すべてのおすすめ
髪の一本一本を
毛穴の一つ一つを
しわのあいだを
襞の縫い目を
歯の表を裏を
すべてを磨く ....
少女は ある年の四月からというもの バラードの中のヤマネだった
両親と同じ名ではなく ヤマネだった
冬眠のように まどろんで
春眠のような いつくしみで育てられ
ひかりが はねようが ....
僕はいつでも敗戦投手
君のこころのミットにボールを投げ続ける
変化球はいらない
走らない直球だけが僕の武器だが
九回裏観客席のざわめきが鎮まる
打席にはイチローではなく
ど ....
夕べ見た理不尽な夢を
起きぬけのコーヒーに浮かべ
スプーンでぐるぐるかきまわす
寝起きの頭はぼさぼさで
....
さかのぼる 水晶のような 水滴が
高速バスは雨の中を走ると フロントガラスの水滴が
同じスピードで のぼってゆく
静かな行列が たゆまなく のぼってゆく
そんな様子を何時間 見続けてい ....
中一のとき
はじめての週テストで三点をとった
百点満点で三点だから
まわりもびっくりして面白がって
ぼくのあだ名は<さん>になってしまった
みんな同じようなテストを受けて ....
浮かれたうたで
浮かばれたい
めまいのする
メロディーライン
とても楽しい
青い空に
浮かばれたい
僕は君を救いた ....
重箱のすみをつまむような性格なのですが、どうでしょうかって云われ、わたしは重箱のあかをおとすような性格ですって、云いかえしましたら、あなた、第七官界ですねって笑いました
わたしは恋はじめたばかり ....
歯を磨こうと鏡の前に立つと、おわりなんだね、と
喉越し用のコップはからっと笑う。白い歯磨き粉は
まだ処女のような振りしているが、ねちっこく、ま
だ始まってもいないのにさあ、と寝そべってにやに ....
生きる
乾いた空の木の枝は
去年と同じ姿をしている
彼らは信じて疑わない
この冬が
やがて春になることを
人はどうして姿かたちを変えるのだろうか
老いることは人も木も同じは ....
一枚の紙を
折りたたんでいく
半分に折れば
にぶんのいちの面積の
しかくが出来る
そこには
重なる相似形
出来上がりの形を
思い描きながら
そっと指で伸ばしていけば
ちいさなさ ....
いつかはいろんなことが上手くいき
少しはしあわせになれると
今でも信じている
現実はそう甘くなく
事態はより深刻と複雑さが絡まっているが
....
待っててくれ
いつまで?
かならず行くから
それまでもたない
からだが?
こころも
からだもこころも?
そう
そっちに行ったらどうなるの?
からだ ....
権利にゆるキャラん マスコットくっつける
ふさふさするの 指よりこだかい風に住んでて
かかせないものが重くって
踏めない道草が悪そうに笑う
染み付いてしまっても
ショルダー バック ....
あんたの「いつか」は
あたいの「いつか」ぐらい
「いつか」だよね
無精者ゆえに
手の爪は時折切っても
足の爪はしばらくほったらかしで
気づくとひと月過ぎていた
風呂あがりの軟い爪を
ぱち、ぱち、と
広げた新聞紙に、落とす。
(これを ....
箱のカバーから、背表紙を指で摘み
中身の本を取り出して
カバーは向かいの空席の、あちらに
中身の本は目線の下の、こちらに
置いてみる
いつか人が(体を脱ぐ)のは
こういうこ ....
マリアは涙を流している
階級のなみだ
金属製の胸には革命の歯車が
コチコチと廻る
フリッツラングの見たニューヨークは
セピア色の未来
摩天楼には愚かな文明がのさばって
素朴な世界 ....
僕は誰かに造られた
僕は何かを創るために生まれて来た
クリエイター
存分にRPGをかけまわるアバター
夜は長いし昼は退屈だ
たまには詩でもつくってみようか
....
いつも否定論とか肯定論が錯綜する
それって当たりまえかも
でもねいつかはいっぽんにしたいの
ありさんとはちさんだってそれぞれにがんばってる
僕達はいつ
昆虫になれるん ....
蟻は匂いのある方へ往く
一瞬、静止して
触角をぴくり震わせ
再び――無心に進む
(黒い背に小さな太陽を映して)
日常にふと佇む、僕も
蟻の心で
何かを受信しようと ....
ある人は白隠禅師の絵を観て、呟いた。
「ルオーが観たら、何と言うだろう」
河童のように禿げた頭と
あばら骨の浮き出た体で
髭ぼうぼうのお釈迦様
美術館の空間で
ひと ....
――なんの欠如を
怖れているのか
踊りたいから踊るのだ
何が悪いか阿呆ども
元来人は踊るもの
踊って歌って
笑って泣いて
怒れるものが人なのだ
鳴 ....
食卓に置かれた長方形の皿に
横たわる、くろい目の秋刀魚は
いつか世を去る
私の象徴として、この口に入る
*
日常の素朴な場面を絵に描いた
一枚の布をバケツの ....
眠りから目覚めてしばらくのあいだぼくは不安なことのない世界にいられた。
息子と公園で遊んでいちど家で仮眠をとった。
夕方のひかりがベランダから射している。布団のおもてがすこしひんやりしてい ....
痛いの痛いの飛んでゆけ
痛いの痛いの消えちまえ
ぼくまでひゅっと
ぼくまでひゅっと
痛いの痛いの飛んでゆけ
痛いの痛いの消えちまえ
悲しくなりたくないだけなら
....
それは
誰もが一目で好きになる
うさぎの耳のように長い
ハートの形の花びらをもつ
白いレースのような花
どんな花にも素直に寄り添い
本人さえまだ気づかない
相手の愛らしさを引き出し
....
夕飯に缶詰をあける
100均の鯖缶だ
閉め切った部屋に
さかなの匂いが充満する
ろうそくの灯りの中
....
まるで山間をながれゆく
せせらぎのような人でした
からだは一滴の雨粒で成っており
どこまでも沁み入 ....
(ペチカ)
あかあかと燃える薪の火に
揺りかごみたいな椅子にもたれて
(ペチカ)
この一冊の本を読み終えるまで
※
ゆらゆらと燃える薪の火が
まるできれいな夕焼 ....
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