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まだ顔を知らない
姉からの手紙が届く
意識だけの
わたしはまだ
返事が書けない
体を持たないから
真夜中
母に触れたがる
父を感じる
わたしの命のはじまり
いくつ ....
濡れる、まぶたにおいては
10年前のささやかな嘘だって
すこやかに息づいているのだ
腫れている、のどの奥のほうでは
君に贈りそこねてた嘘が
あばれて、あばれて、夜も眠れません
指輪 ....
エレベーターが
捨てられていた
たくさんの
手向けの花を積んで
吹いている風には
少年の掌のように
静かな水分が含まれている
花を一輪
もらって帰り
小瓶に活 ....
従事する仕事をかみしめる
とても落とされそうな現実だった けれど
指にされそうな夜の中
明日を まさぐる瞳に探している
なぞる指のラインを流れ
自分自身となり 他人を切ると
ベルリ ....
繋がって
また
諦めた
歯がゆさで
ワンマン電車が走っていく
わたしの
肯定を知りたい
たくさんの競争心を
おぼえたふりをしていたらしい
甘やかされている時間にはふと
だれ ....
知っている
自分のことは知っている
自分のことは知っている知っている誰も
知らないがドアに知っている
誰も知らない皿に箸に
自分のことは知っている知っている
誰にも知っているテレビのこ ....
物語を失ったとあなたがいい
足を組んだ瞬間に春色のスカートの裾が膝のうえまで捲くれ
気づくまでの17分間
『夜のシャボン玉をすべて打ち落とすには
鳩が3万羽必要よ、きっと
あなた ....
沈丁花の、
高音域の匂いがした
夜半から降り出した雨に
気づくものはなく
ひたひたと地面に染み
羊水となって桜を産む
きっと
そこには寂しい幽霊がいる
咲いてしまっ ....
静か。
過去、いくつもの過去が来て
未来、いくつもの未来が来て
いまきみに重なる。
ぼくは息をのむ。
西日に映えて、
....
象といっしょに
列車を待ってる
朝からの温かな風が
服の繊維をすり抜けて
僕のところにも届く
こうして春になっていくんだね
明日はまた寒くなって
雪が降るそうだ
昔、象 ....
掌で階段を育てた
せっかく育てているのだから上ろうとすると
いつもそれは下り階段になってしまって
悲しい人のように下の方を見ていた
その隣を弟は快活に上っていって
一番上まで行く ....
まぶしい日が終わると
遠くの唄はきこえない
窓を閉じて
あの悲しみから距離をおく
ゆるされた時はどれほどの厚みだろう
どうか今日は
....
がれきのしゃしん は いつみても いい
しょうせつみたい に はしからはしまで よまなくても
いっしゅんのうち に あらすじ が わかる
わかってしまいたくはない のに
め を はなすことが ....
鏡のふちに
霜が降りている
唇のはしが腫れはじめ
痛みがやむころに
枝先から影が落ちる
おもむろに声をあげようとして
言葉にならなかった音の破片が
ガラスを震わせる
あなたが
どこか ....
風に乗り運ばれる香りに
鈍感なわたしは気付かず
考えているようなフリをしながら
本当は何も考えていなかった
下校している小学生が
ランドセルをかたかたと鳴らしながら
跳ねるように歩 ....
山を登っていくと
海のことを知っているかのように
彼は何も知らなかった だから 僕は
空になったつもりでいることにした
プールにはいろいろな魚が泳いでいる
狐に出会ったので/桑田佳祐を聞 ....
僕は切符を買うよ
いつもと同じ場所にむかう
日めくりをちぎるときに
忘れてしまうだろう、今日だから
僕は切符を買うよ
四十九枚の十円玉を投げ入れて
光るボタンで行ける場所
誰もが辿れ ....
ひさしぶりに実家に帰ると
お父さんが
船になっていた
甲板には母がいて
いつものように洗濯物を干したり
いい匂いがしてくる
調理室で料理をつくるのも
やはり母だった
嫁い ....
石積みの朝
陸橋はその歪んだ影を
路面に落とし
昨日までの工程を語り終えると
あなたは静かに
最後の生理を迎えるのだった
+
足音が擦り切れていく
あなたにとっ ....
飛騨小坂に
帰りました。
小坂川を
見に
行ってきます。
翡翠色の川
ほとばしる
瀬と
真っ黒い
たゆたう
淵
そこに
身を投げます。
私は
川の中で
暮 ....
さえぎられた道で、端的に
もう
ここには何もない、
きみもいない、雪の
においが
わたしに見ることを教える、でも視力は
もう必要ない、きみが
いないという
ことを見る、その ....
駅のホームからは街が見えていた。
帰り路を急ぐ人々の顔は互いにひどく似ていた。
廃ビルには、昔の記憶が地層のようにこびりついていた。
一日ぶんの影が、街じゅうの屋根という屋根に覆いかぶさ ....
今日あったことがまた一つ
ことさら寂しそうに去ってゆく
自然と
今日あったことも思い出になり
いずれは、ゆっくり忘れてゆくのも
全部私の中にあるんだ
明日が楽しみなんてい ....
赤い夕日を浴びたのに
かげだけ黒い、
そのふしぎ。
草木も花も野も山も
おなじくみどりと
呼ばれる、
ふしぎ。
波の青さにあらわれて
透きとおってゆく、 ....
片側にばかり
痛みを打ち付けて
逆側はいつも
浮いてしまおうとする
結局は
浮ききらずに沈みきらずに
漂ったままで
飲み込んだ水は
呆れる程綺麗で
汚れ ....
口語の時代はさむいがその寒さの中に ※2
自分の裸をさらすほかない時代
ひとつの恐ろしい美が生まれた ※3
三角さん、錯覚しなければ ....
ながれていく
(しずかに)
その潜行する鼓動を
ききわけて
よりわけて
乾く冬のために
水を落とすものとなる
寒い病のために
感情を輸血し
あるいはこのこころの
ものがたりを出 ....
いつも
満たされない夜を求めて
光を舞う蝶でありたい
描けるしあわせはいらない
とまりぎに 腰をかければ
灰になってしまうだけ
足跡を水にとかして
あなたからあなたへ
....
「手紙」
見渡す限りの誰もがのどが渇いていて
水!水!と叫びながら歩いているのに
誰にも耳が付いていないので
互いにそれに気づいていない
伝わることの無い声は
束になって風を起こし ....
話を聞いて
理解して、
誉めて
ご褒美をあげる。
そうすれば
自信がついて
自分が好きで
NOと言える。
すくすく育って
育んで、
人生悩んで
楽しんで。
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