すべてのおすすめ
なかなか膨らんでくれない風船に
飽きもせず息を吹き込み続ける
何処かに穴が開いているのを知りながら
滑稽な独り遊びを止めることが出来ない
春には妄想を咲かせて散らして
夏には傷痕を弄 ....
やわらかな夜の入口で
関節のありかを
ひとつひとつ
たしかめていく
幾度となく
繰り返してきた
解体のための
いとおしい作業
継ぎ目よ
さようなら
肉体は部品となって
ていね ....
愛やら哀や食傷小町
茄子を揉み揉む{ルビ外法=げほう}のスアシ
アブラ{ルビ帷子=かたびら}文系ソバカス
{ルビ瞬=しばた}くひゃっこの黒蜜{ルビ空=から}して
{ルビ琴=きん}やら{ルビ ....
蒸し暑い曇天にカミナリがときどき光っている
だいぶたってから音が聞こえる
町並みが湿っている
湿っている
悲しい気持ちが詰まってくる
戦争と疫病を向こう側に見ながら
....
生活という書式をたちあげる
ブラインドの隙間から
僕の一日がやってきたならば
年月という埃をまとわせ
洗濯機からまっさらな振りをしてでてくる
洗いざらしの理想
ベンジャミンフランク ....
終戦の日に69年まえを思う
69年まえのここから
69年まえのここではない場所を思う
そこにいるひとを思う
そして69年まえのひとから
69年まえのひとではない存在を思う ....
ぼくらがこの身体から発して
世界を考え感じている限り
人生にはいろんないやなことがある
それがこの世に生まれてきた証だ
でもこの身体からだけではなく
時代や文化をこえて
....
花 ふりつみて
若葉 ふり
蛍 ふりやまず
星 ふりそそぐ
みのり ふりはじめ
枯れ葉 ふりおわり ....
あなたとの戯れに疲れ
白く塗りつぶされた心
もはや何人も入り込む
隙間さえなく息を潜む
生きた屍の日暮に一つ
許されているのは悶え
押し殺す声も言の葉も
漂う風さえ黙している
....
お岩さんを知っているでしょう
そう四谷怪談のひろいん
江戸時代
牡丹燈籠のお露さんと
番町皿屋敷のお菊さんと
三人で結成した
納涼しすたーず
せんたーでうらめしやをしていた
あのお岩さ ....
気にするな蝉の声
気にするな息苦しさ
気にするな心変わり
気にするな生きてゆくこと
気にするな後悔
気にするな能力
気にするな身体
気にするな無念
....
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誰かが教えてくれた
逃げて / 逃げて / 逃げまくって
それで無事に済めば / それは
たしたことではなかったのだと
....
結婚の扉が海の底に沈んでいる
原発関係者たちは
何度も何度も内輪にダメだしされながら
ついにその高く厳しいハードルを越えたのだ
このことはあれに似ている
ロンハーでやってる時間と金をかけたドッキリに似て ....
金さえ愛さえ社会さえ
受け入れてくれるなら
いま吐き出した欲望は
我慢などしなくていい
切実な循環になるのだ
生命の維持や種の保存は
本能のまねをした観念なのだ ....
ゆっくり飛ぶことを覚えると
世界中が振動していた
いのちは飛沫を上げて
たゆたいゆらいでいた
風が凪げばふわり
お天道様と池の間に佇んで
煌めきって残酷だ
元気なものへは恩恵
弱ったも ....
盆の入り
スーパーの店先にはたくさんの花が並んでいる
私は小さな白菊を一束買って
位牌も仏壇もないアパートのテレビの横に添えた
命の儚さに狼狽え
己の傍観者面に辟易し
せめて大切な人を ....
空爆と聞いて
耳を向けなおす
空からぱらぱら爆弾が降ってくるのかと思ったら
今では空から砲弾が狙いを定めて飛んでくるようだ
お人好しの爆弾、意地の悪い砲弾
どちらが御気に召しますかの声が幽か ....
<ザ・ロング・アンド・ワインディング・ポエトリィ>
言葉はいつも
戸惑いながらやって来る
曲がりくねった道を通って
日常の生温い闇をすり抜けて
言葉はいつも
恥じらいながら ....
おまえのだからと
おれをとどける
おまえのなかに
おれをとどける
あまえているだけ
あまえたいだけ
おれをとどけて
うけいれられて
しんじているだけ
....
幅わずか20cm足らずの白線に仕切られた世界は真逆の世界
私のわずか右の世界では皆
私がいた過去に向かって進んでいく
私の世界は誰もいない
皆私の右側の世界を進んでいく
まるで私の未来から皆 ....
私の長い名前を
思い出してください
雨が降り続く日に
倒された草花や
咲かずに腐る蕾の声が
聞こえた気がしたら
私の長い名前を
呟いてください
風が吹きやまぬ日に
ちぎれた花びら ....
ここんところ
物忘れが多くなった
年のせいにしたくないが
やっぱり年のせいか
特に人の名前を失念してしまう
テレビタレントは元より
知り合いの名字さえ出てこない
先日も
道で女 ....
せわしなく魂を洗う
生身のまんま立ち止まる
永久なる過去より聞いている
蝉の鳴く緑のほの暗さよ
ゆくりなく道を行く
遠く消えゆく波間に
空を見上げる
天使 ....
我涙ぐむ
蟹と戯る
我涙ぐむ
蟹と戯る
海と思想の測量船
虹と数字の測量船
我涙ぐむ
蟹と戯る
我涙ぐむ
蟹と戯る
まだ身体と外側が
まだ血潮と海風が
....
嵐のように怒り
自分のために大雨を降らす
周りの者は巻き添えになる
はた迷惑な幸せ者
誰にも悟られたくはない
暗い海の底へ
暴れる心を鉛に詰めて
幾つも 幾つも
寛容と ....
大雨洪水注意報
彼女に涙を流させてはいけない
そのあとですごく経費がかかるから
落雷警報
電気ショックで何かが復旧するとは想わない方がいい
普通のひとは死ぬ
落石注意
気がついた ....
ひとりでいるときその秘密を
写メか動画でおくりたくなる
ひとりじゃなかったと
その切実な気持ち信じこみたいから
だから喜ばれる
だからなくならない
だから株を買 ....
ケイコさんは
帰る家を探している
いつか住んだことのある
川の傍の古い洋館
蔦が壁一面を覆った
赤いトタン屋根に
所々塗りの剥げた
白いバルコニー
夜になると屋根裏を鼠がはしり ....
みんなみんな渡り鳥
みんなみんな切実さをもって
なんぜんメートル
なんまんメートル
空高く海越えていってしまう
みんなみんな渡り鳥
まっていてくれなかった
....
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