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生身のひとが
都市に残っている噂とは逆に
鉄路を踏んでゆくと
霊とすれ違った
稀にたたずむ
かつてのひとの家宅は
いま わたしの背丈を遥かに超える蔓草が
幾世紀の愛憎を晴らすように
....
五月の風に若葉が揺れて
透明な渓谷が呼んでいる
虹色と真珠の魚を求めて
静かな胸の鼓動が高鳴り
ニンフが舞う水面を想う
ディランが何やら小難しい歌を喚き続けているのでハイウェイの方に近付くのは辞めにした、そもそも騒々しい場所はもとから好きじゃないし、道もあれこれと入り組んでいる上に一方通行も多くて面倒臭いことばかり ....
もうすぐ花火がはじまるぞ、と
キミが誘うから
ボクは藻の家から出た
どんよりした空を見上げる
まもなく雨粒が落ちてきて
はじけて円を描いて消えた
ひとつ、ふたつ、みっつ、
数えられたのは ....
カーネーション、
強がりながらそれとなく強請っているあなたに、
かたくなに、
買って渡すことをしなかった、
一〇才のしょうねんの、
三十五年もの歳月が経過したあとにようやく為し遂げた、
母 ....
幸せかい?
(ヘミングウェイ『エデンの園』第二部・7、沼澤洽治訳)
彼はなにげなくたずねた。
(サキ『七番目の若鶏』中村能三訳)
あと十分ある。
(アイザック・アシモフ『銀河帝国 ....
○「十界」
人間は自分が最高の生き物だ
という思い上がりがある
地獄 餓鬼 畜生 修羅 人 天人 声聞 縁覚 菩薩 如来
われわれはまだ中間点なのだ
○「交通事故」
ハンドルを握るとい ....
ちいさな猫
(可愛い)
可愛がられるための
もふもふの
器のような猫
ひとさし指で
そっとひたいを撫でて
そのいのちの繊細さに
すこしゆびさきが震えた
....
生まれた事が嫌だった
父はギャンブル狂で
女にもだらしなかった
雨漏りと床が抜けたあばら家に住み
幼稚園にも行けず
ろくに食べることもできなくて
何時も腹を空かせていた
学校では給食費も ....
水いっぱいはった洗面器に
色とりどりのおはじきを沈める
ぽちゃり 違う
ぽちゃり もっとやわらかく
水は硝子がらしくゆがんだ環
山の懐にしまわれている
囚われたつばさの自在を浮かべる
....
晴天の空に爆撃の幻を見た、川に架かる大橋の上で…川面は誘爆のようにあちこちで煌めき、目覚めたばかりの俺の網膜を何度も刺した、西からの強い風が身体を煽り、まるで何かに急かされてでもいるように向こう岸 ....
宇宙の果てまで 鴉を追って
君と白夜を みてみたい
白んだ街に ひとけもないし
静かにしても 目立つキス
わたしがあなたを 初めて弾いた
午前3時の 紅布団
軽めに漏 ....
漆黒の夜に紛れて
琥珀の水を飲みほし
酔いにまかせては
星めぐりの歌をくちずさみ
幼い頃の純潔を想い出す
☆
プレアデス星団に憧れて
透明な ....
ノクターンの聞こえるボロいアパートの窓から
おしゃもじを振って彼を見送る彼女は
朝ご飯を作っている時にはいつまでもここにいるつもりだった
ひとりの昼ご飯にパスタをゆでている時に
ふと思いつ ....
チューブから絞り出されるのは 炎
いくつもの炎がのったパレットから
その人は筆に炎をとり 絵を描く
パレットはいくつもの炎をのせながら
焦げることもない
筆もまた
炎をのせられたキャン ....
「時間」のGと「重力」のG
地球環境が陶冶すると解るのに
同じGだと言うことが
黒曜の空のもと
琥珀の水に彷徨いながら
美しいと思った数式を描いてみた
いくら計算しても解らない数字
陰陽の間に居座る零の秘密に戸惑う
在るようで無く
無いようで在る
摩訶不思議な仮定が ....
きみのまる顔、
ひとつの、
お団子、
笑うと、
目が、細くなる、
とーっても、
甘そうな、
雪しろの、
お団子、
鼾がやたら五月蠅くて
ふと目が覚めたが、
身体はまだ眠っていた
どうやら幽体離脱したようだ
真夜中の瓦屋根はよく冷えていた
窓から自分の鼾が聞こえる
空をボクの同類たちが飛んでいた
....
詩人なんてもんはだな
泣きたいことも美しく
疾しいことも美しく
切ないことも美しく
嵐のことも美しく
死にたいことも美しく
生きる辛さも美しく
汚ないことも美しく
えが ....
君が亡くなって一周忌が来る
突然の死だった
食道ガン肺ガンなどさまざまな病気を
乗り切ってきた君だったのに
急に亡くなるなんて
今でもうそのようだ
中学時代からの親友だった
何でも真っ先 ....
ぼくはカタツムリ
大きな荷物を背負って
ゆるゆると紫陽花の葉を
あてどなく彷徨う
願わくば海に帰りたい
なないろの
星々が
にぎやかな声をあげて
キラキラしてる
だれの声もみんな
楽しげな色をしている
なにかに向かって
ゆっくりと
終わりかけている
どこにも
....
生まれてしまった悲しみは
届かぬ虹の黄金郷
車を飛ばして追いかけて
触れることさえできなくて
やがては闇に逃れゆく
あり得ない夢は捨ててしまおう
この世に生まれた歓びは
見えない糸で ....
からだが重力のように重い、
GW明けの初日の勤務(火曜日)、に、
夜型になりかけた、鈍い体内時計を引きずるように、
その朝の空はナマリ色にくもり、冷たい灰色の雨がきわめて憂鬱に降りしきる、
そ ....
○「プーチンショック」
結局武力なのか!?
○「グローバル世界」
世界全体が幸福にならなければ
日本の幸福はありえない
○「産めよ殖やせよ」
どこかで聞いた言葉だ
いくら手当てを ....
歩いて、北へ
指ぜんぶ開いて 靴と歌おう
古い道 塗り替えられもせず
重ねられた ペンキ文字なぞるように
歩いて、北へ
ひと足ごとに 風向きが変わる
風は現われ 時々 私を透明にする
....
○「情報社会」
肝腎の自分のことは忘れて
世界の情報に一喜一憂している
いくら世界中から
さまざまな情報が入ってきても
自分はどうするか
どう考えどう生きていくかは
自分で決めなければな ....
甘い甘い部屋の中。
遠い遠い、森の外れで、石鹸水のような
雨を浴びていたこと。
今はただ黒いキーボードをタイピングする
指先以外何にも感じない。
静かな静かな、まるで沈黙のような声を聴く ....
ネオンの滲む街角で
ウオッカを飲み干し
潰れた夜
ぼくは路上の水溜まりで朝を迎えた
ネットの噂では
きみはいまでもピアノを弾いているらしい
解ろうとして解らなかったあの日
手 ....
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