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朝起きて、俺
ヘビと戦った
その日はとにかくひどい洪水で
俺の大事にしていたポシェットも流され
銀行などの床も水浸しになり
家の冷蔵庫は野菜室まで水が入り込み
それでも、俺
 ....
 
 
やはりカバンが良い
と男は言って
口から出した大きな舌で
炎天下の夏草を刈り始めた

確かにその場所は空地にも見えるけれど
昔、わたしが「草」
という字をたくさん書いた漢字練 ....
海が
最後の一滴が
空を映した自在の青が
私は

消えるのをみた

ささくれた
広い砂漠だ
私は
確かに思う
そうか
私の心は
こんなにも
砂漠だったのだ
それを
満 ....
 
 
01
冷蔵庫売り場で火遊びをしている少年のシャツは裏返っていて、肌がまぶしい。

02
扇風機の真似をする君が、今日は朝から羽が壊れて、うまく首が振れない。

03
アイロン ....
 
 
 
+8月19日

背が高くていつも
自信がなさそうにしてる
優しい普通の女の子
美しい横顔で
声を出すと歌になる
大切なことは
いつも最後に
こぼしていった


 ....
汚れたうさぎ色の空から
アスパラの雨が降る

雨は次々に根を潜らせ
背中から空へ白いまっすぐな筋を何本も何本も何本も

川の溜まりの鋼の渦に
くるくると浮かび上がるそのひとの「きのう」
 ....
船乗りのいない朝は 突然やってくる

脳が白い朝焼けに揺れる

瞼から忍び込んで 水平線を引く

船腹をなめる波が 意を鎮めて{ルビ誘=いざな}う

船体の軋む音が 孤絶した海を助長す ....
明るさのなか
で、きみの
目はつぶれて、無化の
 
 
○父

窓から庭のブランコを
眺めることが多くなった
あれにはもう一生分乗った
と言って
時々体を揺らす
背中が
押されるところではなく
支えられるところとなってから久し ....
海へ行こう

冬の、風の穏やかな日に
波の音がすべてを包み
古い貝殻からは異国の歌が聞こえる
覗き込んだ水底には静寂とざわめく生命が
見上げた空はどこまでも突き抜けて青く

足跡は消え ....
ある日突然
子どもたちは先祖がえりをした
背は小さく
言葉を失い
歌うこと
踊ることだけになり

海へ列を作りゆこう
歌い
踊りながらゆこう
砂浜で広がり
ねころぶ子どもたちそれ ....
僕たちは行進する
雨と雨と雨の合間を
かなしみの残る青空に
バシュポン
圧縮した空気は開放され
白い弾丸は
砲の初速を逃れた彼方で
小さな羽を広げる

あの
遥か積乱雲と日輪草の
 ....
視界を折られた朝
芽吹いたはずの白い素肌や
飽和したような
そうでもないような
呼吸 鼓動は
やはらかいしろに
還ってゆく

ぎこちない脈に
わたしはただただ泣いたような
そう ....
意思のなかに空虚が
ひろがり、朝
何もすることなく、きみは
運ばれていく、
何もないという
断絶が
線路の向こうまで続いている、朝ドアが
開いて、誰も
いないということが
 ....
 
 
01
図書館にパンが落ちていたので男は拾って食べたのだが、それはパンではなくムカデの足だった。

02
図書館の大砂漠で遭難した司書は一週間後に救助され、その翌年には大統領になった ....
 
 
並んで座っている父が
僕にもたれてくる
落っこっちゃう、と言って
体を預けてくる
床から目まで
わずか数十センチの高さが
怖くて仕方ないのだ
ねえ、お父さん
お母さんや僕の ....
 おい
 イタル
 たかこぎするべ
 といったら
 うん
 というので
 チヨオ
 しんぱんしろ
 といったら
 うん
 おすなよ、うしろから
 ぜったいに
 うん

陽に ....
置かれた環境や
色の溢れる胸の内は
適度な重力を宿し
他人の腹の上をのしのし歩く
打ち明けばなしは
互いの腹をぐるぐる回り
僕ら時分を問わず
許し合うことを知る

親しい歩行が生む
 ....
 
 
父のベッドのところまで
凪いだ海がきている
今日は蒸し暑い、と言って
父はむくんだ足を
海に浸して涼んでいる

僕は波打ち際で遊ぶ
水をばしゃばしゃとやって
必死になって遊 ....
 
