの答えにならない
問題の設定が悪かったのだ
永遠の疑問が空なのだ
そして
空はなぜ無限に広いのか
ひとす ....
生きものを傷める
永い夏は終り
エノコログサは緩み安堵のやわらかさで
午後の風に踊る
一本一本でありながら
一帯そのまま総体の伸びやかさで
秋空を仰ぐすがた
空は
宇宙の闇と光 ....
僕は雪にくちづけをした
白い白い大地に降り積もる雪は
僕のキスで
紅く
紅く
染まる
君は知っているのだろうか?
ココロに秘めた想い
君への郷愁
僕は寒さに震え
冷たさ ....
谷川俊太郎さんが亡くなられた
十一月十三日二十二時〇五分 老衰のため杉並区内の病院で
谷川俊太郎さんが亡くなられた
この一文はずいぶんと不思議だ
生や死を超えた感じのある方だ ....
消えそうで消えない{ルビ数多=あまた}の古傷が
今夜は特に{ルビ疼=うず}いている
闘いに明け暮れた若き日々
今宵はフラッシュバックに襲われて
モノクロ映画のような夢を観るだろ ....
ぼくは 眠れない夜に
夜風の海を たゆたう
青いくじらを 見た
白い雲さえ 追いやって
星を ごくん と飲み干して
おしゃべりな 雨音とともに
故郷を捨てて 来たらしい
月のよう ....
それは夜
さざめく宇宙の 真ん中で
おれは命の小ささに 顔をしかめる
川の流れが おれの鼓動を押し流す
風の息吹が おれの呼吸を運ぶ
草木はおれに 踏みしめられながら
おれよりも ....
ユキノシタが食べれると知って
そわそわする
4年ほど前、「傾き者になりたい」と言っていた彼
その数ヶ月、後彼は舞台の上で赤い派手な着物を着て
見事、傾き者になってみせた
見る者を魅了させる
粋で艶やかな立ち姿
それから、月日は経ち ....
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