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海鳴りは遥か遠くでさざめいて 
波間に浮かぶ言霊たちは 
いちばん美しい響きを求めて 
たがいに手を伸ばしあう 

砂浜に打ち上げられた巻き貝は 
もはや亡骸となり果てて 
右の耳に ....
夜に、わたしは 
はしたないほど口を開けますから 
どうぞそこから私の中に 
入っておいでなさい
 
内側から私を喰い尽くして 
やがて空洞になった私の躰は 
それでもまだぬるま湯ほ ....
空は 晴れて 
緑が 萌えて 
鳥は 唄う 

どうしようもなく 
春で 
朝で 
まぶしくて 

どうしようもなく 
私は
女で 
せつなくて 

風が「る」のような ....
酸性雨が降り
森が枯れて
花は身じろぎもせず
こっそりとあぶくを吐く

内なる情念を
笑った眉尻にはりつけて
澄んでゆく



道草が過ぎたので
傘をなくしてしまった ....
頬杖をついて
空ばかり見ていた 

流れながら
形を変えてゆく雲とか
鳥が黒い点になって
吸い込まれてゆく姿とか


指先でペンを回す仕草を
無意識になんどもしていて
と ....
空は啼いているのだろう
風は狂いはじめている

雪の華はその美形を
とどめることも叶わずに
ただ白い塊と成り果てる

清き水の流れさえも
怒涛に変えて


白鳥は真白の吹雪に ....
窓を打つみぞれの音の冷たきに孤独はやはり嫌いと思う


哀しきは居らぬ人へのうらみごと聞かせし空の雲行き怪し


夏の夜に火を点けられし導火線人目を忍び寒空に燃ゆ


{ ....
私の三匹の獏たちはすくすくと育って
立派な大人の獏になった
偏食も直って夢をバクバク食べるようになり
(三匹めの小さな獏はおバケの夢だけ苦手だったけど)
やがて彼らは巣立っ ....
涙は
流れることを許されず
瞳にとどまっていた

雨が
かわりに泣いてくれたので
辛うじてプライドを保っている

物語は
最終章を目の前にして
頁を閉じられた

栞を
 ....
木漏れ日がもしも零れて落ちたなら
        享けとめるためまつ毛をカール


ハリウッドの女優気分で歩こうか秋色緋色の絨毯の上


空高く群れる羊を追いかけて風の尻尾を捕ま ....
幼い頃のひとり遊びの記憶は
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに
耳元で呪文を投げかける

楓の色づく様を
薄の頭をゆらす様を
人と分かち合うやすらぎを ....
ねぇ見て 不思議よね
こんなにちっちゃいのに
ちゃんと爪もあるのよ と
満ち足りた母親の顔で彼女は
小さなこぶしをを開いて見せる

