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漂いの中に浮かぶ船はとても空虚だ。
空虚は僕の心を浸潤する。
広がり、閉じる。
この情緒こそ難破船にはふさわしい。
水面に移る悲しみを鳥たちが啄む。
僕は自分が何か勘違い ....
西の空に希望を背負った夕日が消えてゆく。
黄昏た公園で私は老人を見た。
ベンチに腰掛け自分の両手を見つめている。
その時初めて私にも皺だらけの掌があることに気が付いた。
深 ....
紫色の人工の夜空に駱駝は歩む。
星から星へ、月の満ち欠けを慈しむように。
鼓動は無数の星の瞬き。
銀河のオアシスで緑の水を飲む。
銀河鉄道の乗客はいまだ起きている。
窓際 ....
雪 ひとひら 舞い落ちる
静かな 夜に
雪 ひとひら 舞い落ちる
涙にも 似て
雪 さらさらと 風に舞う
冷たい 夜に
雪 さらさらと 風に舞う
血液にも 似て
....
屋根裏の小部屋の窓から、表の世界を眺める。
そこには、競争があり、強奪があり、また征服があった。
人生の秘密は悉く暴露されていた。
私は頭では当然の事だと思いながらも、心は深く病んでいた。
静 ....
風の便りを聞いて私の心は再びこの村へ戻ってきた。
今日は良く風が見える。
微かな秋の名残は遥かに遠く、木々の下に集まった落葉の談話が心地良い。
こんなに風の見える日は、きっと私の村も雪化粧に ....
何でもなかった一日が、
特別な日になってから四年が経った。
君の笑顔は夏の向日葵よりも眩しくて、
卑屈だった僕の心を照らしてくれた。
僕の悲しみは悲しみでなくなり、
母なる大地 ....
テラス越しの涼しい風が私に知らせる初秋の朝。
こんな朝の友はモーツァルトにかぎる。
まろやかなホルンの音も、鋭角でありながら優しげな存在感を示すフルートの音も
煌びやかで明るいピアノの音も、 ....
遠足だろうか。
赤白帽を被った小さな子供たちが公園ではしゃいでいる。
日曜日の山下公園は多くの人達で賑わっている。
一つだけ空いていたベンチに腰掛けて私は一人それを見ている。
私はどん ....
私は根腐れした薔薇を愛する。
雨にずぶ濡れてなお獲物を探す野良猫を愛する。
休日の窓辺に腰掛けて憂鬱の週明けに悩む友を愛する。
自然と人間を愛する。
私は時代にその名を刻み込んできた先 ....
闇の帝王がその音色を奏でると、聴衆の動きがはたと止まる。
このトランペットの音は全ての世界を超越していたのだ。
そこに新たな魔王が音色を重ねた時、聴衆はもうその場から逃れる事すら困難だ。
夜 ....