 
クラゲの心音がする
放課後
筆箱の中で

黒板消しが羽化するのを
慣れない手つきで私は
手伝ったのだった
 
ひっそりとした
カーテンの向こう
湿り気のある列車が
外 ....
 
 
ふとおもう
そのときの
ふと、が
ひとなのだ

あきのこおろぎも
たちどまり
しょっかくをのばしたまま
ふと、をしてるのだ
ひとのしくみのように

ふとおもう
この ....
高層ビルディング周辺特有の吹き下ろすビル風はオープンテラスの流行るカフェテリアをもろともせず、容赦なく殺伐なる様式美を叩き付けた


無感情のリズムは鹿威しの清廉さに似たサイクルで取り巻いた静謐 ....
 
 
バス停が鳴いている
訪れることのない朝のために

昨日、私はミシンの音を聞きながら
水道管の裏にたくさんの
傷をつけたのだった

手をあわせれば
祈りのように見えるけれど
 ....
 
テツコの部屋で発生した台風が太平洋を北上している間
僕は書き損じた地図記号をひたすら地面に埋め続けている
そのわずかな等高線の隙間を魚色の快速列車が通過し
客車の窓から覗き込んでいるのは多 ....
 
 
花が咲いている
花の中に海が広がっている
散歩途中の
人と犬とが溺れている
救助艇がかけつける
降り注ぐ夏の陽射し
最後の打者の打った白球が
外野を転々とする
ボールを追っ ....
 
象の尾に
憎悪がぶら下がってる

冷たい温度で憎しみは
僕の肉に染みついてる

ナメクジの
せわしない足音がする
雨上がりの動物辞典

神様、
席替えしてもいいですか
 ....
白熊が死んじゃう、と言って
つけっぱなしの電気を
消してまわる君は
将来、かがくしゃになりたい
という

撒き散らかされた
鳥の餌のシードを片づけていると
芽がでればいいのに、なんて
 ....
海岸からは海岸が見えなくて
これでは砂漠と同じです、あなた
水があるだけよ
ただ水があるだけの砂漠よ

遥か 第五感界の外の霧を掴むには
衰弱するのがよいと聞きました
あちらこちらに船を ....
 
 
商品棚に並べられた
きれいなゼリー状のものに囲まれて
カイちゃんが笑ってる
時々ふるふると震えて
何も言わない

床に落ちている
貝殻や干からびたヒトデを
二人で拾う
昔 ....
提出物の水牛が
ゆったりとした様子で
机の上を
壊している

言葉や数字との戦いに
日々明け暮れ
同級生の一人は
衣替えを終えた次の日
バッタのように逝った
 
日直の人が学 ....
望月 ゆきさんの自由詩おすすめリスト(2609)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ヘビと戦う- たもつ自由詩1109-7-18
草刈り- たもつ自由詩709-7-15
うみのおわり- umineko自由詩20*09-7-14
家電物語- たもつ自由詩1009-7-9
空は人のかたちに似ていく- 石田 圭 ...自由詩2609-7-7
汚れたうさぎ色の- オイタル自由詩8*09-7-6
船乗りのいない朝- 瑠王自由詩4*09-7-6
_- こもん自由詩409-7-4
家族- たもつ自由詩4909-7-3
海へ行こう- まさたか自由詩509-7-3
- ふるる自由詩9*09-7-2
鳩砲- 佐野権太自由詩27*09-7-2
旅の始まり_祭のあと- ゆるこ自由詩309-7-2
_- こもん自由詩709-7-2
図書館物語- たもつ自由詩3109-6-26
恋人- たもつ自由詩1009-6-22
おい_イタル- オイタル自由詩9*09-6-22
道端- 佐藤真夏自由詩4*09-6-21
遠泳- たもつ自由詩1309-6-21
放課後- たもつ自由詩1009-6-17
ふと- 小川 葉自由詩409-6-16
「ビル風の残渣が遺していったもの」- Leaf自由詩2*09-6-14
外出- たもつ自由詩809-6-13
テツコの部屋- たもつ自由詩609-6-10
深夜放送- たもつ自由詩1309-6-7
雨上がり- たもつ自由詩17*09-6-3
六月の水球- 佐野権太自由詩40*09-6-1
対峙- 佐藤真夏自由詩9*09-5-23
コンビニエンス・ストア- たもつ自由詩1609-5-23
教室- たもつ自由詩1109-5-19

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