アキアカネが飛び交う夕暮れに
生まれたから 茜
はい ....
泣きながら
見上げた雲は果てしなく
二人の影を映してる
空の青さが辛い日は
君のために歌を歌おう

さよならと
微笑む君の細い肩
翼が生えているようで 
 ....
ぱさぱさと干からびて
色褪せてしまった
大学ノートを
赤い爪先で繰りながら

ため息ひとつ

セピア色と呼べば
聞こえはいいのだけど
少女じみた丸文字の
拙い言葉の羅列が苦 ....
川縁の草いきれの中を
ひた走った記憶は
あるいは夢かもしれず


はじめは
ひとすじの流れにすぎなかった
けれど運命は
生まれる前から決められていた

旅を重ねるごとに
強さを身 ....
てとらぽっとは海につながれて
夕日が燃えて琥珀に変わるのを
見ていた

さよなら
さよなら
さよなら


駆け足で過ぎようとしている夏の
スカートの裾 ....
どうしたら此処から翔べるのか
そればかり考えていて
けっきょく何処にも翔べなかった

次々と羽化する蝶たちを
横目で見ながら
葉陰に守られて留まって

安穏

すがるような言葉 ....
身体の自由を奪われることと引き換えに
過去の重荷をどこかへ置き忘れて
少しづつ解き放たれていく

その手を見ればわかる
長い年月を耐えて踏んばって
あなたは生きてきたのだから
ちょっ ....
心のどこかで

青い空をうらんでいた
涼やかな風をにくんでいた

小鳥のさえずりがうとましく
夏の陽射しはまぶしすぎて
顔を上げることもできなかった

心のどこかで

ささくれは ....
バスルームの飾り棚に
置き去りにされていた
JAZZの香

蓋を開けた刹那に
よみがえる記憶

ああそれは
一年も前のことで
そういえば私は
まだ泣いてもいなかった
まどろみの中で貴方の去る気配感じてみぢかき夜を恨みぬ

白肌のうるおう術も知らぬまま落ち逝く沙羅の姿さやけし

雨の矢に毒を塗りたし恋ごころ睡蓮泣きて梅雨雲を呼ぶ

星合ひの前夜に胸の ....
1.


先を急げば
見失うものが沢山あるけど
先回りして
待つのもいいかな
なんて思うこともある


2.


夏の日の雲は
柔らかくて大きくて
わたしの悩み事 ....
紅い雲を眺めながら
飛ばした自転車の
速度とか

漕いだペダルの
重さとか
まだ鮮明におぼえてる

あの日の風は
ことさらに透明で
沈んでゆく太陽の  ....
ミュールはおろしたて
アスファルトを蹴る

素足はまだほの白くて
スカートの裾が翻る

風は
やまない

のうぜんかずらの
つるを揺らして
ひらがなで の を描いたら

空が ....
生真面目にあいさつ交わすその影にほほ笑み潜むデスク前にて

ためいきは貴方の家庭(うち)に置いてきて私の前ではヒーローでいて

バブル期の企業戦士は家も見ず寝る間も惜しんで女を抱いた
    ....
あの嘘を見破るなんて野暮なことしなきゃよかったサヨナラ純情

ツマラナイ女になるなと口癖のように云うから泣いたりしない

ピンヒールの靴を履いたら女王様君はかかとの下で傅く

口紅の色を迷 ....
望月 ゆきさんの落合朱美さんおすすめリスト(26)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
潮騒を聴く- 落合朱美自由詩3106-6-21
いかまほしきは- 落合朱美自由詩42*06-5-23
春愁- 落合朱美自由詩3506-3-27
不透明な_ものたち- 落合朱美自由詩2106-2-5
窓辺で- 落合朱美自由詩15*05-12-29
凍れる河- 落合朱美自由詩15*05-12-11
霜月純情- 落合朱美短歌12*05-11-23
偏食_番外編- 落合朱美自由詩15*05-11-3
煩う恋- 落合朱美自由詩18*05-10-15
プロムナード- 落合朱美短歌14*05-10-14
風葬- 落合朱美自由詩42*05-10-8
アキアカネ- 落合朱美自由詩48+*05-9-17
光る風- 落合朱美自由詩12*05-9-17
侵食- 落合朱美自由詩11+*05-9-6
汽水- 落合朱美自由詩17*05-8-28
さよなら夏- 落合朱美自由詩19*05-8-15
風になれなかった- 落合朱美自由詩9*05-8-9
解放- 落合朱美自由詩20*05-7-23
ささくれ- 落合朱美自由詩9*05-7-17
- 落合朱美自由詩17*05-6-30
半夏生- 落合朱美短歌15*05-6-25
人生はたぶんハイキング- 落合朱美自由詩13*05-6-11
夕陽ヶ原- 落合朱美自由詩9*05-6-9
くもりのちあめの日- 落合朱美自由詩8*05-6-4
SAYONARA- 落合朱美短歌9*05-5-27
恋愛のカタチ- 落合朱美短歌12*05-5-22

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