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気配を交わす
凪いだ水面に立ちこめる霧のような
気配を交わす
かたちあるものは
言葉にしたものは
どんなにいとおしくても
見つめつづければ
ゲ
シュ
タ
ル
ト
....
誰も帰らない家が在った
十年ぶりに男が一人帰った
その家を壊す支度に
雑草に覆われ
壁は罅割れ色褪せ
繁栄の代償に
突然選ばれた家族
怒りは擦れ違う
日々が過ぎても
これで癒 ....
{引用=その命を持ち上げた
紙風船の重さ
だった
睦月
午後3時の淡い光
風の休む
駅の
ホームの隅で
ベンチの上
眼を閉じ
空を仰ぐ
翼の両端を胸に
祈る
重ね ....
「少し、お時間をいただけませんか」
そう言って翁は腰を下ろしたまま、見上げている
なにもない時に滑り落りた砂を 固めただけのトンネルに、
置いていかれた心地で。
―― ぽたりと漏らした
....
そこにあったことなどないことを忘れそうに満ちる野花
水底にねをはる陽の匂いをそこねることなく永遠の死を生き続ける置物に
なによりもそこに似合う置き場のない静けさとして
....
君は絹ごし豆腐のファンだったね
僕は木綿のほうが好きだよ
と
話しかけると
どうして
木綿のほうが好きなの
と
君はふり向いた
コロナの時代は
何が起きる ....
暗くなる前に灯りの準備をして欲しい、悪い夢を見ないに越したことはないから、静かな音楽を流して、狂気じみた思いを鎮めて、安らかに目を閉じることが出来たらいいね、こうして話してしまうと願いというのは全 ....
「大地」
大地がぼくを落とさないでおくのは
それはやはり
大地がやさしいからだ
そうかんがえないと
「今」にいられない
「ゆきがふる」
あの子
ゆきにさわりたいから
....
僕のグレたガラホは相変わらず寡黙なのだ
やっと取り引きして得た隙間に僕は住んでいる
今日と明日が条約を結んで握手しても僕は拍手しないだろう
だってやつらの隙間の全人代という茶番を許すのだもの ....
桃の芽が膨らんでいる
蜜に満ちた大きな実になるのに三月
その前に花が咲く
あの桃色の
あの花が咲く
二〇一五年九月一日 「明日」
ドボンッて音がして、つづけて、ドボンッドボンッって音がしたので振り返ったら、さっきまでたくさんいた明日たちが、プールの水のなかにつぎつぎと滑り落ちていくのが見 ....
おとこが夜中にやってくる
そのおとこは生まれたことがないのである
いっしょにゆこう
どこへ
とおくへ
くちびるでかすかに笑っている
いそいそと身を起こして
服を着て出ていこうとすると
....
冬の檻のなか
白一色に閉じこめられて
どんどん貯まった
色彩たちのエネルギー
春の息吹が
その導火線に火をつける
フキノトウで始まった
ささやかな爆発は
淡い
新 ....
あるいはがらんどうの街に棲む
たまさかさびれた繁華街で遊ぶ
恋の歌は春の猫のように
かなしいやさしい歌だろう
愛は重すぎていつも栄養学的に
分析できないものなのでしょうね
失わ ....
極寒の世界から
春の視界を切り開く
早起きになった
暖かな陽光が
まだ固く閉じている
桜のつぼみたちに
語りかける
さあみんな
もう春だよ
今年は大雪で
ウ ....
自分を無知だと認知する
自分の知っていることは
他人ももう知っていると
錯覚する
自分は自分を知っている
他人もそれを知っている
と思い込みお話しする
当然誰も知らないので
こ ....
一年中買えて
値段も安く
飽きの来ない美味しさ
やわらかくて
歯の負担が少なく
栄養豊富な
すぐれもの
一本づつにわけてから
一本ごとにアイラップを使って
包み込 ....
昔 ベトナムを旅行した日に
戦争歴史博物館に僕は入った
様々な思いを感じさせられながら 展示された写真の数々と
そこで使われたのだと言われる兵器を僕は見ていた
僕はその事実を知ることで ....
口笛を吹きながら でも いくつ 数えたやら。
ただ、らくにいきたい
足元の泥を掻き、道標を示して、僕と飼い犬は何処までも反転する。
星と海が緩やかに準える視野ばかりが満天に開けている。
麗 ....
そうだね、
戦争があったんだ。たしかに。
私の血の中に流れる色のない祖母の声は、
終戦の真っ青な夏空をしている。
春はどうだったろう。そういえば戦争の春のことを
聞いたことがない。春 ....
二〇一五年八月一日 「恋」
恋については、それが間抜けな誤解から生じたものでも、「うつくしい誤解からはじまったのだ。」と言うべきである。
二〇一五年八月二日 「ディーズ・アイズ。 ....
人間の記憶というものは
とても不思議なものだ
記憶のふるさとを探しに
人間の体のなかへと旅にでる
(脳への旅)
おおかたの記憶は
脳にある記憶の倉庫の
無数の抽斗のなかに ....
海よりもとおい海の
浜辺には声の真空があり
水と石だけがきざまれて在る
列島の等高線をきりおとして
おんなたちは口々に
あれが星の曲率なのだとささやく
だがひとえに言ってしまえ ....
昏い暗いブルーライトを喰らう蛾侭の鱗粉は
夢想が作り出した名ばかりの怪物
ただのネオンサインに遮ぎられた殺虫灯の明かりに
いつかきっと鳥籠に召されたし
窮屈な空白は塵と誇りばかり ....
そりゃあ
ガトーショコラのほうが
おいしいでしょう
もちろん
ザッハトルテのほうが
豪華でしょう
でも
毎日食べるとなると
チョコパイさ
値段も
パーティーパックを買え ....
また怒られてしまった
しかし、忘れてしまおう
いや、忘れられるものか
悟りを開かないと出世できんのだ
出世できんと生活出来ねぇんだわ
ぼくはさんざん血を吐いておりまする
でも、解脱 ....
不運なほどになにものにもなれないで
御幸通を歩き、やがて小野浜公園にやって来る、
老人たちにまじって、
おれも炊きだしに並ぶ
それだけの救い
人身事故みたいな事実の積み ....
- Ne pas l'impromptu, déjà.
また買い占めか
我が家も性懲りのストックが一つもない
なげかわや、痛々のフィーリングなど
イラン物だ ....
春一番が
誇らしげに吹き荒れて
木枯らしはヒューヒューと
三日天下とあざ笑い
季節の戦が始まった
春一番は
冬将軍の
連戦連勝の疲れをついて
ひと暴れ
煙突の ....
希にではあるが
夜、この家に訪ねて来る者がいる
恐らく、灯りを見て
誰かがいると判断しての、訪問だろう
しかし
灯りが点いているからと云って
そこにいるのが人とは限 ....
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