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藤根の
公民館の屋根の下
雨宿り
雨やみますか
恐らくは
白濁窓ガラス
その向こう側のアナログ時計
(さて そろそろかな)
毎日変わらず六時半
雨やみますか
もう すぐ ....
忘れてください、という言葉が本望であるはずもない
聞きなれた響きのトーン 違和感のある丁寧な言葉
別れは突然に来るから寂しいものではない
いずれ必ず来るものとわかっているものでもない
....
坂の上に のっかっている
そうか こうやって 私は
この雲の先にあるくだらない現実が
本当はすこし好きだったのだ。
窓を開けた瞬間
朝一番の風は
薄手のシャツを抜け
眠気交じりの肌を
下から上へとナゾルように吹いてきた
頬から
首筋
うなじへと
同じ風に包まれてゆくのをそのままに
まだ整えてい ....
君のハナウタまねて
風に乗る自転車
目指すは君がいるハズの曲がり角
忘れていいことより
忘れたくないことのが多いから
いつもいつも胸はいっぱい
楽しいことだけを集めたら ....
遥か上空を雲が流れていく
その少し下を鳥が飛んでいく
荒れた土の上を僕は歩いていく
できることよりできないことの方が多いこと
努力では上回れない才能があること
ガラス球に憧れて生きて ....
呼んでる
わたしは はんぶんだけの さいぼうだけれど
くらくて とくんとうごく かべのへや
まってる
淋しいと 引っ込むみたい
雨が浸みると 歩くのいやいやって するみたい
満ち潮
....
また
しっぽが
挟まれた
自動ドアが
わたしのしっぽを
認めない
管理人さんが
困ったねえ
と言って
ちゃんねるを変える
新しい服を
買って
穴をあける
埋め ....
夏は逝くのだと思う
春や秋冬は毎回 同じものが回っているのに
夏だけは毎年燃え尽きてしまうのだと思う
少年の肌や少女の心に深く爪痕を残して
印象づけておきながら
潮のよう ....
【花時計】
ある一時
植物のように生きることを夢想する。宮沢賢治は雨ニモ負ケズといったけれど、植物は雨に負け夏の暑さにも負け
害虫にやられて レタスは高騰するのを見ながら。
....
煙草に火をつけて
まずは一服
それからゆっくりと
あなたの詩を覚えましょう
ほら ほら
すぐに現れる
眼前に
夜の万華鏡
☆
船乗りのバッド・コニ―
彼はK.T.に欲情 ....
はっか飴が苦手なほどに
あなたは幼い
丸めて・形よく
献上した
嘘の後
重ねて
垂直にうばう
目の前・生命線
わたしが服をぬげば
あなたも服をぬぎますか
グ ....
そろそろ 手の届かない高さで
とても 持ち上がらない重さで
絶対 よけられない速さで
全部は 見えない広さで
たとえきれない 複雑怪奇
もう 背丈を越えて 流れています
ノイズが入る。私の中に。
ここでは無い感情。嬉しくて。
見えない身体。不安に変わる。
受容体、断ち切らないと、守れない。
最後の繋がり。
ずっとずっと遠くまで
届かないものを追いかける
そういうひとを見上げながら
足元の土を均してきょうもあるく
届かないことを知らない彼らは
知っているわたしよりすこし滑稽で
そのくせとて ....
プラットフォームで 日陰のベンチに坐り
僕は詩を書いていた
いいや君への手紙だったのかもしれない
白い午後
静かな校庭のこと
いたいけな青空のこと
いいやそんなことじゃない
間奏 ....
シーン1
男の子が「つみき」という名札をつけていた
私が
つみきっていうの?
ときくと
そうだよ、かっこいいだろ、建築って意味
というのだ
へーんな名前
というと
男の子はむ ....
この大きな水たまりは俺がつくってしまったのか
海を前にして蛇口は茫然と立ち尽くした
もしかしたら俺の栓を大事に開け閉めしてくれた人たちの家も
どこかに沈んでいるのかもしれない
そう ....
海の中で生まれた気がする
始まりは遠い手のひらの中
重ね着をして、重ね着をして
風邪を引かないように眠っていた頃
どこへでも、の世界は
指先まで暖かくて
つまずかないように歩けば
いつま ....
きみにとっての青空は
ぼくにとっても青いのだろうか
ぼくの見ているこの世界は
はたしてきみとおなじだろうか
きみはちゃんと隣にいるのに
なぜだか ぼくには自信がない
群れから外 ....
最終バスは一番後ろの席に座るのです
何となくそれが習性になっているのは
そこからは町の様子がよく見渡せるからです
蒼い街灯の下でたたずんでいる
停車場の表示を運転手は調子よく
鼻歌まじり ....
季節は一冊の本にまとめられ
秋の頁をめくりながら
月明かりの下
あなたの言葉を
思い返すのです
秋の頁はとても長く
多くの言葉で
埋め尽くされているはずなのに
めくってもめくっても ....
ねぇ見て 不思議よね
こんなにちっちゃいのに
ちゃんと爪もあるのよ と
満ち足りた母親の顔で彼女は
小さなこぶしをを開いて見せる
アキアカネが飛び交う夕暮れに
生まれたから 茜
はい ....
泣きながら
見上げた雲は果てしなく
二人の影を映してる
空の青さが辛い日は
君のために歌を歌おう
さよならと
微笑む君の細い肩
翼が生えているようで
....
身を縮めて しゃがみこむ
誰にも見つからないように
誰かが見つけてくれるように
おびえるなよ
という声が
おびえていた
私の体の 外で
外では
仕方がないから
精液の白さに免じて
ゆるした
世界は みずでできていると
きみは言ったけれど
肝心のきみも やっぱり みずでできていたのは
きみが死んで 五日経って ようやく思いだした
(そのとき みずが流れた)
深夜 人は大 ....
ほんとうに伝えたいことは
そんなにないのかもしれないね
ほんとうに好きだったかどうか
思い出せないのと おなじで
こんにちは と
差し出された名刺には
箱庭とだけ書いてあった
鞄の中から取り出した
石に草木に川に橋、
さらには水車小屋までも
あれやこれや説明しながら
砂を敷き詰めた顔面に
....
とうとうあいつがやってくる
力いっぱいペダルをこいで
小高い丘を登ってく
真夏の日差しが容赦なく照らすけど
そんなことはどうでもいい
とうとうあいつがやってくる
自転車を飛び降り呼吸を ....
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