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盗人のような夕日が、薄曇りの空に紛れてゆっくりと沈んだので、俺はまるで破産した大金持ちのような気分で遮光カーテンを閉じた、喰い過ぎた晩飯がウェイトになって胃袋に伸し掛かる、だからイヤホンを突っ込ん ....
開いた口が塞がらない
鳶に油揚さらわれて
いちまい足りない
よつやかいだん
裏のめしやは
まぼろしの
あけない
ころな
お冠
ワ
とか
絆とか
おひとり
サマーには
....
根拠の雉鳩色は空の濁りである。蓋し、悲しみはわたしの本日なのだ。
屋台が引き寄せる天命の片隅で、ホットドッグは寂寞の内的公園であると同時に、云うまでもないが、珈琲のアナロジーは肉片を ....
菜の花を食べて
咳きこんだ
あの日の熱は
そのあたりに置いてある
曇り硝子
ロー・テーブル
けれども 一体どこなのだろう
ぼくはきみを見たことがある
....
果てしない空にいる
姿なきしゃにむに
あるときは
つまづいて転がっていく石ころ
あるときは
風が止まったやにわに交わすキス
ときどき現れては
影だけを残して
もとからいなか ....
鈴は沈む 大気の蜜へ
黙したものの{ルビ自重=じじゅう}により
若葉に光の飛沫
木漏れ日の揺り籠に落下する蜂
五月の河畔を夢がさまよう
ポケットの中に全てを失くしている ....
爆発した車輪を
くつわむしに食べさせる
ポケットには小さな輪ゴムがあるので
わたくしはそれを頂く
合掌と共に山茶花の歌
ちくびが取れた時のまなざし
斜陽と夕暮れの木漏れ日
今あな ....
踊れ
踊れ
誰も皆{ルビ仮面=マスク}をつけて
踊れ
踊れ
とめどなく流体化する世界の中で
踊れ
踊れ
どのリズムで
どのメロディーで
それは好きに選べばいい
踊れ
....
かたちだけ人なんて
腐るくらいにいる
もしかしたら
もしかしなくても
人のたましいには
汚れきった血液と
清みきった空があるんだろ
かたちだけ人だけど
どうすればいい
....
緑の{ルビ扉口=とぐち}で世界がはじまる
アナザーバード
ありふれた季節に
誰でもない名前を探していた
初めて逢うひとのような
遠い
横顔を
朝露に濡れた
葉裏がひるがえる
....
海風にさらされた長い髪を何かを伝える為にバッサリと切り捨てたお前。
錆びついた時計が時を刻むことをやめた。
煙草の煙が塊となって宙に飛んだ。
僕は無表情で心が死んでいるようだ。
....
緩い傾斜は右へ左へと度々方向を変えながらその頂点へと続いている、俺の脳裏ではマーチング・バンドの隊列が知らない曲を演奏しながら練り歩いていた、演奏はあまりにも楽譜通りで―大病院の会計で知らない誰か ....
余談だけど 照れが育って憧れがコア 鉄、黄昏て溶けたんだよ
よだんだけど てれがそだってあこがれがこあ てつ たそがれてとけたんだよ
なんだ、可愛い若旦那
なんだ かわいいわかだんな ....
落ちていたスマホで
自撮りして
クオッカがつぶやいた
「なにこれ
僕わらってないのに
わらってるよ
こいつ」
「春の紅」
…ト、トトトトト…
春の花らが
ひさしぶりの雨に打たれ
お化粧されて
艶めいてるよ
指にとり
頬紅や口紅にできたらな
そしたら
歩くたんびに
春の香りを ....
暑い
暑いなあ
まるで真夏の暑さだ
地球が狂い始めて
オマエラ、人間のセイダロウ
そう叫んでいるかのように
路傍に屈み
タンポポの種を
ふぅと吹いて飛ばしている
子供が二人、
....
コロナ渦のなか
9月入学問題
検事長延長問題
政治家がこぞってすりかえテロ
たちよみで「ホモ・デウス」を読んでみた
それって「知は力なり」
なんだな や ....
欠けたグラスの縁から飲んで唇から途方もない血を流せばいい
解けた鎖を無茶苦茶に絡め直して永遠を誓えばいい
もう二度と手に入らないものは
どんなに蔑ろにしたって誰にも叱られない
闇雲に生えて ....
いい加減に書き散らした日記を死ぬまでつけようか
時間と空間が混乱しては想いは惑い腹も減るだろう
冷たい朝の空気が夜に萎えた神経に障るあさは
棄てられた男は塵箱のように
女を浄化できるの ....
針と糸で口を縫い付けては
自分は何も言葉を持たないのだと主張してみる
だから許してねとは言わないけれど
勝手に貴方は許して欲しがっていると断定する
痛々しいね
痛々しいよ
鬼ごっこ ....
どうしようもないことばっかりで
全部放り投げて酒飲んでパチンコがしたくて
煙を吸って吐いて
馬鹿みたいに笑って
かえるが鳴いていたよ
きっと一生懸命膨らましてるんだろうな
あれを針でつつい ....
{引用=ふりしきり
牡丹雪
ふみつぶし
雪のこと
バターや砂
小休止の記号
時計
飛び回る鳥たち
訳について
目盛りの隙間に
蜂鳥の逆巻く
海馬に一つの ....
弟よ
見失うな
一日ずつ進む
不安と愛しいこと
今日という本当のこと
向き合う意味がある
ずっとなくならないと思うことがあるだろう
強い風のなかでは息がしにくかった
心をわだかまらせた ....
色味にトチ狂って
暗がりに吐瀉物
別々の腕時計の
指し示す同じ時刻
グランギニョールのフィギュアと
バラライカのドーナツ盤
ベゼルの割れたディスプレイ
気分の乗らない売春婦
電気自 ....
降り続ける雨は永遠の化身
わたしたちは閉じ込められている
どこかで花の匂いがするけれど
確かめに行くことはできない
濁った窓の外から聞こえてくる
心を削り取る無数のノイズたち
に耳を傾 ....
あのひとはやみに閉ざされていたころの
北極星
もう去った
気配だけが
ことばにつながる みち が幾らでもあったことを
まだわたしはひとではない
ひとであったことはいちどもない
こ ....
問い質すことはしない
その背にただ頷くだけ
否定も肯定もしないことで
ぬかるみを隠し
死へ そっと後押しする
数十億の盲人が夜を編む
匂いを持つ風は翼を解くと
女のつま先をし ....
雨が降る
漆黒のタール、銀に輝かせ
雨が降る
懐かしい匂い、散布しながら
雨が降る
遠い記憶の感触、浮き上がらせ
今宵すべてすべて静まり返り
わたしは独り寝の床を整える
未知の予感 ....
花が花を追い
光が光を追う
互いが互いであることを忘れ
互いが互いをくりかえす
雨は雨
ほつれた糸
珠つなぐ音
雨と雨
何も無さをついばむ鴉
....
声と声が交わるあいだ
柔かな光が横切って
わたしは不意にいなくなる
うねる大気が木霊して
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