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目が覚めた
揺れていた
固定電話のコードが揺れていた
部屋の四隅が揺れていた
テレビをつけた
緊急地震速報だ
アナウンサーが原発のことを繰り返していた
そ ....
130920
先輩の意地が後輩を外側に吹っ飛ばすのだと
評論家は結論づけた
ひ弱な先輩が
頑健な後輩と対峙したら
どんなに意地があっても
どんなに卑怯 ....
【記憶の塩漬け】
すべての壁は白い それぞれの壁が白さの中にも蔭を落し
直線で構成された 迷路
一陣の風がふいて 一粒一粒の白砂が
皺やよじれとなり集まり
....
5月も下旬だというのにとても寒い日だった
時刻は19時をまわったところで
吉祥寺はまもなく夜になろうとしていた
駅前にはたくさんの人がいる
僕は麻で出来た紫色のストールをぐるぐるに巻いて
冷 ....
午後と午前が一瞬だけ相槌を打ち
手渡される密書
時間を知る者だけに閲覧を許される
一日を均等に二分割したのは人間だけだが
月と太陽は有史以前から
地球に影を描いて輪切りにしていた
....
あの日、
そうです。あの日からわたしは詩をつ
くれなくなった。何も浮かばないので
闇が静かに明けてゆくのを待っていま
す。ほら、ありふれているだろ。君の
言葉は素晴らしい。必ず朝を呼びすべ
....
に売る寅年生まれのわたしアトリエ
まぶたにキスしたらあなた流れてゆきそうで
へばりついたことばの触覚しぼみ
たましいのサイズは変わらないのに
重さの変動はげしく
じたばたあたふ ....
天気予報が
いい具合にはずれて
空に陽が差してくる
中学校の校庭
トラックに引かれた真新しい白線
「出陣」の文字が描かれた入場門
砂埃の匂いがくしゃみを誘う
テントの下に置かれたキャ ....
サーカスも消えた広場に
日付が変わった南瓜の馬車
燃え落ちた隕石
既に 青くない地球
十二色のクレヨンを握り
極彩色のテレビに見とれている児
やり過ごされていく毒の風に晒さ ....
はこぐまに であったのは
白いマストが海岸に現れたときだった
お蝶夫人の待ちわびた人は 波止場には 降りてこなかった
かわりに降りてきたものは
かるい箱のようなものを頭にかぶった熊だった
....
あなたに見つけ出して欲しい 探しだして欲しい
真夜中の背中に映る夢の設計図
Turn to the right.
Turn to the left
The black angel of a ....
記念日にはキスを
頬でもいい
記念日が
もっと記念日になるように
新しい
ページがまた始まるように
心に残る
日々がひとつでも増えるように
記念日にはキスを
....
大きな雲は
空の広さを証明する
こんなに空が深くて
澄んでいることを
青空だけでは
はかりしれない
秋の午後を脅かして
突然の雨
雷の轟音に
台所から急いで
手をエプロンで拭きながら
昼寝している児のもとへ
布団に起き上がり
今まさに泣きだそうとしていた彼は
私の胸にかじりつく
よ ....
130917
雨戸があったから
被害は少しだけで済みました
無かったら
瓦や小石が飛び込んできて
ガラス ....
ダダ漏れのDark Matter 鉛色の重力
街を歩いてもアスファルトに走る無数の亀裂
から滲み出てくる闇を見つめるだけだ
ああ この皮膚がすべて剥がされても
感じているか ....
遅刻や忘れ物をした生徒に裸足でランニングさせていた中学校のことが体罰問題としてニュースになっていた
その中学校は遅刻や忘れ物を先天的な障害でしてしまうこどもたちにそうしていたのだろう
とん ....
{画像=130917162815.jpg}
この幸せが
たとえば うつろいだと言えば
消え去ったあと
笑ってしまえる
この幸せが
たとえば とこしえだと言えば
消え去ったあと
....
チビ・ビールの唄
ジス・タイニイ・ワン
チビ・ビール
開店を待って
チビ・ビールを買う
オー・ジス・タイニイ・ワン
77円の小さいやつ
椅子にすわって
チビ・ビールを呑む
....
「お父さんは、いつもむっつりしてたけど
家族は結構大切にしたんだよ。
日曜日の度に色々なところへ
連れて行ってくれたんだから。」
週六日精一杯働いて
やっと巡ってきた休日なのに
....
{引用=
雨の去った午后
くもがくる 心の硬貨は、
ありし日の 思い出
ゆく雲は
どこまでも
どこまでも なだらか
秋をかざす 陽光のサンデッキに
秋空を ことほぐ ....
たったひとつの科白で終えるとき
誰もいない薄暗い部屋を飾ろう
もし手向けられるならば
二度と咲かない蒼い薔薇がよく似合う
使われない硝子が棚の底に
染み付いた煙は放置され
黒い黴が支配 ....
夜中どれだけ風が強く吹いても
虫たちの鳴き声はやまなかった
不安にふるえながら
ぼくはそのことに感心していた
遠ざけられたらまたおかしくなる
なのに秋の虫たちはやまなかっ ....
少女、
月曜日の放課後につくった詩が
火曜日の朝には消えていた
細い指でなぞった物語が
校舎裏で砕けていた中2の夏
西の空がまぶしい
あれは現代詩ですか
いいえ、
夕暮れです
毎日す ....
ぼくたちの見たこともない色って想像できる?
雨は平等に降りしきる
あなたにも、わたしにも、
だけど、わたしには傘がない
僕が思春期に可愛がっていた
片瀬江ノ島駅に住む、野良猫ニャー子は
破れた恋に涙を流す学ラン姿の僕に寄り添い
顔を膝にこすりつけ
(にゃあ)と優しくひと声、鳴いた
僕と出逢 ....
目覚まし時計の呼ぶ声に乳白色の霧をかきわける朝
夢の続きの小路をたどればあの古い石の門がが見えるかもしれない
丘の上の教会には孤児院が併設されていて僕の友達がいた
通りを浜のほう ....
ある満月の晩、女友達が私の家にやってきた。シャンパンを片手に。何かのお祝い? と尋ねたら「まあ、そんなようなもの」とほほ笑んだ。酔っぱらうと虚言癖のある彼女は「やっとわかったの。わたしは王女さまだった ....
童謡を読んで
書いた詩人を紡ぎだした
環境を排除して
言葉を撫でるように
なぞるだけで
現代の裕福な子供たちが
詩を受け取ることは
出来るのか
会場にいた観 ....
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