すべてのおすすめ
いくつもの交差点を越えて
道はまだ続いている
緩やかに弧を描くカーブの先に
終わりはまだ見えない
進んで 止まって 曲がって 進んで
約束事を守って運転していても
右折してきた ....
慕情とか
郷愁とか
そんな古めかしい語句を
あてはめてみたくなる
吊り革につかまってみていた
車窓の風景
たくさんの人々の日常が
幾重にも重なり すれ違っているはずの
それでいて私 ....
九月十三日の朝
風のこどもたちは
キッチンの西窓の向こうで
すでに足踏みを繰り返していたとみえ
私が縦長の窓を押し開くと同時に
遠慮なんかこれっぽっちもしないで
じゃれあうように
とびこ ....
宇宙を 黙読しつづけて
何万回死んだかしれない
こむすめコスメ ポーチから
四方八方に轟く その呻き
きょうは
おとなしい おくさま風
おとなしいおくさま
おとなし ....
集会にいざなう
駆けてくる、駆けてくる
秋の並木道
娘の姿はくっきり
われらの車に乗るため
次の週も、次の週も
同じ並木道
娘は可愛ゆげに
カバン持ち駆けてくる
深海魚が太陽を見る日
光のパレットナイフが
海鳴りの弦を切断する
青い狂喜で上塗りされ
それが比喩かも忘れて
人がひとり墜ちて行く
閉ざされた貝のように
白く饒舌な泡に抱かれ
記憶 ....
校庭跡に残った桜の木
ビルに挟まれてわかりにくいが
駅の改札口を出てほどなくのところに
ふと足が向いてしまう
今はないという
桜田小学校
晴れの日の緑はすがすがしく
ベンチで
ブランコ ....
古い山荘の天井から
電球が外れたまま、黒いコードが
吊り下がっている
あそこに
寒村の夜をも照らす
ひとつの明るい電燈の
幻を視るのは
霊の世界にいるひとと ....
民主党にはいれなかったけれど
民主党が圧勝したあと
ぼくは腹を決めて民主党を応援した
自民党にはいれなかったけれど
自民党が圧勝したあと
ぼくは腹を決めて自民党を応援して ....
130909
緊急ブレーキの軋む音
大災害でも大活躍した
気の好い
エアーポンプの劣情を促す
黄緑色の青春VS赤黒の想念も
形を得て
型を得て ....
「one person, two persons, three persons」と数えてしまう人がいたら、
おしえてあげよう
「違う、one person, two people, thre ....
たぶん今頃あなたは
見知らぬ女のために
木綿豆腐を切り分け
お出汁にすべりこませる
積算書にメモ書きをしてみせた
やわらかく白い指先で
一方残業を終えたばかりのわたしは
娘のお迎 ....
引越しが落ちついて
さあどこかに食べに行こうという算段になり
歩いていける距離といえば
とんかつかフランス料理風か喫茶店かお好み焼きだった
「お好み焼きアキちゃん」は
とびきりの笑顔のふ ....
ごめんなさい
ごめんなさい
ぼくに、ごめんなさい
玄関の隅に蜘蛛の巣がある
大きな蚊の死骸が かかっている
ほうきではらい 外に掃く
小さな蜘蛛が逃げる
朝の外気が 玄関から流れ込む
蚊の死骸は やがて蟻に運ばれるだろうか
巣 ....
ありのままをみせる蟻はいないけど、わたしたちはあるがままに暮らす人だったので、ゴシック体でゴシップ斜め微笑み返しでお互いの口の中へウィスキーボンボンを放り込み、舌べらで潰しあった。薄っぺらな唇を噛んで ....
詩について論じたり
批評したりできる人たちが読むならば
詩とは呼んでもらえないような代物を
三年間で百八十くらい書き投稿してきた
それ以前にも書いてはいたが
誰にも読んでもらう機会がなかった ....
愛する人を見つけては
期待が裏切られたと
不貞腐れます
また愛する人を見つけては
また期待が裏切られたと
また不貞腐れます
でも大丈夫
いつか ....
TOKYO
小さな文字が
大写しされ
会場が
街が
歓喜で満ちる
2020
TOKYO
私たちは
皆どこかで安堵する
(そうか)
(とりあえず)
(そこまで未来は続くら ....
あかねにきらめく雲母の
ひとひら
水面に
さかさまの
稜線
今も
背伸びしている梢
憎しみだった
どこから
逆流したのか
痩せ細る
影を滲ませ
それは 確かに
....
縮む花びらを
沈め
冷えてゆく水
固まる空に
さらに羽ばたく翼を見ようと
折れ曲がる
言葉の湖に生き延びる
魚の一匹ではなく水面に辛うじて浮かぶ
枯れ葉の一枚でなく
怒涛となって
....
生命はポテンシャルであってそれがカタチに宿って
具現化したものがリアリティなのだ という文章に出会った
なんだか最初はよくわからなかったが よく読むと
生命とは潜在的なチカラであり それが体 ....
秋雨前線が
垂れ下がった
ベランダの
とある午後に
室外機が
押し黙った
ベランダの
とある挟間に
アブラゼミが
ひとつ
転がっていた
季節の掌から
垂直落下し ....
{引用=
森のほとりに
もの言わぬ田は、ただひと色
深みどり
稲穂がふかく{ルビ頭=こうべ}を垂れるのは、
やってくる収穫の
刈り殺されるものの 祈りでしょうか
....
ゼリーの丸いお家を作った
わたしが捕まえてきたあなただけ
わたしを逃がさないのではなく、
あなたは逃げられないのよ。
ゼリー
ゼリー
ゼリー ....
残暑なんてあっという間
待たされるのは春くらいなもの
きょう雨はやわらかな御手
緑深い山々のあたまを撫でている
天はやさしく言い諭す
まるで母親のように
さあ片付けを始 ....
その崖のほとりに
一輪咲いているはずの花は
どうしても一目見たくて
見ると 手折りたくなって
手折ると持ち帰りたくなり
持ち帰ると
さて どうしても
挿した花瓶から引き抜き
力任せに叩 ....
国民の7割が増税を容認しているという
この国の財政悪化だとか
欧米の高い消費税率を参考に容認しているのだろう
そんなんだから
私たちは民主党を圧勝させたり
自民党を圧勝さ ....
夜明け前の
ビルの間の木々を揺らす
薄暗い雫に濡れた窓を叩き
乗り捨てられた自転車の汚れを洗い
ゴミバケツに溜まる闇を濯ぎ
梢をふるわせ
立ちのぼる
人通りも途絶えた路地裏の ....
「誰でもない何処にもいない」
何回目の夏を送別したのかは とうに忘れてしまった
火傷するほど熱い砂を踏みながら 水平線と湧き上がる雲の先に
いかなる幻影を見出そうとしていたのか ....
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