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短詩が感覚的に合う。一切の説明は不要。そこにある存在を描写し配置することで無を表現できる。もともとそういうふうに存在を見ているのだから。読者の思い込みに付き合う気はないが、思い込みの底に届 ....
1899年4月19日の深夜
オーストリアのブラウナウの街で
税関上級事務官であった
アロイスとクララの間に妊った子が急に産気づいた
アロイスは即座に掛かり付けの医者の元に電話を掛け
医者 ....
たくさんの・かれた・ちょうが・おうだんほどうを・わたってゆく・
ように・みえる。
あすふぁるとにひかれた・しろいせんのうえに・とまった・と想ったら
すぐに・また・いちどきにとびたってゆく。
....
121028
唐黍を蒸す
蒸す蒸す
蒸してから喰らう
食うとは異なる表現でかっ喰らう
腹がふくれるまで喰らう
麹町まで出かけていって喰らう
....
夜は欠けた茶碗に満ちた、俺は糞虫の死骸を拾って食い、その茶碗に茶を注いで飲み干した、雨が小賢しく降り、風が騒々しいこの日はまるで、二匹の蛇がいつ果てるともしれないまぐわいをしているみた ....
なぜきみはぼくに逢いにきてくれないんだ
これほどにきみと逢うことを望むぼくにだ
でもきみは遠い日にぼくに手を差し伸べた
ぼくはきみのその手を掴もうとしたときに
きみは邪険にぼくの手を振 ....
アクウシェ、アクウシェ
そらをよぶ鳥の
悲鳴、だけが
つぎつぎと巣立ち、
のこされた
しろい尾羽根は
ながされた血に倣って
たかい、たかい、
高層ビルの屋上から
飛 ....
なぜなんだろう
なんて答えのない
それぞれのひとのすることに
一喜一憂する自分もまた不思議
納得いかない
なんて当たり前なこと
秋の実またひとつおちた
身の程知らぬ柿は
まだ足 ....
夜ふけの町を
自転車で走っていると
住宅の庭から
金木犀がほんのりと漂ってくる
ああ 甘くてよい香り
若い頃 東京に住んでいた
渋谷 荻窪 吉祥寺が大好きだった
私は男と漫画を描い ....
ときどき
形容する言葉ひとつ
思いつかない
落ち込む
ただ 落ち込む
慌しさの空白に
ふと気がついたとき
落ち込む
とことん 落ち込む
どんどん ....
月満ちて
生まれることなく
消された 小さな命
誕生を望まれず
悲しむ人もなく
花を手向けたくとも
この子に 墓はありません
母の胸に
抱かれることなく
消された ....
タマンキは売春宿を焼け出された弟子たちと
カナリヴァのほど近くにある
ヌレヌーレ山に登り明朝の日の出に
彼らの最後の迷いをペミンテしようとお考えになられた
ヌレヌーレ山は草木一本生えぬはげ山だ ....
眠れない夜が
あるよね
あなたを
もとめている
ふざけていないの
眠れない夜がある
明日に
疲れたよ
って
ソファーに
ストンと座る
ぐてーっと
もたれかかって
90度回転
コロンとすると
美味しいご飯を
作っ ....
殴打する中空に指を二本立てたら銀河の果てまですべてはピースだから、水中眼鏡かけて、太陽の目を潰して、苦くて冷めきったブラックコーヒーで夜を水没させる肉体労働をしようよ。喫水線がシンデレラの膝下にとど ....
病気になろうと
ひとに見向きもされなくても
酸性雨に降られても
誰かに傷つけられようと
セシウムを撒かれても
ひとびとに伐採されようと
木はただ木だ
文句 ....
やさぐれた町に、カップ酒の男がひとり
あまりにしっくりしていて、存在すらわからない
そのポケットに色あせた息子の写真があるなんて誰も知らないし、興味もないことだ
定型というか
規則性というか
常識、
節度と言ったっていいかもしれない、
生き方っていうのは
どうしたってある程度の
種類というのか
区分というのか
そ ....
凍てついた冬の坂道を
転がるように落ちていく
石ころみたいな
わたしのプライド
何が正しくて 何が間違いなのか
誰も教えてくれない
答えはクロスワードクイズ
空白のマス目を
自分で ....
海に似せた塩水の中で
アサリが生きている
暗い冷蔵庫の中で
触手を伸ばし
冬の海だと勘違いする
時々さみしくなって
ステンレスボウルの海底で
誰かを探してキュウと鳴く
わた ....
聴いた事のない曲が林檎畑に流れる
トロンボーンを演奏する甥の次の音楽会での曲
雨空だったので雨合羽を着て
林檎の まだ青い部分が日にあたるようにずらし
脚立にのぼって 葉をかきわけつつ
かた ....
マザーファックしてやったんだ。
舌に穴あけ硬い棒を突っ込んで
マザーファックしてやったんだ。
僕のちんこと母のまんこじゃ無理っぽいから
僕の舌とステンレスの棒で
マザーファックしてやった ....
ふと泣きたくなるときがあるんだ
べつになにかに屈服した訣ではなく
べつになにかに敗北した訣ではなく
べつに淋しさを憶えた訣すらでなく
ふと泣きたくなることがあるんだ
ほんとうに動 ....
一、
顕微鏡を抱えて
潜り込んだ湯船に
わたしたちの空が眠っている
あぶくを
覗こう
口から吐いたあぶくを
捕らえて
なにが詰まっているか
知りたい
ふ、ゆ、と言ったらふゆが満 ....
楽天的であるのと
能天気であるのは
紙一重に過ぎない
お前はついに来なかった
その足音をどこかに葬り去ったままで
俺が自分の嘘を屠殺するこの広場まで
稲は刈られ 柿は熟し
だがお前は来なかった
来なかったという銀河を巻き
来なかったという未来 ....
ロイヤル・ブルーの空に
白い布団が敷いてある
私に無縁で遠い
トレッキング・ストックを
アスファルト・コンクリートに
突けば似つかわしく無い反発
私に縁のある衝撃か ....
真夜中に破水する
完結しなかった気分
ディスプレイの明かりだけが
生き残った部屋の中で、ああ…
生活の残像
こびりついた窓
送信済みのメールと
届かなか ....
会社を辞めて、笑っていた。懐かしんでいた…。昔を
詩を書くことが
赤信号は渡るな
人は殺すな
お茶は濁せ
とりあえず笑っとけ
そんな下品な想念に
汚されてたまるか
なんと言われても
詩人の我執
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